☆鳴門市競艇従事員共済会への補助金違法支出、勝訴
(平成28年7月) No.0
徳島地方裁判所に上記の補助金違法支出損害賠償等請求事件を提起しました。
(2011年9月)。ところが、判決は法律の定めを無視。驚くなかれ。
徳島地裁2013=平成25年1月28日判決は、臨時従事員に、条例もなく、退職金類似の金銭を支給するため、役所が作らせた互助会に補助金を支給したこと(トンネル補助金)が給与条例主義(地方公営企業法38条4項)に違反しないとしたので、びっくり仰天、さらに、高松高裁2013=平成25年8月29日判決も同じ。条例で決めなければならないのに,条例で決めないで,裁判所がその程度の退職金を出すことは、地方自治法232条の2に定める補助金の公益性に適合すると判断した。これは,議会の権限を裁判所が奪うもので,民主主義に反します。公務員の給与は労使交渉で決めるものではなく、議会が決めるものなのです。直接払えば違法なのに,互助会を通じて補助金を出せば適法というのでは,脱法行為が蔓延する。
これと同内容の平成23年度支出についても住民訴訟を提起ましたが、2013年10月4日に結審し、平成26年1月30日の判決(裁判長黒田豊)はこれまた仰天。先の年度で訴えが提起されたので臨時従事員に退職金を支給するという条例が制定されたが、これは退職金の額も何も書いておらず、補助金支出については何ら規定していない。しかし、この判決は、これで補助金支出を正当化できるというのです。退職金の基準は条例に定めなければならないのに,何らの基準も規定していない条例を根拠としてしまっている。法治行政違反も明白のはずです。当然、控訴するしかないが,裁判所は、とにかくモグラたたきのように何とか理屈を付けては,役所のやることを正当化する。中東の笛です。
高松高裁平成26年8月2日判決も結論は同じ。
2件とも上告した。2年も返事が来なかったが、3月に口頭弁論をするという通知が来て、平成28年6月17日に、口頭弁論がなされた。私は3分だけ時間をもらって、口頭で弁論したが、鳴門市側は、何も主張しなかった。
この平成28年7月15日、2件とも判決が言い渡された。いずれも破棄差し戻し。互助会への補助金支給は、私見と同じく給与条例主義違反とされた。このことは就労実態により変わるものではない。また、遡及的に給与を支給したこととするという条例も、根拠にならないとされた。しかし、互助会への不当利得返還請求、公営企業管理者などの職員への損害賠償請求については、高松高裁で審理することとなった。判決は、最高裁のHP、裁判所情報に早速掲載されました。http://www.courts.go.jp/hanrei.html
やっと勝訴したが、また、高松まで行かなければならない。
平成29年2月2日高松高裁で結審のつもりが、簡単な釈明があって、5月18日にもう一度。なんと手目暇のかかること。釈明を法廷ではなく、書面でしてくれたら早くなるのに。
この事件については、法セミ2017年3月号「最高裁判決2016年 弁護士が語る 鳴門市競艇従事員共済会への補助金違法支出損害賠償等請求事件 最高裁平成28年7月15日判決 最高裁判所第二小法廷」にわかりやすく掲載しました。
☆ 競艇事業を行っている鳴門市が漁協に公有水面使用協力費を支出したことを違法であるとする損害賠償等請求訴訟。勝訴、権利放棄議決
この訴訟は2012年4月に提起しました。
裁判所が訴状を被告に送達するのには、驚くべきことに3ヵ月かかっている。当方が監査の結果を踏まえて訴訟を提起するのにわずか30日しか与えられていない。
水面の工事をして迷惑をかけた年度に協力金を払うことは理解できるが、すでにそのような工事もなく、漁業権もないのに2つの漁協にそれぞれ年に約1000万円を払うのは違法であり,過失があるというのが当方の主張です。2013年10月に結審し,2014年1月31日勝訴判決(裁判長黒田豊)がでました。
平成22,23年度の支出については、すでに協力金を払う理由がなく、違法であり,漁協はその受け取った金銭1900万円を返還せよという趣旨で,勝訴しました。やっとまっとうな判決が出た思いです。しかし、過去の年度については、情報公開を請求して、違法を知ってから訴えを提起するまでに109日もかかったのでは、監査請求をする期間徒過の正当な理由がないとして却下されてしまいました。
平成27年1月30日高松高裁判決(山下寛裁判長)は、この地裁判決を維持しました。これは、最高裁平成28年2月26日決定でもそのまま維持されました。
同様の趣旨で、平成25年度の漁協への協力金の支出について提訴したところ、徳島地裁は平成27年12月11日、860万円の請求認容判決を下しました。
高松高裁で係争中、鳴門市議会は平成28年4月19日、この2つの漁協への協力金の返還請求権を放棄する議決をしました。
この議決が適法かどうかが高松高裁で争われ、平成28年9月7日に第一回弁論が開かれました。ああ、本当に面倒。
高松高裁は、平成29年1月31日、協力金の支出の違法、過失を認めました。判決は、市が水面を占有していることで漁協に支障を与えているとは言えず、協力費の支出は違法と指摘。「必要性を検討せず漫然と支出に及んだ局長の責任は大きい」とした。
しかも、鳴門市議会が行った権利放棄議決を裁量濫用で無効としました。高裁段階ではこれは本邦初で、画期的である
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