本文へジャンプ          阿部泰隆の経歴

泉佐野市ふるさと納税訴訟最高裁逆転勝訴

冒頭の頁の額の文章も姉が喜寿祝で書いてくれたもの。僕は子供のころからの「へそ曲がり」、筋が通らないことは大嫌いという性格です。これが先人の学問を乗り越えようという発想につながる。

 あ  荒井一番の 

 べ  へそ曲がり

 や  やっちゃん先生

 す  筋曲げず

 た  戦い続ける

 か  学者道  

 朝夕に 神戸の海を眺めても

 夢に見るのはふるさとの山          

 

泉佐野市は、過剰な寄付集めをしたとして、今年度のふるさと納税制度から排除されました。同市は、総務省を相手に、国地方係争処理委員会に不服を申し立て、勝ちました。しかし、総務省はこれに応じないので、泉佐野市は大阪高裁に出訴しました。わたくしは、泉佐野市の主張を、この委員会と大阪高裁で応援しました。泉佐野市はけしからんと思っている人が多いですが、違法とされていない行為を理由に不指定とするのは、地方自治の保障、法治国家の観点から違法だというのが私見です。

 

大阪高裁は、返礼品を過度に提供して寄付募集してはならないという「法的枠組み」があったので、過去にそれに違反した泉佐野市は、これからも制度から除外されるのはやむなしというものです。しかし、そのような「法的枠組み」はなかったのです。総務省も、もともの過度な集め方をするなといっていたのは、単なる指導助言であって、従わなくてもよい代物であったことは、国地方係争処理委員会でも認めていたのです。高裁になって初めてそのような主張をし、高裁はこれに応じました。

 しかし、そうした枠組みはなかったので、泉佐野市の寄付金募集の方法にいかに違和感を感じようと、それを理由に制度から排除するのは、遡及立法です。最高裁はこれを認めました。

 過去の募集態様を理由に新制度からこれからも除外する根拠は、地方税法が定める「募集の適正な実施に係る基準」を具体化することを委任された告示によるものですが、最高裁は、この文言は、「その寄附金の募集の実施の態様が適正か否かについての基準を意味するものと解するのが自然である。」から、「改正規定の施行前における募集実績自体をもって指定を受ける適格性を欠くものとすることを予定していると解するのは困難であり」として、告示は委任の範囲を超えたとし、過去の募集態様による指定除外も委任の範囲内とする総務大臣の主張を排斥したものである。

一般には泉佐野市のやり方に賛成できないという意見がありますが、しかし、総務大臣は、事前のルールによらずに指導に従わない地方団体を排除しているので、地方団体は、国の行政機関に盲従するしかなくなります。これでは法治国家・地方自治保障国家とは言えません。したがって、総務省の方の無茶苦茶が大きいのです。

 

 

   




フッターイメージ