「トヨタ生産方式の考え方」 を考える
                                                                                           2006年 年頭にあたって
        

「トヨタ生産方式の考え方」は、特に製造業に限ったものではない。

元トヨタ自動車副社長・相談役 大野耐一氏は全国ドライ新聞社の特別掲載のなかで、

 

 = 数年前になりますか、始めてクリーニング業界の方が私共のところへ来られたのですが、

その時「トヨタ方式」をクリーニングでやって、非常に業績が回復してきた、良くなったという話しを聞いて、

私もちょっとびっくりしたのです。

 前々から私自身も、「トヨタ方式というのは、中小企業向けのものの作り方なんだ」、あるいは

業種は問わんのだ」などということを常々言っておったんですが、実際にやれるかどうかは、

まあ正直わからんかったですからね。     と話されている。



あらゆる業界で、様々な手法により「改善」を目指した方法が論じられているが、殆どがその一部の手法を

取り上げて狭い範囲で進められているに過ぎないのではないか。

 

 「物・人・情報・金」がインプットされ、多種多様な結果がアウトプットされており、そのプロセスで

行なわれているマネジメント方法が数多く紹介されている。

 ここで一歩距離をおいて眺めてみると、いたる処に「トヨタ生産方式の考え方」がみられる。

企業の最終目的の一つは利潤の追求であり、このために多くの努力がなされているが、そこにはもう「ムダ」は

ないのだろうか? 良い結果が得られたからといって決して「良し」としてはならないと考える。

 

 一つの事柄についても多方面からアプローチをして、「ムダ」が低減された仕事を目指すプロセスにおいて、

様々な「ムダ」が見えてくる。

「ムダ」が見えてくればそこにある問題が顕在化し、顕在化すれば更なる「改善」が可能になる。

 

=「見えなくては」始まらない =

 

 「物・人・情報・金」の流れの中で、「ムダの排除=改善のサイクル」を回すことにより、これらの流れがスムーズになり

スリムになってくる。 スリムになることは、ひいては「コスト低減」につながる。

 

 このように考えてくると、その根底にはまさに「トヨタ生産方式の考え方」が存在することに気づかれると思う。

「トヨタ生産方式の考え方」は、全ての業界・全ての仕事人が日常の活動のなかで、これだとはっきりと認識して

いないうちに取り入れている考え方であり、この考え方を明確に理解し追及することが、企業の最終目的の一つ

である利潤の追求に寄与することになる。

これは「トヨタ生産方式」の“儲ける”という意思の入ったモノの見方・考え方である。

 

 今後、上記の考え方をさらに追求し膨らましていくことで、「トヨタ生産方式」の研究を進めたいと考えている。

先ず、一般に云われている様々な「手法」を分析し、「トヨタ生産方式の考え方」をベースにしてこれらに対する理

解を深めて行きたい。

                                                      

                                                 2006年 1月   ∞Infinity