萬代山岳会雨季合宿 乗鞍岳

 萬代山岳会初の雨季合宿が、2000年6月9日(金)〜11(日)にかけて行われました。参加者は、いつもの「いっちゃん」隊員と、「虫取り名人」隊員、今回の総指揮官である「ミスH」隊長、「フラメンコの達人」隊員、寒いのが嫌いな「Mr.O」、そして一度上高地に行ってみたかったのでゲスト参加したというM隊員の6人です。残念ながら奥さんのパート勤務の関係で「しかの」隊員は参加できませんでした。
 今回の合宿では、当会は目下のところメンバーの技量アップと新人獲得に力を入れる段階にあることから、まずは3000m級の山のダイナミックな雰囲気を味わってもらって、山への興味をさらに深めてもらおうとの狙いで、行程のイージーな乗鞍岳を選びました。

●一日目
 初日の9日(金)は、二班に分かれてそれぞれ大阪と滋賀からクルマで出発し、名神・多賀S.A.で合流、一路「高山」をめざしました。雨の中を東海北陸自動車道で「荘川」まで走り、国道158号線で高山に向かいました。
 今回の雨季合宿では、懸案の親睦温泉旅行も兼ねているため、高山〜新穂高温泉〜乗鞍〜上高地と、まるで観光バスツアーのようなコースなのですが、主目的が乗鞍の剣が峰登頂にあるのは云うまでもありません。
 高山では民芸郷土料理店の「寿々や」で昼食に「ミニすきやき鍋(\1,200)」など銘々好きなものを食べました。やはり飛騨牛はうまいですね。この「ミニすきやき鍋」は質量ともにリッチでコストパフォーマンスの高い献立です。大阪や東京でなら\2,000はとりますね。

深山荘にて

norikura_1.jpg  昼食のあとは古い街並みで有名な上三之町界隈をぶらぶらして引き上げました。高山のお土産の定番、金龍堂の「とちの実せんべい」を買いました。地元の味噌を買っている人もいました。それとM隊員がこれはうまい!というので、一缶が500円以上もする奥飛騨の地ビールを6種類ほど買いました。
 依然として降りしきる雨の中を新穂高温泉郷まで走り、今宵の宿である野趣あふれる川沿いの露天風呂で有名な「深山荘」に到着しました。部屋に荷物を置いて早速、地ビールを片手に、露天風呂に向かいました。あいかわらず小雨が続き、最下段の混浴風呂の横は激流が逆巻いていましたが、ほぼ満室の割には他の客と一緒になることがなく、風呂は我々の貸し切り状態でした。食前・食後。朝一番と3回も入りました。以前は宿の建物を挟んで反対側にあった女性の露天風呂が、昨年の落石で倒壊したために男性の露天風呂の横に移設されていましたが、覗かれないようにするためか砦のように柵がはりめぐらされていて、女性隊員の話では空のほうしか見えないそうです。また風呂も少し狭いようで、他の客が居ないのを見計らって男性用を見せてあげたところ「広い!、ずっこい!」と声を上げていました。
 夜には駐車場と宿を結んで蒲田川に架かる吊り橋にイルミネーションが点るのには驚きました。この宿は一泊\11,000ですが、設備も外観から想像していたよりは良く、何よりも料理が質量ともにGood!で、みんな感激していました。ホクホクの身がつまった岩魚の塩焼き、飛騨牛の陶板焼きなど、思い出すと今でも涎が出てきます。お勧めの宿です。

●二日目

スカイラインからの槍穂高

norikura_2.jpg  合宿二日目の10日(土)は幸いにも雨が上がり、前日は強風で通行止めだった乗鞍スカイラインも通行することができました。桔梗ヶ原付近からは右のように槍穂高の稜線がくっきり見えました。畳平の駐車場でクルマを停め、そこから山頂を目指しました。まだ結構、残雪が多く、長野側の県道は畳平からの起点も雪に埋まっていて通行止めになっていました。このため平湯からスカイラインを往復することになります。畳平のお花畑も雪に埋まっています。
 曇りということもあるのでしょうが、風がかなり冷たく、早速各自防寒着を着用して出発しました。
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畳平にて、出発前。寒い
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お花畑も雪の下

