● 他人と朝を迎えた妻


私は小野まさお、妻の名は理香。 子育てを終えて、ゆったりと二人暮らし・・

「妻を貫いた他人棒」でお馴染みの、四十路を過ぎた夫婦です。



しとどに濡れそぼった媚肉の奥を、他人の勃起しきったものが抉っていくと・・体から噴き上がる悦びを堪えきれず、よがりの声を洩らす妻・・・


二年ほど前から、こんな淫らな妄想にとり憑かれて、禁断の扉を開けてしまった私・・・



これまでは、妻が私以外の男に抱かれて喜悦に喘ぐ様を、その傍で眺めながら愉しんできたのですが、

ついに、妻を私の目が届かない場所へ送り出すことに踏み切りました。



初めて、妻を、男が待ち受けているところへ送り出して・・

その夜、私が過ごした夜の寝苦しさ・・翌朝、他人と朝を迎えた妻に会った時の胸の震えを綴ります。





第一章  【開かれた扉】

最初に、私がどうして妻を“貸し出す”ことを決意したのか、その辺りの経緯についてお話します。



妻を、私以外の男が待ち受けている所へ送り出すことについては、当初から躊躇いと抵抗がありました。



私の目が届かない密室の中で、妻と男の間で営まれる悩ましい行為を想像すると、段々と空想の世界が広がっていって・・

あられもない姿を男の前に晒し、狂おしげに体をよじる妻の姿が思い浮かんできます。



多分、私が傍にいないので、夫に対する不貞と背徳の陰も随分と薄くなり、悦びの度合いが格段に増すのかも知れません。



でも、私の頭にはびこる、妻が私知らないところで性の悦びに悶える姿は、あくまでも空想であって・・

私が傍におればこそ、私の目で優しく見守ってあげることができると考えていたのです。



従って、これまで、催淫剤のようなその誘惑に駆られても、妻を私の目が離れた場所へ差し出すことは思い止まってきました。



(愛する妻を、私以外の男のもとへ貸し出すなんて・・それは妻に対する私の捻じ曲がった情愛、とどのつまりは自分のエゴであって、

心のどこかに妻を蹂ぶる嗜虐性が潜んでいるのではないか?


セックスとは、快楽を求めるものであると同時に人と人の心をつなぐもの、夫婦間の愛情を深めるための手段であって・・

おまえは、妻の心を他人と繋がせたいのか?)



こんな風に、これまで理性でもって“妻の貸出”を思い止まってきたのですが、

ある方とのメールのやり取りで、私のこの思いが、夫側の視点に立った独善的なものであるかもしれないと気づいたのです。



その方から届いたメールは、次のような内容でした。


「・・・『大切な宝物が、徹底的に汚されて、踏みにじられてしまうことは我慢できない』というのは、男性として理解できます。

でも、それって、裏を返せば、『奥様は自分の所有物である』という思いの裏返しなのではないでしょうか。


奥様の心の中では、そうなればなったで、別室での交わりを愉しむ覚悟はできているかもしれません。



ひょっとしたら、いつも傍らで、見知らぬ男性との「行為」を見ている旦那様のことを、

『傍にいてくれて安心』と思うのではなくて、

『このひとときばかりは、愛する人の目を気にせずに性の悦びに浸り、本当の自分になりきりたい。』


と、思っていらっしゃるかもしれません。」



このような指摘を受けた時、


(ああ〜 世の中には、このような考え方もあるのか?) 


これまで自制してきた潜在的願望に、メラメラッと火がつきました。



私が、終始、男との交わりに喘ぐ妻の傍に居たい訳は、その生々しい行為のすべてを見て、自分の性的欲求を満たしたいのが最大の理由なのですが、

その他に、自分に言い訳できる別の理由もあるのです。



その理由とは・・

見知らぬ男に対して、体のみならず次第に心まで開いていく妻の姿をしっかり自分の目に焼き付けて、

私の願いに応えてくれる妻のことを、これからも一層愛おしく思えるようになりたい。



そして、決して他人には口外できない“二人だけの秘密”を心の奥底に留めておいて・・

同じ咎を背負った者どうし、互いに深く理解し合える間柄になりたい。



でも、それは私にとって都合が良い、独り善がりな理屈であって、

妻にとっては、私が傍に居ること自体、何だか監視されているようで、絶えず夫の目を気にしなければなりません。



悦びに震えていても、その官能を控え目に表現しなければならず・・


一通のメールが、「愛しているが故の束縛」なんて、妻は望んでいないのかもしれないと思い直させてくれたのです。



妻を一夜、男と共に過ごさせる・・ これまで随分と分別をして、このような誘惑を戒めてきたつもりですが、

新たな誘いの手が差しのべられたことによって、未知の体験への願望が止めどなく高まってきました。




さて、一旦このようなことを決断したとなれば、次に考えることは、妻の“貸出”のお相手をどなたにするかということになります?


サイトに溢れる体験談を読んでいますと、奥様を荒々しい男に抱かせたとか、

身汚い男の好き勝手にさせたとかいう描写を目にしますが、私はそんな風にして、妻を“行きずりの男”に差し出すところまでは踏み切れません。



「女性は、『絶対に安心』という保証があれば、乱暴にセックスされることに性的興奮を覚え、自分が嫌悪さえ覚える男に身を任せる。」

という女性論もあるようですが、私はどうしてもそのようなことをする気になれないのです。



避妊のことはもちろん、妻が嫌がることをする可能性がある男、

女の悦びを逆手にとって、それを躙ることだけを楽しむような男には、絶対に妻の体を預けたくないのです。



こんな訳で、例え、妻がその男に恋い焦がれる余り、私の元を去っていく危険性があるとしても、妻自身が魅力を感じる男にお相手になってほしい。


そして、その好きな男と一つになって、思う存分、性の悦びによがり狂ってほしいと願うのです。



そうすると話は、具体的な妻のお相手のことになる訳ですが、この前、小旅行をしたばかりなので、そんなに度々遠出する訳にはいきません。



限られた範囲で、私が見知っている中で・・そして、妻が身を委ねきってもいいという程の魅力がある男性となれば・・

妻の体を通り過ぎて行った何人かの男の顔が思い浮かんできますが、私は、その男性を、妻に選んでもらうことにしました。




さぁ、妻を、どのようにして説得するか?

