金ぴかのお月さん
自宅の近く、帰り道。
西の空にまんまるで金ぴかのお月さん。
まだら模様でまぶしく光っている。
本当に美しい。
右隣にそれをコピーしたようなダミーのお月さん。
少しだけ暗いといえば暗いが、ほとんど同じくらいに光っていてまぶしい。
視線を下ろすと田んぼを雪がうっすらと覆っている。
その上をバイクでも通ったのだろう、土色の一本の線が視界に対して水平方向に走っている。
しかしこの風景の構図は逸品だ。
家まで近いので急いでカメラを取って引き返す。
雪は残念ながら既に融けて土色の地肌が現われている。
太陽は東の空に。
その仰角は月と同じぐらい。
その左には大きな輪を垂直方向に持つ天体が。
土星を大きくして縦にしたような形だ。
雲で覆われ、シルクスクリーンをかけたようにほのかに見える。
つまり、コントラストが悪い。
まずそれを撮ろう。
絞りを最大に開けるとシャッタースピードは1/125secで撮影可能だ。
ファインダーを覗きながらまずズームを上げて画面一杯に一枚。
次に広角にして地上の風景を入れて天体が左上に位置するように構図を選ぶ。
あれ? 見えない。
カメラから目を離す。
やはり肉眼でも見えなくなっていた。
惜しい。
さて、美しいお月さんを撮ろう。
非常にまぶしい。
このままのオートでは周囲が真っ黒に写ってしまうではないか。
最も光っている部分がちょうど手前の岩山の先端で隠れるようにすると、うまい光量バランスになる。
雪が消えたのが残念...
次は岩山を入れずに月の全体を撮りたい...
目がやられないか心配...
ファインダーを覗かずに撮るか...
目が覚めたらクレヨンで描こう。金色のクレヨンは、あったかな。
(初出:1996/04/06 Nifty-Serve 某ホームパーティー、 1998/04/19 某パティオ用に一部修正、 2004/05/17
改行位置等微修整)