FAUST大阪レポート(心斎橋 Muse Hall) 〜1997年12月11日(木)
6時開場の予定が7時半になってもまだ開場しない。約2時間遅れ。
スタッフの話では、FAUSTが着くのが遅く、またセッティングに時間がかかったとのこと。
続いて前座バンドのリハが行われているとのこと。8時頃会場。
<<前座1 マゾンナ(約10分)>>
(vo)ワッ!
(electric noise)ぐりゅりゅりゅりゅじゅりゅりゅりゅりゅーーーずわじゅりゅ
ぐわじぇずりゅりゅりゅーーーじゅりゅぎゃーーぎゅじゃーーーーー
(vo)ワッ!
(なにをしでかすかわからない あぶない)
<<前座2 ソルマニア(約20分)>>
(electric noise)ぐおわーーーーーーーーぎゅあーーーーーーーーーーーー
(vo)ゾーーーーーーーゾーーーーーーーーーゾーーーーゾゾーーーーーー
(electric noise)ぎゅおーーーーーーーぎゅーーーーーーーーーーーー
(vo)ゾーーーーーーーゾーーーーーーーーーゾーーーーゾゾーーーーーー
(electric noise)ぎゅいーーーーーーーーーーーーーーーー
(ノイズの中で、のたうちまわる)
Gong の時の前座(?)のドラムンベースのレイブパーティーは私にとって耐え難いものだったが、こういったノイズ系の音は、「うん。わかる。」
<<FAUST(約143分)>>
美しい。。。
私はFAUSTの作品をあまり多く聴いていないことが幸いしているのか。
これまでの一連のジャーマンのライブでは、聴取者の私は往年の姿を現認・検証する作業に意識が行っていたと思う。
対して、このステージの音は、私にとって新鮮であり、素直に楽しめる。
来て良かったと思う。
大ファンになるかもしれない。
FAUSTの音からは、私は「純白」の色を感じる。
このステージの音も「純白」の色だ。
日本のノイズバンドは、「おぞましさ」、「狂気性」の提示がテーマであるように感じられるのに対し、
FAUSTはあくまでもクールである。
平常心の中でこの音が捉えられ、演奏されている。
また、Fred Frith との対比を述べたい。
Frith のステージからは、「奇をてらう」ことを意識させる「イベント」性を感じるのに対し、
FAUSTの場合は「事を行いニタッと笑う」のではなく、真剣である。
「これが音楽だ」という姿勢?
猛烈な煙を出す花火が焚かれ、会場は煙だらけ。
そんなこんなで終わったかなと思ったら、
打楽器のおやじがでかいハンマーを肩にバレリーナのようにステージ前方をくるくると回り始めた。
と思ったら、おやじは突然キレた!
壁に立て掛けてあった大きな鉄板を力任せにハンマーで叩いたと思ったら、
続いてステージ中央で何やら爆発性のものを叩き破裂させた。
目撃できなかったが、音から察するとでかいブラウン管でも割ったのか、それとも火薬の塊を叩いたのか?
おやじは単調で乾いた音のドラムや鉄板を重工業的に実によく叩き続けた。
ここまで単調なリズムリフをシーケンサの手を借りずにやるか?
大きな何本もの鉄パイプをドンガラガッシャン、ドンガラガッシャン。
ドンガラガッシャン、ドンガラガッシャン、ドンガラガッシャン、ドンガラガッシャンと執拗に落とす。
また何かパシャーンとやったな。でかい真空管か火薬か?
続いてコンクリートミキサーのベルトが回され、その中には砕石らしきものがあり、
回転に伴ってゴンジャラコンク、ゴンジャラコンク、ゴンジャラコンク、ゴンジャラコンク、と音を立てる。
それに併せるように又鉄板とドラムを重工業的に叩き続ける。
ミキサーの投入口からは微粉化された採石のような砂煙がもうもうと立ちのぼる。
なぜあんなに煙が出るんだろう?
アンコールは「ガラスを割る!」と言って、すさまじい音をさせてパシャーンと何か壊して、会場拍手。
終わってステージの残骸を見れば、荒れ放題の産業廃棄物の山! こんな所で楽器を弾いていたのか?
(初出:Nifty FLOCKL(17) #10686, 1997/12/12; 誤字修正・改行位置変更・文字飾り:2004/05/19)