妻が私以外の男に抱かれる最初のうちは、頑なに首を横に振っていたものですが、同じような経験を重ねるうちに、

段々と、私の求めを拒むことが少なくなってきました。



想像するに・・ 一度、他人に体を開いてしまったということが、心の重荷になり、

決して、消すことができない咎を背負ったことが、彼女の抵抗感を弱めてしまったに違いありません。



そんな訳で、『また、一苦労しなければならないな。』と、思いつつも、最初の頃のように、頭から撥ねつけられることもあるまいと思っていました。




ある夜、私は妻に、心の内を打ち明けます。


「あのさぁ、前に、冗談半分でおまえにもちかけたことだけど・・ 一度、男の人と二人だけで夜を過ごしてみない?」



妻は、一瞬、私の目を見つめ、目を落としながら、つぶやくように言いました。



「他の男の人のところへ出かけるってこと? そ〜う・・とうとう、しちゃうんだ・・」



余りに、手応えがないというか、腑に落ちているというか・・

まるで、そのことを予期していたような受け答えに、私は何だか、“拍子抜け”してしまいました。


私が知っている限りの妻は、どこまでも恥じらいがちの貞淑な妻だったはずです。



「随分と、物分かりが良くなったんだね。」


皮肉が、口をついで出ます。



「そのうち再び、あなたから、そう言われるんじゃないかと思ってた。」



「こんなことを続けていると、先のことまで読めるようになってしまうのか?」



「うう〜ん、だって・・ 去年だったかなぁ?

あなたが私に、『もし、男の人と二人だけでセックスしてもいいよって言ったらどうする?』って、尋ねた時のこと覚えてる?」



「ああ、覚えてるさ。 その時、おまえは、『あなたがそう言うのなら、多分出かけると思う』って言ったはずだ。」



「Aさんに抱かれた時よ。 あのあたりから・・

ひょっとして、私の心の中に、そんなことを密かに願っている別の自分がいるんじゃないかって思うようになったの。


あの時は、私がAさんに言い寄られて・・いつもはわたしが悩んじゃうんだけど、あの時はあなたに決めてもらったわ。」



「それで・・?」



「あの時、思ったの。 どっちみち、抱かれるのはわたしなのに、あなたに決めさせるなんて、自分がずるいんじゃないかって。

どうして、『Aさんのことが好きよ。』って、あなたに正直に打ち明けられなかったのかと、自分が情けなかったわ。」



「そんなこともあったな。

オレも、おまえの話を平然と聞いていたけど、正直言って、『多分出かけると思う』って聞いた時はショックだった。」



「それからね、あなたからそんな話をもちかけられる度に、『こんなこと、いつまで続けるつもりなの?』って、訊いているけど、本当は・・・

もう、元に戻れないことも、急にストップできないことも、自分で分かっているの。」



「それは、そのこと、OKしてくれるという意味なんだね。」



「だって・・ここまで来たんでしょ? もう、あなたの申し出を断る理由なんてないわ。」



「それにしても、随分と悟ったもんだ。」



「遅かれ、早かれ、いつかそんな時がやってくると思っていたわ。 

でも、段々とヒートアップしていって・・ そのまた先、自分がどう変わってしまうんだろうかって考えると、すごく怖いの・・」




こんな会話を交わしながら、私は、“お相手さん選び”を妻にもちかけます。



「これまでは、おまえが『あなたが選ぶ人に間違いはないわ。』って言ってくれたおかげで、オレが相手の男性を決めていたけど・・

今回は、新しいことに踏み出すんだ。


これまで抱かれた男性の中から、おまえが『もう一度、抱かれてもいい』って思える男性を選んでほしいんだ。」



「そんなこと、わたしの口から言わせるの? ひどいこと、言うのね。」



「いやっ、そうじゃないんだ。 正直に言うよ。オレたちの“約束”に変わりはないんだ。

ただ、初めて・・ 他の男と夜を過ごすことになる訳だから、おまえには素敵な男性に抱かれてほしいんだ。」




「そんなこと、あなたの“奥さん”に決めさせて・・いいの?」



「今回は遠出するつもりはないんだ。場所は、近場のホテルにしようと思っているんだけど・・」




こんな会話が続いて、それから妻が口にした言葉を辿ってみますが、

万が一、妻のお相手をしてくださった方にご迷惑をかけると申し訳ないので、名前は控えます。



「Aさんとは、その後ずっと普通の関係で、何もないよ。 でも、彼の好意はひしひしと感じるの。 だから、それを壊したくないわ。」



「Bさんは、あなたに似すぎているもの。」



「Cさんも、素敵だけど・・この前、セックスしてみてわかったの。何となく、合わないって・・」



「わかった。南さんだろ?」



「うん、その中で一人ってなると、やっぱり・・

うふっ、言っちゃった。 あなたもそれを望んでいるんでしょ?」




「妻の貸し出し」・・このことは、当分、私と妻の胸内にしまっておいて、

南さんには、「この前と同じようなことを、お願いできないか?」とだけ、頼むつもりです。



当日になったら、前回と同じように私の傍で妻を抱いてもらって、

その後、「もし、南さんさえよろしければ・・」と切り出せば、私の申し出を受けてくれるでしょう。




そのように決めた訳は、やっぱり私の心の中で・・

妻がホテルへ出かけていって、家に帰ってくるまで・・ ひたすら独りで悶々とした時間を過ごすことに耐えられそうもなく、

それじゃ、余りにも私が淋しすぎると思ったからです。



これまで通りのことと、新たに決意したこと、二つのことを共に行うことで、自分が満足できます。



でも、果たしてこれでよいのか、考え直すなら今のうちだ・・ 未知の体験への不安は、その後もずっと私の心に沈んでいました。





第二章 【二度目の交わり】

話は、閨での睦言から、“二人の交わり”へと進んでいきます。


二部屋予約しておいたホテルの一室に入ると、南さんが、にこやかに私たちを迎えてくれました。



「小野さん、お久しぶりです。 とんと、ご無沙汰じゃないですか? その後、お変わりありませんか?」



「ちょっと、あの店から足が遠のいてしまって。 南さんこそ、お元気そうで・・ 今日は、妻のこと、よろしくお願いします。」



「奥様、しばらくぶりです。相変わらず素敵で・・ この前、ご縁をいただいて、今日また、お会いできるなんて思ってもみませんでした。」



「きっと、南さんには、ご迷惑をおかけしたと思います。私たちのわがままにおつき合いしていただいて・・」



「そんな“わがまま”なんて・・ ご主人とあなたに感謝しています。」



「南さん、あの・・ 主人からお話があったとき、当然、わたしもそのことを了承していると思われたでしょ?

