萬代山岳会夏合宿 木曽駒ヶ岳

 萬代山岳会初の夏合宿が、2000年8月31日(木)〜9月1日(金)にかけて行われました。今回は日程のやりくりの関係で参加者が少なく、いつもの「いっちゃん」と、H隊員、寒いのが嫌いなO隊員の3人となりました。謎の美女さんも当初は参加予定だったのですが、トレーニングのつもりで行った比良山行でちょっと懲りて今回はパスとなりました。
 今回の合宿は、予定では木曽駒から空木岳まで縦走して池山尾根を駒ヶ根高原に下る2泊3日行程だったのですが、以下のように天候に恵まれず、空木岳への縦走は断念しました。

●一日目
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「しらび平」行きのバスを待つ
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千畳敷駅にて

 初日の31日(木)、8時前にJR石山駅前に集合、いっちゃんの"人民解放軍"車両で名神から中央道に入り、「駒ヶ根I.C.」で降り、駒ヶ根高原の「菅の台バスセンター」駐車場に11時30分に到着しました。大阪は曇ったり小雨だったりで、途中の関ヶ原付近では土砂降りだったのですが、駒ヶ根高原は曇りでした。日本海を北上する台風12号に向かって日本列島の南から湿った暖かい大気が吹き込むため、あまり天気には期待していなかったので、まずまずです。ただバスの切符売り場のおねえちゃんは千畳敷は雨だと云っていました。ま、とりあえず本日のところは上がろうということで、登山のスタイルに着替え、バスで「しらび平」に向かいました。

千畳敷カールを望む
kisokoma2.jpg  「しらび平」から一気に2,600メートルの千畳敷まで7分で上がってしまうのできわめて経済的な山行です。ここでも上高地の時と同じく普段着や軽装のバス・ツアーの中高年グループが大勢一緒でした。ロープウェイでグングン上がっていきますが、ガスっていて展望はあまりききません。やがて12時40分、千畳敷の駅に到着。駅を出たところで記念写真を撮りました。ガスの晴れ間をねらって千畳敷カールと宝剣岳をバックに入れようと思うのですが、うまくいきませんでした。H隊員が腹減ったといって聞かないので、とりあえずここで昼食をとりました。リッツクラッカーと魚肉ソーセージです。H隊員は「そんなんでは食べた気がしない」と一人「お焼き」を食べていました。協調性△です。
 13時に千畳敷を出発。カールを横切って乗越浄土まで急登で高度を稼ぎます。途中、下山してくるバス・ツアーの人たちが次々「こんにちわ」攻撃をかけてくるので応対がうっとおしい限りですが、古来より山の美風とされていることなのでいたしかたないでしょう。登るにつれガスが濃くなり、乗越浄土で雨に変わりました。急いで今宵の宿「宝剣山荘」に駆け込みました。
 宿泊の手続きをして部屋に入り、ザックを一つにまとめてから、明日以降はもっと天候が悪くなりそうだから、まだましな今日のうちに木曽駒ヶ岳に登っておこうと小屋を出ました。本来、小屋の玄関を出てすぐ左に行けばいいのですが、ガスで視界が悪かったのと、積雪期にしか来たことがなかったので、別の道をとってしまい、少し下ってから、こんなに下るはずがないと気づき、元に引き返したため少し時間をロスしました。なお、H隊員のメガネがガスで曇り、少し歩いてはタオルで拭くということを繰り返さないと視界が確保できないということが判明しました。

