本文へジャンプ          阿部泰隆の経歴

☆大分県教員不正採用取消しを違法として取消しつまり採用に戻った
(大分地裁平成27年2月23日判決)
 

教員採用や校長・教頭の昇任を巡り、大分県教委で、不正な合格や昇任に絡んだ現金授受などがあったとして県教委の幹部や小学校長ら計8人が贈収賄の罪で有罪判決をうけた。県教委は内部調査の結果、2008年度試験の採用者のうち21人を不正合格者と認定。自主退職しなかった6人の採用を取り消した。このうち、今回の原告ほか一名が採用取消処分の取消しを求めて提訴していた。

 原告は2008年度試験で合格したが、同年に発覚した汚職事件後、県教委が採用担当者のパソコンなどを調べた結果、原告の試験結果が加点されていたとして、採用を取り消された。臨時講師に採用されたが、09年2月、不正への自身の関与を否定して提訴していた。

 判決はまず、原告が不正に加点されたことによって合格したと判断したが、不正な加点をするよう原告が県教委関係者らに依頼したとは認定できない。

 その上で、公立学校の教員採用は「能力実証主義」が適用されるが、それに反するのは、「能力が実証されず、情実に基づく不公正な人事」である。そして、原告の採用は情実に基づくものではないから適法であり、取り消すことはできないとした。

 また、仮に採用が違法であったとしても、不正採用について、原告の関与はなく、県教委の責任は重大であり、採用取消しによる原告の不利益が大きいこと、原告の復職による公益は大きくないことを理由に採用取消し処分を違法とした。

 これについては、筆者の意見書「教員不正採用を理由とする職権取消しの違法性」自治研究89巻3号3~30頁(2013年3月)が参考とされたはずです

  


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