そんな軽い女とまた・・なんて、嫌になりません?」



「そんな訳ないですよ。 前にも言ったのですが、小野さんのことが羨ましくて・・」



二人の会話には、弾んだような・・ 一度、肌を寄せ合った男女が持つ“親密さ”が匂っています。



(あれから、まだ一年とは経っていないが・・ その後、二人で言葉を交わしたこともなかっただろう。


これから始まる交わりを悦び多いものにするためには、

そして、その後、別室で行われる営みを狂おしいものにするためには・・)



「どうですか? こうして再会できたのですから・・ 妻と一緒に、シャワーを浴びてこられませんか?」



「えぇ〜っ、小野さん、そんなことを私に勧める貴方には思えないのですが・・何か、心境の変化があったようですね。」



「いや、ただ、南さんが、そうしたいと思っておられるのでは・・と、気を利かしたまでなんですが・・」



「そうですか。 そうおっしゃるなら、せっかくのご厚意ですから・・甘えさせていただきますか?」



二人が連れ立って、個室バスに消えたのを見送った私は、独りで物思いに耽ります。



(奇しくも、このホテルの部屋は、前回の時と同じ部屋じゃないか? あの時は互いに初対面で、妻は『小野の家内です。』とあいさつしたっけ。



緊張の余り、ぎこちなかったあいさつも、今日は随分とスムーズだな。あれから時が過ぎて・・変われば変わるもんだ。



あの時と比べて最も大きく変わったことは、この後 南さんと交わった妻が、私が立ち入ることができない部屋へ出かけてしまうということだ。)



妻を、一晩中、男と一緒に過ごさせる・・ どうなってしまうかは、私がその男の立場になって考えれば、容易に想像できます。



この後、南さんと交わった妻が部屋を出ていく時、戸口で振り返って私を見つめたら、何て声をかければいいのか?



こんなことを想っていると、隣のシャワー室のことまでも気になってきます。



きっと、赤味がかった室灯の下で、これから交わる女性の全てを見つめ、愛おしむように両手を彼女の背中に回し、

彼女の肌の温みを感じようとしているに決まっています。



(多分、心を開いて、思いの程を語り合っているのだろう。 

まさか、早から始めるってことはないと思うが・・ いいウオーミングアップじゃないか。)




しばらく経って南さんが、妻より一足早く、バスルームから出てきました。



「まぁ、一息つかれたら・・? どうですか、理香と「旧交」を温められましたか?」



「“きゅうこう”? アハハッ、まさしく“旧交”ですよね。 おかげさまで、十分温めさせてもらいました。」


ところで、こんなことお訊きするのは野暮なんですが、この前お会いした時は、微塵もそんな話されなかったのに、

どうして急に、奥様を同じ男に抱かせる気になったのですか?」



「困りましたね。 浴室で、妻が何か言っていませんでしたか?」



「そんなことをおっしゃる奥様ではないことは、貴方がご存じのはずでしょう。」



「そうですね。 後から、お話ししようと思っていたのですが、

実は・・・もし、南さんさえよろしければ、終わった後も朝までずっと、妻と一緒に過ごしてほしいのです。

貴方だったら、多分、この申し出を受け入れてくださるのではないかと思って・・」



「それで、私がその相手に選ばれたって訳ですか?