 しばらくは作業車両用道路を行きます。途中、コロナ観測所と肩の小屋との分岐のところで、肩の小屋方面に道をとるのですが、そこからは残雪の斜面のトラバースとなっていました。M隊員が底の浅いスニーカーを履いていたため、通行が危ぶまれたのですが、O隊員が先に行って確かめたところ、幸い雪が適度に柔らかかったので、前を歩く者が丹念にステップを刻んであげて無事通過しました。肩の小屋もシーズン外なので閉鎖されていて夏の賑わいが嘘のようです。あたりにはスノーボードを背中に背負って上をめざすスキーヤーの姿が目立ちます。少しでも高いところの急斜面から滑降したいのでしょう。
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まだ雪がこんなに残っている
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肩の小屋をめざして

 肩の小屋を出てからも雪の斜面のトラバースが何度かありましたが、コル(鞍部)から上の方は雪も無く、岩稜を辿って剣が峰頂上(3,026m)に着きました。頂上からは、槍穂高の稜線や御岳などがくっきりと間近に見え、みんな感動していました。
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グロッキー気味の I 隊員(手前)
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頂上まであと一息

 風を避けて頂上の祠の陰でしばらく休憩し、「虫取り名人」隊員が蜂蜜たっぷりの紅茶を沸かしてくれて、温まったあとで下山にかかりました。下りのほうがトラバースに気をつかいます。最初はへっぴり腰だったM隊員も次第に上体が起きて、バランス良く歩行できるようになりました。あいかわらず「フラメンコの達人」隊員は休む暇もなくしゃべっています。上(左)の写真では「フラメンコの達人」隊員がグロッキー気味に写っていますが、これはしゃべり疲れによるものです。
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剣が峰山頂にて
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大正池にて記念写真
◆コースタイム◆
 9:40 「畳平」発
10:20 作業道路分岐
10:35 肩の小屋
11:05 コル着
11:15 コル発
11:30 乗鞍岳(剣が峰)山頂着
12:00 乗鞍岳山頂発
12:15 コル
12:50 肩の小屋
13:25 「畳平」着

 難なく畳平に戻り、レストランで食事の後、スカイラインを平湯まで下り、中部縦貫道の安房トンネルをくぐって、本当に短い時間で長野側の中ノ湯に出ました。かつて急な勾配とカーブの安房峠をバスのすれ違いなどにやきもきしながら越えたことが嘘のようです。
 中ノ湯から沢渡まで下り、駐車場にクルマを預けて、タクシーで上高地に入りました。途中、運転手の説明によると、安房トンネル工事中の水蒸気爆発事故のため、中ノ湯でのトンネルの出口の取り付けが変更になったとのことで、完成間近で放棄され封鎖されたトンネルの入り口と高架橋が遺跡のようになっているのが見えました。
 タクシーを大正池で降り、大正池〜田代池〜ウエストン碑を経て、今夜泊まる、河童橋近くにある村営「上高地アルペンホテル」まで散策しながらたどりつきました。
 このホテルの宿泊料金は、\19,000でしたが、建物は新しく、料理もいろいろと趣向を凝らしていて、これもみんないい評価でした。惜しむらくは浴場がそんなに大きくないことでしょう。夜からまた雨になり、ここで合流したT氏一家の2歳の娘を相手に楽しい時を過ごしました。

●三日目  最終日の11日(日)は朝方雨だったので、予定していた明神池への散策はやめて一路大阪に帰ることにしました。天候のこともあるのですが、観光バスで続々とやってくる街着の高齢者グループの多さに辟易したということもあります。バスターミナルからタクシーに分乗して沢渡まで向かい、クルマに戻って長野自動車道・松本I.C.で高速道に入りました。途中、中央自動車道・駒ヶ岳S.A.で昼食をとり、近いうちに木曽駒ヶ岳に登ろうという話が出てきました。夏になるか秋になるかわかりませんが、気軽に山の楽しさを体験するメニューとして考えてみたいと思います。(Mr.O)