本文へジャンプ          阿部泰隆の経歴

最高裁が、新規業者に与えられた一般廃棄物処理業許可について

☆最高裁が、新規業者に与えられた一般廃棄物処理業許可について原告適格を認めた

最高裁判決(平成26・1・28民集68巻1号49頁、判時2215号67頁、判タ1399号78頁、判例自治380号50頁)

 

要旨

「市町村長から一定の区域につき既に一般廃棄物処理業の許可又はその更新を受けている者は,当該区域を対象として他の者に対してされた一般廃棄物処理業の許可処分又は許可更新処分の取消訴訟についてその原告適格を有する」

 

 

 

適正配置などの需給調整規定が明示的に定められているわけではないが、廃掃法の文言だけではなく、法令の趣旨、目的、その仕組みなどを実質的・柔軟に解釈し、一般廃棄物処理業は市場原理にゆだねられるべきではなく、事業の継続性、安定性が大事であり、新規許可によって害される既存業者の利益を考慮すべきだと、柔軟に解したものである。

 同様の案件については、私は,鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の理不尽な却下判決を受けていて,その際は上告を取りやめていましたが、福井県小浜市の事件で湯川二朗弁護士から依頼されて、「競争業者の原告適格(12・完)―新たな需要がない状況で第三者に与えられた、一般廃棄物処理業の新規許可に対して、既存処理業者が提起する取消訴訟を例として」(自治研究88巻4,5号)という意見書を最高裁に提出していました。湯川先生の尽力もさることながら、小生の意見も参照されて,上記の最高裁判決により、原告適格が拡大されたものです。

 これから、一般廃棄物を処理する新規業者に対する許可や許可の更新について、既存業者が争うことができることになりますので、全国的にこの種の訴訟が増えるでしょう。

 





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