ご夫婦の話に立ち入って申し訳ないのですが、一つだけお訊きします。


そのことは多分、小野さんが決められたのでしょうが、私の名前が出たのは貴方の方からですか、それとも奥様からですか?」



「どうも、貴方に隠しておく訳にはいかないようですね。 妻の方からです。」



「そうですか? そんなことを奥様に言わせる貴方も、罪深い人ですね。」



「年甲斐もなく、恥ずかしいのですが、妻のことが愛おしいのです。 妻を、 思いっきり愛してやってください。全て、南さんにお任せします。」



「わかりました。そうお聞きした以上、全力で奥様の期待に応えるつもりです。」




そうこうしているうちに、私が望んだ時がやってきて・・

シャワーを浴びて、幾分濡れそぼった体と、逞しく引き締まった体が結ばれたのは、それからしばらくしてからでした。



「理香、その時がやってきたようだ。 さあ〜 南さんの傍に行って・・」



私は、妻の手をとって、ベッド脇にいる南さんの傍まで連れていきますが、どきどきしている様子がよくわかります。



妻の手が私の手から離れた時、一瞬、喉元が動いて、唾を呑み込むのがわかりました。


でも、そのドキドキ感は、初めて男の前で体を開く緊張から生まれたものではなく、自分が望んだ男と再び一つになれる幸せから生まれたものなのです。



南さんが、隣に寄り添ってきた妻の肩に手を添えると、妻の顔が撓りかかるように南さんの胸に埋まっていきました。


それは、妻が“二度目の性のお相手”に抱かれることを、自らに言い聞かせた瞬間でした。


今、妻が、その胸に顔を埋めている男は、悦びをもたらしてくれることが間違いのない「私以外の男」なのです。




やがて、ゆっくりと南さんの唇が妻のそれに重なっていくと、妻はうっとりと目を閉じて身を預けます。


波打つ胸の動悸に押し出された吐息が聞こえるようで、二人は夢中になって舌を絡み合わせています。



私の目には、それがまるで、何年も連れ添っている夫婦が交わすごく自然な口づけのように映りました。




そして、崩れ落ちるようにベッドに横たわる二人・・


南さんが、優しさの限りをつくしながら、妻が身に纏っているものをゆっくりと剥いでいきます。



キャミの肩紐を緩め、ブラのホックを器用に外して・・

南さんの大きな手が、その谷間に覗く双方の乳房を優しく愛撫し始めた時、妻の口から今日はじめての喘ぎが洩れてきます。



仰向けに横たわった妻の白のショーツから、うっすらと黒いものが透けて見え、そこに続くところが柔らかに凹んでいます。



片方の手でうなじを抱きしめながら、もう片方の手がショーツの中へ滑り込むと・・

その下で固く閉じられている両脚が、次第に力みを失っていきます。



この後、目の前で繰り広げられている前戯の次に訪れる光景は・・


妻の体を思いっきり抱きしめながら、体を震わせて、喜びの精を放つ他人

そして、火照った媚肉の奥深く、その欲望の精が奔走るのを喘ぎながら求める妻・・



この後もうすぐ、求め続けてきたものが叶う興奮と、その後に襲ってくるであろう言い知れぬ不安を感じながら、

私は、ぼんやりと二人の姿を眺めているだけでした。




やがて、ショーツの脇を掻い潜った南さんの指先が、妻の敏感な部分を愛おしそうに愛撫しながら・・

耳元で何かつぶやきかけると、熱いため息といっしょに喘ぎが洩れてきます。



「はあぁぁ…… だめえぇ… そんな風にすると……・・」



優しい言葉と、繊細な指遣い・・

南さんの指先が微妙な変化で妻の秘部を弄っていくと、我慢しきれなくなったのでしょうか、

妻が、もどかしそうに自分からショーツを脱いでいきます。



仰向けになってゆっくり脚を開くと、しとどに濡れた艶めかしいものが現れ、南さんが、その谷間に顔が埋めていくと・・

妻は目を閉じて軽くのけぞり、まるで“おねだり”をするかのように、両脚が段々とその角度を広げていきます。



南さんの舌先が潤いの中心を舐め上げていくと、妻がたまらず膝を窄めようとしますが、南さんの両手が、構わずそれをぐいっと押し広げます。



そして、剥き出しになったものを転ばしていた舌先が、それを吸い上げていくと・・妻の声が嬌声に変わっていきます。



「あっ、あぁっ……  あっ、そっ、そこ… そんなの、だめぇ〜っ……!」



「そこじゃないでしょ? 奥さん?」



口では拒否しながらも・・前戯の段階から、愛撫の続きを求めるような言葉を聞いていると、

妻が南さんに、完全に心を開いたことがわかります。



身体中が波打つ様にビク、ビクっと反応している姿を見ていると、きっと、全身がクリトリスになったみたいに感じているのでしょう。



そのうち南さんの唇が、妻の秘所から耳元に寄っていって、頻りに何か囁きかけていますが、私にはよく聞こえません。



何度も、何度も、説得するように囁いていますが、妻は首を横に振るばかりです。


やがて、好きな男の期待に応えられないのを悲しむように、妻の肩の力が抜け落ちていくのが傍目からも判りました。



「この後、私の部屋に来るんだから、今言ったこと・・ もう、何も我慢しなくていいんだ。」



その強めの口調が何を意味しているのかはわかりませんが、その声は私に聞こえるに十分な大きさでした。



南さんは、仕様がないといった風で妻の耳元から口を話し、普通の状態に戻って話しかけます。



「奥さん・・相変わらず、可愛いですね。 でも、今日の方が感じているように見えますよ。」



「自分でもわかっているの。何もかも忘れられそうだって・・ でも・・ごめんなさい。」



「もう、“ごめんなさい”と、言えないほど愛してあげますよ。

そろそろ、ほしいんでしょ?」



目を閉じて、その言葉に頷く妻・・



「はあぁ〜… 挿れてください。もう、我慢できないの……」



南さんが、股間に揺れる勃起を握って膝立ちの姿勢になると、妻の両脚が、それを迎え入れるように大きく広がります。


すると、じっとその時が訪れてくるのを待っている妻の淫らな部位に・・南さんの双臀が割って入り、剥き出しのものを近づけていきます。




そして、いつものような瞬間が訪れます。


その刹那、妻は、南さんの肩越しにちらっと私の方を見やりましたが、それはつかの間の一瞥で、

これまでのような憂いを帯びた哀願の眼差しではありません。


すぐに私から目が背けられ、瞼が閉ざされていきました。



でも、私に許しを乞い、覚悟を促すような切ない心情が感じられなくても、

私にとっては、妻がチラッとだけでも目線を送ってきてくれたこと自体が嬉しかったのです。



(南さんに求められるまま、悦び多い女になりきろうと、自分の心に決めているはずなのに・・

今でもまだ、その眼差しを、私に送ってくれるのか?)



私の位置からはよく聞こえませんが、南さんが妻の枕元に手をついて上体を支えながら、妻に何か囁いています。


すると、南さんの腰脇から妻の手が伸びて、怒張の先をゆっくりと・・しとどに濡れそぼった秘所に宛がっていきます。



瞬時の後、南さんの下半身が潤みの中に沈み込んでいって・・

強張ったように動きを止めているお尻を見ていると、妻が愛おしい男と一つに結ばれたことがわかります。



正常位では、肝心な二人の結合部が見えないのが不満ですが・・

南さんは、潤みきった媚肉の味わいを堪能するかのように、ゆっくり、ゆっくりと肉棒を抜き刺ししていきます。


すると、亀頭のそれほどは敏感でない妻の膣も、抉られているうちに馴らされて、痺れるような快感が湧いてくるのでしょうか、



「んくっ…… はぁ……あ、あぁぁ……  いぃ〜っ…… 」



徐々に体を覆ってくる快感に堪らなくなったのか、時おり ぶるっと身体を震わせて歓喜の程を表します。




そのうち南さんは、怒張したものをゆっくり引き抜くと、ずぶっと鋭く腰を打ち込む動きを加えて、スラストに緩急をつけていきました。



量の増した肉棒が、最深部を抉っていくと、妻の喘ぎが甘く切ない嬌声に変わっていきます。



このように、くすぐるようなタッチと力強い突き込みを繰り返されれば、女体は否応なしに官能の渦に引き込まれてしまうのでしょう。

懸命に堪えるように堅く閉ざされた妻の眉間の皺が、深くなっていきます。



「あぁぁ……南さん・・そんなに深く… あぁ…ぅ……」



「もっと、繋がりを深くしましょう。ご主人に見てもらうんです。」



南さんは、妻の体を押し潰すように、両脚を肩に掛けて引き上げ、より深い貫きが可能な体位に変えました。


急に降ってきた南さんの言葉に促されて、私が二人の傍に近づくと・・

目の前で、滾ったものを待ち受けるかのように口を開いた女陰が、野太い茎をしっかりと呑み込んでいく様子がよく見えます。



南さんが、勃起の全長を沈ませるために必要な距離をとって、大きく、緩やかなストロークを送り込むと・・

艶に濡れた男根が、微かに口を開いた媚孔の中に沈み、隙間すらない程ぴっちりと嵌め込まれていきます。



「小野さん、愛する奥様に、何か声をかけてあげられてはどうですか?」



「よく見えるよ、理香。 入っていくところが・・」



「いやぁぁ・・見ないでっ! お願い、向こうの方へ行ってぇ・・!」



今までそんな風に言われたことはなかったが、今の妻にとっては、私が“南さん以外の男”であっても仕様がないのか?