宝剣山荘にて
kisokoma3.jpg  中岳を経て木曽駒ヶ岳山頂に着きましたが、あいかわらずガスが濃く、風も強くなっています。眺望は全く駄目なので、記念写真を撮って早々に引き上げました。なだらかな稜線なので今日のようにガスに巻かれると道に迷いそうですが、幸い植生保護のためか登山路の両側にずっとガイドロープが張られているので先ほどのように迷うことはありません。
 小屋に戻る頃再び雨になりました。部屋は2階にあり、6人部屋の個室ですが、時期と天候の関係からか客が20人ほどと少なく、3人で貸し切りになりました。もう夕食まで何もすることがないので、持ってきた梅とレモンの発泡酒を飲みゆっくりします。高度のせいでちょっとよく回ります。H隊員は初めての山小屋泊まりなので興味津々といったところで、屋根裏の大部屋を覗いてみたりしていました。
 食事は味噌汁が一番おいしい山小屋の定番の粗食メニューですが、まずまずでした。7時前のNHKの天気予報では、明日は曇りのち雨、明後日は雨のち曇りとなっていて、今日より悪いようです。ただ、明日の雨は夕方からということなので、午後2時頃に木曽殿山荘に入っているため大丈夫だろうということになりました。
 部屋に戻ってから、ウイスキーを舐めながら、これまで行った山の思い出話や、今回参加できなかったメンバーのことなどを語り合いました。外では庇を叩く雨の音が強くなり、風の音もします。やがて小屋の発電機が止められ、ボソボソ聞こえていた隣室の話し声も絶えて、世界は雨と風といっちゃんのイビキだけに包まれました。

●二日目
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中岳より頂上山荘を望む
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ガスの木曽駒山頂にて

 二日目の9月1日(金)の朝は、昨晩よりもしっかりと降っている雨と強い風の音の中で明けました。今日一日は風雨の中の行動となりそうです。朝からこのコンディションでは、縦走初体験のH隊員にとってちょっときつかろうということになり、比良で挫折した謎の美女さんの二の舞を避けるためにも、今回は空木岳への縦走は断念しようということに意見が一致しました。
 一応、小屋の目と鼻の先にある宝剣岳だけは登っておこうということで、雨具に身を包み、空身で小屋を出ました。風雨がかなり強く、雨が叩きつけるため、H隊員のメガネ拭きも頻繁になります。岩場では曇って視界が悪くなるため危険です。宝剣岳は岩稜で鎖場もあるため、慎重に慎重を重ねて、眺望のまったくきかない中、頂上に立ちました。晴れていれば千畳敷をはじめ雄大な風景が眼下に広がるはずです。もっとも、ガスっていて下が見えないのでH隊員にはよかったのかもしれません。記念写真を撮って、すぐ小屋に戻りました。

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宝剣岳の鎖場を登る
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宝剣岳山頂
◆コースタイム◆
<1日目>
13:00 ロープウェイ千畳敷駅
13:35 宝剣山荘
  <休憩>
15:00 宝剣山荘
15:15 中岳
15:35 木曽駒ヶ岳
  <休憩>
15:45 木曽駒ヶ岳
16:10 宝剣山荘

<2日目>
 7:00 宝剣山荘       
 7:25 宝剣岳山頂
 7:40 宝剣山荘             
 8:25 ロープウェイ千畳敷駅       

 小屋に戻り一服してから下山にかかりました。昨日はゾロゾロと人が上下していた千畳敷への道も誰もいません。雨の中を千畳敷駅に到着。下りのロープウェイは3人で貸し切りでした。「しらび平」の駅でバスを待つ間に防災の日の避難訓練に避難客として参加の後、バスで駒ヶ根高原に下りました。「こまくさの湯」という日帰り温泉がバスセンターの近くにあるので、開館の10時まで待って一風呂浴び、汗を落としました。ゆったりとした浴場で、透明で無臭の少しツルツルしたお湯です。本来ならば最終日に下山してから浸かる予定でした。
 昨日、小屋に宿泊手続きをした時に、二日目の縦走を考えて小屋に昼食の弁当を頼んでいたため、この温泉の休憩室で弁当を食べてしまおうと考えたのですが、「持ち込み一切お断り!」とのことで、やむなく中央道の「駒ヶ岳S.A.」で弁当を開きました。ここから見る中央アルプスは厚い雲に覆われています。
 中央道から名神の道中は曇ったり晴れたりでした。JR石山駅に午後2時半すぎに到着。次回の山行を約して解散となりました。