何しろ、体が二つに折れ曲がり、屈曲した爪先が顔の方に触れんばかりになっていて・・

絶頂に上り詰めている途上なのでしょうか、その窮屈さすら歓迎しているように見えるのですから・・



自分が好きな男に抱かれる至福の悦びに浸るためには、夫という存在が鬱陶しく思えても仕方がないことなのでしょう。



滑った膣奥から抜き出された茎が、再び緩やかに女陰の中に突き込まれていきます。



一定のリズムで緩やかな刺突を受けていると、徐々に膣奥に甘い疼きが湧いてきて・・

その刺激を我慢しようとすれば、返って胎内に快感を溜め込んでしまうことになります。



そうするとその分、堰き止めていたものが崩壊した時の衝撃は計り知れないはずです。



「あぁ、もうっ・・ ああぁっ… イきそう…・・」



南さんの度重なる腰づかいに追い込まれ、妻は、肢体を捩らせながら喉を大きく反らせ、オーガズムに達しようとします。



じんと痺れるようなたまらない快感に息が上がり、腰から下の力が急速に抜け落ちていくのでしょうか、両脚が開ききっています。




そのうち、南さんは、急激に上りつめていく女体に、自分の意志でコントロールできる僅かな休息を与えたいと思ったのでしょうか、

妻に、騎馬位での交わりを求めたようです。



羞恥も他見も忘れて、妻がしっかりと自分の股間を見下ろしながら、肉茎の先が埋もれる位置を確かめて、静かに体重を乗せていきました。


もちろん、もう私に視線を向けるなんてことは忘れ、完全に悦びを求める女になりきって・・



「はあぁ〜っ、いぃ〜… 気持ちいい……・・」



妻が、自らのものを肉茎に没入させる動きを頻繁に繰り返し始めました。


腰を降ろしさえすれば湧いてくるものが、どうしてこんなに自分を感じさせてしまうのか驚きながらも

身体がもう、次の快感を欲しがっているように見えます。



体から噴き上がってくる途方もない快感を味わっていると、その悦びを何度も何度も欲しくなってきて、

貪るかのように、腰を動かし続けます。



「奥さん、ご主人にあっちへ行ってほしかったんじゃないですか。」



「あぁぁ…… そんなこと、言わないで・・ もう、どうでもいいの。 あぁ〜っ、気持ちいい−っ……!」



意中の人に抱かれる喜び・・イッても、イッても止まらない気持ち良さは、津波のような勢いで体を走り、

それまで妻の心のどこかに微かに残っていたかもしれない私の存在を、完全に押し流してしまったようです。





そのうち、南さんが妻の体を抱きかかえ、再び正常位の姿勢に戻ったのを見ると、交わりが終わりを迎えそうなことがわかります。



南さんの動きが、先程までの長いストロークではなく、荒々しく激しい動きに変わっていきました



「あぁぁ〜 そんな風にすると…… あっ、あっ、ああぁ〜っ… いくぅ、イっちゃう〜!」



極度に膨らんだ怒張を膣奥深く送り込まれて、激しい動きで抉られると、これまでのように快感を自分でコントロールするなんてことはできません。



膣内を擦られる時間は短いのですが、その分鋭く、速く、何度も“ひだ”を擦られ、削られていくのですから・・

快感は急激に高まり、堪えようがないところまで行ってしまいます。



妻がひときわ大きく喘ぐと、南さんは、妻の絶頂と時を合わせるかのように、腰の動きをさらに加速させていきました。



「 あっ、あっ、ああぁぁぁ…  いっちゃう… あぁっ、また、いくっ、いく〜ぅ……!」



妻は、急激に上りつめてくる快感に耐えきれなくなったのか、繋がっている部分を外そうとするかのように身を捩りますが、

がっしりと腰骨を掴んでいる南さんの両手がそれを許しません。



すると、もう女体は、体を開ききった状態にして、刺突のすべてを為すがまま受け入れることしかできなくなってしまいます。


全身を小刻みに震わせている姿を見ると、妻がこれまで経験したことのない程の高みへ達したことがわかります。



「んぐっ…っぐうぅ・・ああぁぁ… もう、だめぇ…… 

南さん、お願い、もう、出してぇ・・!」



貫きの刹那こそ、胸苦しい興奮は湧いてこきませんでしたが、男の貫きを受けて身悶えしている妻の嬌態を見ていると、

流石に狂おしいものが溢れてきます。



(私が求めてやまない女の姿になりきろうとしている妻が、愛おしいはずなのに・・

すべての恥じらいを忘れる程、おまえは感じてしまうのか・・)



しかし、この感情は確かに“嫉妬”なのですが、不思議に“焼け付くような嫉妬”ではありません。



何故なのでしょうか? 

妻に、悦びを与えている男が、私が心を通わせる男だからなのか?

いや、そうじゃなさそうに思えます。



目の前で、悦びに喘いでいる妻の姿が、私の嫉妬を掻き立てていることは間違いないのですが、

その先に、もっと大きな愉しみが控えていることを思うと、“小さな嫉妬”を燃やす愉しみは、胸が焼け付くほど凄いものでなくなってしまうのです。




「そろそろなんですけど、出してほしいところを、ちゃんと言ってほしいな。」



「ああぁぁっ…… イってぇ…… もう、逝ってぇ・・・」



「そうか、強情なんですね、奥さん。 あぁ〜出そうだ・・出しますよ!」



「あぁぁ〜… ください・・ いっぱい出してぇ……」



南さんの臀部が、妻の股間に深く沈み込んで、それまで溜めていた男の精を注ぎ込んだようです。



(あぁ・・今、この瞬間、私のものとは違う男の精が、妻の膣奥深く放たれているんだ!

どぷっ、どぷっと、断続的に続く射精の感覚まで、妻の膣は感じているのだろう。)



南さんの背中を深く抱きしめながら、エクスタシーの余韻に浸る妻・・



そのうち、気が呆けたようにぐったりしている妻の陰部から、埋もれていたものがゆっくりと抜き出されると、

満ち足りていたものも、潮が退いていくのを感じるのでしょうか、ピクッと震えます。



やがて、南さんは、放心したように身を横たえている妻の体から身を離し、私に語りかけます。



「小野さん、貴方の決意を確かなものにする意味でも、しばしの間、奥様と二人きりで過ごされた方がいいでしょう。


これから私は、隣の部屋へ引き取らせていただきますが、奥様が程よく回復された頃を見計らって、お電話ください。」



その言葉を聞くと、固く心に決めたつもりでも、何やら取り返しがつかないことをしてしまったような言いようのない不安が襲ってきます。



(もうすぐおまえは、私の元を離れ、夫と言う存在が皆無の時間の中で、今と同じ場面を迎えてしまうのか?)



私から隔離された部屋で行われるであろうことが、今しがた、目にしたものと同じ営みであっても・・

私の目から妻の姿が消えて、妻の視界から私の姿が閉ざされることは、変わってくるのです。



例え、その部屋の中で、私が行ったことがない行為が行われていても・・

妻が、今まで以上に歓極まった風情で悶えていても・・ それを窺い知ることはできないのです。



「小野さん、今あなたが望んでいることは、この後 奥様が私と過ごして・・その体に、一夜を共にした印を刻むことでしょ?

私の自由にさせていただくつもりですが、よろしいですか?」



南さんは、そのことを確かめるような置き言葉を残して、部屋を出ていきました。





第三章  【寝苦しい夜から朝へ】

妻は、ベッドの上で露わな肢体を包み隠しながら、心そこにあらずといった風で、南さんが部屋を出ていくのを眺めていました。



「理香、そんな風にしていると風邪ひくよ。 一緒にお風呂に入ろう?」



私は、精根を使い果たし、放心したような妻の肩に手を添えて、バスルームに入ります。



「さっ、洗ってあげる。 辛い思いをさせてごめんよ。」



「うぅ〜ん? 辛い思いをしたのは、あなたの方でしょ?」



私は、ボディソープをつけた両手を、妻の肩から脇の下を通って、形よく膨らんだ乳房へと手のひらを這わせていきますが、

泡立った手が腰のくびれを伝って恥丘にまで届くと、その先に進むことを躊躇ってしまいます。



(あぁ〜 もうすぐ、この淫裂を再び広げて、男の勃起を受け入れてしまうのか?)



そこに、男に愛された名残りをとどめていることを思うと、胸が詰まるような愛おしさを覚えますが、 

それよりも更に・・この後、男と二人っきりになって、再び男のものを迎え入れてしまうことを思うと、やるせない気持ちになってきます。



何だか、その下に続くところが一層艶めかしく思え・・その大切なものを、自分の手で汚してしまってはいけないと思うのです。



(一度、好きな男に抱かれて・・その後、夫に弄ばされて・・再び、別の男に抱かれるってのは、余りにも妻がかわいそうだ・・)



「おまえの体を、オレのもので汚して、南さんのところへ送り出したくないんだ。

おまえには、この部屋から離れたところで 先程以上に悦んで欲しいんだ。」



「あ… あなた…  愛してる・・ 抱いて… もっと・・」



「もう、我慢できなくなってるんでしょ?

もうすぐ、わたし、居なくなるのよ。 ねっ、その前に、あなたのを気持ちよくしてあげる。」



妻は、自分の体に泡立つものを手に付けて、私のものを温かく握ります。

ゆっくり、ゆっくり扱くその動きは、私に快感を与えるというよりも、そのものが愛おしくて堪らないというような指の動きです。



しばらく、その指の動きに任せていると、快感が積もって徐々に膨らんできますが・・



(これ以上、妻の思いを・・私の方へ向かせておく訳にはいかない。そろそろ南さんも気にしている頃だ。)



「ありがとう、理香・・ そこまでで、いいんだ。」



せっかくの好意を、予期せぬ夫の声で制止された妻は、驚いたような表情で私を見上げます。



「わたし、下手だから・・でも、もうちょっと待ってね。」



「いや、そうじゃないんだ。 おまえには、これから始まることだけを思ってほしいんだ。


ごめんよ。悪いんだけど・・ それは、おまえを送り出して、一人残ったオレができる唯一の愉しみなんだ。

おまえのことを思い浮かべながら、後から一人でするよ。」



「あぁ…… あなた・・・」



先程の南さんとの交わりが終わってから、もうすぐ一時間になろうとしています。

私は、南さんの携帯に電話をして、間もなく妻が訪れることを伝えます。



「さあ、そろそろ、南さんも気にしている頃だろ?

オレに遠慮なんてしないでいいんだ。 たった今から、オレのことは忘れるんだ。」



その声に促された妻が部屋を出ていきますが、戸口の所で立ち止まり、私の方を振り返りました。



その纏わりつくような目線は、私のことを愛おしみながら、これから始まることに対して念を押す眼差しに思えました。




妻を見送って無性に淋しくなった私は、到底、読み物をしたり、テレビを見たりする気にはなれません。


今はまだ、そのことが始まってはいないだろうという予想が安堵をもたらしてくれていますが、やがて時間が経って・・

隣室での営みが気になる時間になると、私の興奮と嫉妬、胸苦しさは最高潮に達するでしょう。



こうして、物思いにふけっていると、先程の・・、


男の腰に跨って、快楽の続きを求めるように腰を沈める妻・・

男の精が、膣奥深く放たれるのを、喘ぎながら求める妻・・


狂おしい場面が蘇ってきますが、それは私自身が望み、計画し、ここまで時をつなげて実行にまで漕ぎつけてきたことであって、

自分が種を蒔いた現実なのです。



(やがて、この狂おしい時間の後に、壁一枚隔てた隣室で、妻は私の“束縛”から解放されて一人の女としての悦びに身を任せるんだ・・)



同時に、私の心の中に、このようなことを行うきっかけになった言葉が浮かんできます。



「奥様の心の中では、そうなればなったで、別室での交わりを愉しむ覚悟はできているかもしれません。」



これまで、私の目の前で他人に体を開き、素直に女の悦びを表してくれた妻・・


でも、その先に、夫への不貞と背徳を気にせずに、思う存分性の悦びを満喫できる、“至福の悦び”というものがあるならば、

夫である私の“呪縛”から妻を解き放して、思う存分 官能の世界に浸らせてあげたい。



今、私は、このような魔性の胸苦しさ、ときめきに震えながらも、妻にそうなってほしいことを心から願っているのです。




これまで経験したことがない、震えるような胸の内で・・考え過ぎて麻痺してしまったような頭の中で・・こんなことを思っているうちに、

随分と時間がたってしまったような気がします。



どのくらい経ったのかわかりませんが、そろそろ隣室で営みが始まるのでは・・と、気になる時間になると、

私は、悶々とした思いを振り払うように、妻が私に与えようとするのを拒んでまでとっておいた、“唯一の愉しみ”に移ります。



多分、これからもうすぐ後に・・ いや、もう既に・・ 隣の部屋では、二度目の性交を始めているのかもしれない・・



心に穴が開いたような淋しさを慰めるには、滾り立ったものを弄ぶことしかありません。


ブリーフを脱ぎ捨て、露わにした肉茎を握りしめると、手のひらから伝わる熱い脈動・・



取り出したものを眺めていると、これと同じ形状のものが妻の秘口に宛がわれている光景が思い浮かんできます。



(うっとりとして目を細め、口を半ば開きながら、じっとそれによる貫きの瞬間を待ち望む妻・・)



そして、潤みの中心に添えられているものは、格段に目の前のそれよりも膨れ上がっているのです。



私は、強張りをゆっくり擦りながら、妻が悦びに喘ぐクライマックスの場面だけを頭に描きます。



待ち焦がれる余り潤みきった媚肉の奥を、ゆっくりと貫いていく他人の勃起・・・


頭が真っ白になるほどの極上の快感を堪えきれず、そこを反り上げるようにしてより深い挿入を求める妻の女陰・・・



こんな光景を脳裏に浮かべながら、私の手は激しく動きます。



そして、極めつきの興奮・・欲情の精を迸らせたい場所を思い描くのですが、吐精の“受け皿”になって欲しいのは、やっぱり妻の性器なのです。



(これまで睦み合ってきた、あの温かい媚肉の奥に、思いっきり放ちたい。)



これまで随分と心を定めて、悟ったつもりでも、射精を迎える刹那になれば、そんなものは頼りない細い線になってしまって・・

今すぐ隣室に飛んで行き、男にとって代わりたいほど昂ぶってきます。



そして、更に興奮してくると・・そんなことができない“役立たずの物”を手指で千切ってしまいたいような衝動すら覚えてしまうのです。



壁一つ隔てた隣室で、私のものと同じ白濁液を浴びて快楽の絶頂を迎える妻の姿を想像しながら、私は想いの精を迸らせました。





朝を迎えて・・

昨夜は、妻と男との営みが、部屋一つ隔てたところで行われていることを思うと、胸が締め付けられるような息苦しさ、圧迫感を覚え、

なかなか寝つかれませんでした。



しばらく微睡んでいても、すぐに目敏くなってきて・・



「妻は今頃、どうしているのだろうか? 男に寄り添い、その胸に顔を埋めながら、寝入っているのだろうか?」



と、別室での妻の寝姿が思い浮かんできて、寝たり覚めたり・・苦しい胸の内を引き摺りながら、うつらうつらしていました。



ちょうど朝の6時半頃だったでしょうか、枕元の電話が鳴りました。


モーニングコールをした覚えはないので、南さんからの電話であることは分かっています。



「お目覚めですか? 私、これから帰りますので、一言、お礼をと思って・・」

という口上でした。



「そうですか。 こちらこそ大変お世話になりまして・・これから、お部屋に伺おうと思うのですが、よろしいですか?」



「いや、いい思いをさせていただいて、ありがとうございました。

私たちの時間は終わりましたので・・ 今朝からは、小野さんと奥様の新しい一日の始まりです。 私は、居ない方がいいでしょう。

また、いつもの所で、お会いしましょう。」



「ちょっとだけでも、ご挨拶したいのですが・・」



「それは、奥様から十分いただきましたから。 それに、何だか貴方に申し訳ないような気がして・・このまま、お別れさせていただけませんか?」



「わかりました。貴方がそう、おっしゃるなら・・ところで、妻はどうしていますか?」



「もう起きて、いらっしゃいますよ。

どうやら、奥様、貴方の居ないところで抱かれるのは初めてだったようですね。
しっかり、労わってあげてください。」


そんな経過で、南さんは、私たちより一足早くホテルを出たのです。




私は、何だか、後に取り残されたような感じになって・・


(そうか、もう起きているのか? 南さんが出ていくのを寝乱れたまま黙って見送る妻じゃないはずだ。

多分、見送りの言葉をかけたと思うが、その中に再会を願う言葉も入っているのだろうか?)



間もなく、妻が居る部屋に行かなければならないが、ドアをノックするときのことを思うと、胸がどきどきしてきます。


妻は、気恥ずかしそうに、目線を伏せながら、私を迎えるのだろうか?

あるいは、昨夜、何事もなかったかのように、いつも通り平然としているのだろうか?

それとも、どことなく“上の空”のような表情で、気怠さを漂わせながら戸口に現れるのだろうか?




数回のノックの後、ドアが開かれると、もうすでに平装に整え終えた妻の顔が現れ・・



「あらっ、いつもより早いのね。」


意外に、カラッとした明るい声が降ってきました。



でも、「おはよう。ぐっすり、眠れたかい?」と私が声をかけると、妻の視線が下を向き、気恥ずかしそうに微笑みました。



明らかにその表情には・・今までとは違った、夫婦の一線を越えて道ならぬことを行った女がもつ陰りが宿っていて、

何だか、私との距離が、遠くなってしまったような・・

ぴっしり埋まっていた“夫婦関係パズル”の一片が抜け落ちてしまったような気がしました。



昨夜から、そんなに時間は経っていないのですが、この時ほど妻のことが愛おしく思えたことはありません。

私は、震いつくように、思いっきり妻の体を抱きしめました。



(私だけの理香・・あぁ〜 この体の中に、長い時間を男と過ごした痕跡をとどめているのか・・)



抱きしめることによって、彼女の気持ちを楽にしてあげたいという気持ちよりも・・

男によって微妙に変わってしまった何かを消し去って、二人の関係を元に戻したいという気持ちの方が強いのです。



でも、抱きしめて、自分の手で“私の妻”という存在を確かめ終えたはずなのに、私の口からは・・


「疲れているんだろ。気分はどう?」



「朝食、どうしようか?」



「何時ごろ、チェックアウトする?」



畏まったような、当たり障りのない、他人行儀な言葉しか出てきません。



何だか、胸苦しくなって、それでいて、最近は味わったことがないときめきを覚え、ズバッと核心へ踏み込めないのです。



こんな、心底にわだかまりを含んだときめきなんて、久しぶりで・・ 

まだ、お互いのことをそんなによく知らずに、その時々の何気ない仕草や素振りまでが気になった頃を、懐かしく思えます。



一度、このような世界に入ってしまうと、返って愛情が深まる夫婦もいれば、逆に溝が出来てしまう夫婦もいると聞いたことがあります。



臆病なくせに、見栄はりで意地っぱり・・

優しい言葉をかけて妻を労わってあげたい気持ちがいっぱいなのですが、ストレートにそれを表現できない私は、

確実に、溝を深くしてしまいそうなタイプで、自分の性格が恨めしくなってしまいます。



朝の光が差し込む部屋の中で、昨夜のことを妻に尋ねるのは余りに酷すぎるでしょう。

妻にしても、心の整理ができていないに違いありません。



妻の方も、何となく私の心情が伝わってくるのか、進んで話しかけようとせず、二人の間に重苦しい雰囲気が漂います。



でも、こうして妻と二人だけになってみると、確かに、気まずいというか、思うに任せない雰囲気が醸し出されているのですが

その中で、私が妻に対して抱いている感情が、決して、憤怒、嫉妬、後悔といったものではないことだけはわかります。



この胸苦しいときめきは何なのか?

ちょっぴり、失恋気分にも似ていますが、今夜、互いに心を開いて思いの全てを語り合えば、消えていくのでしょう。



帰りの車の中・・熟睡できなかったせいでしょうか“温泉帰り”のような気怠さを引き摺りながら、

車内暖房のせいで火照ってくる体、考え過ぎて麻痺してしまったような頭・・

とにかく、気疲れして疲労困憊・・その日は、互いに意識する余り口数も少なく、家に帰り着きました。





第四章  【寝室での戯言】

そして、その夜、妻と褥を共にしていると、心に伏せておいたものが蒸し返してきます。


こうして、枕を並べて夫婦の情けを交わす時を迎えると、思いの丈をあからさまに語り合えるのが不思議です。



片手を手枕に差しのべて、ぷっくりと膨らんだお尻を撫でていると、昨夜、男の前で裸体を露わにした妻の姿が、思い浮かんできて・・

妻と男の間で行われた密室での営みを想像してしまいます。



(あぁ・・男の前で、この白い体を仰向けにして、そのすべてを開いてしまったのか・・)



その胎内に男に愛された痕跡を留めている妻が、今まで以上に愛おしく思え・・

私は、妻のお尻を下半身の方に引き寄せて、髪を優しく撫で下ろします。



私の目が届かない場所で、他人に犯され、射精を浴びた妻



私の傍に横たわる妻が、昨夜こんな風に抱かれて・・それを、最上の悦びとして受け入れてしまったのかと思うと、胸が苦しくなってきます。



でも、あれからしばらく時間が経ったせいでしょうか、今抱いている感情は、妻に対する怒りや嫉妬といった類のものではなく、

妻が体を開き、他人のものに悦びを感じてしまったことを、今まで以上に愛おしく思う気持ちなのです。



私だけの妻・・愛おしい妻・・

私の申し出を素直に受け入れて、女の悦びに身を溶かした妻・・



肌の温みを感じながら深く抱き合い、昨夜のことを思い出していると、



「あなた・・」  妻が、声をかけてきました。



「あなた、ごめんなさい。 昨晩、あれから わたし・・・」



(それ以上言わなくて、いいんだ。 おまえのことが、ただひたすら愛おしいんだ。)



「また、オレとおまえに戻ったんだ・・ 抱いてあげるよ、いつものように。」



「嫌っ、そんな風に、言わないで! わたし・・・」



「どうしてもオレに打ち明けたいことがあるなら、好きなようにすればいいよ。」



淫裂に押し当てた手指の腹で、愛おしいところをなぞり上げると、妻はその愛撫に応えてくれます。



「あなた、ごめんなさい。 あの後も、抱かれて・・」



「そうか、わかっているよ。 それで、南さんは優しかったかい?」



「うん、とっても・・ わたしと体の相性がぴったりで、あなたの許しがあれば、また逢いたいって言われたわ。

それに、あなたのこと、とても善い人だって・・」



「そりゃ、そうだろ? おまえを抱かせてもらったんだから・・」



「う〜ん、そうじゃないの。 あなたのお酒の飲み方でわかるって言ってたわ。」



「それで、イッたのか?」



「ごめんね。 何回もイっちゃった・・」



「おれが、いつものように傍に居ないってこと、気にならなかった?」



「はじめのうちは、何だか勝手が違うような気がしたわ。でも、南さんが言ってくれたの。」



「何て、言ったの?」



「あなたのことは忘れ、一人の女になりきって、思いっきり乱れればいいって・・」



「ずっと前、わたしに言ったこと、覚えてる?

『もっと、乱れてもいいんだよ。見ててあげるから・・・』と、優しく言ってくれたたでしょ?

南さんが言ったように、そんなあなたが傍に居ないんだと思うと余計に興奮してきて・・・思いっきり、しちゃった。」



「それで、南さんとは、何回したの?」



「二回かな・・?」



「オレが、見ていた時と合わせると、続けて三回か・・?」



「うう〜ん、最後は、朝方・・」



妻が素面になって、正直に答えます。



(そうか、道理で、オレがおまえの部屋を訪れた時、伏し目がちだったはずだ。


でも仮に、私が南さんの立場だったとして・・

素敵な女性と性の悦びに浸れる至福のひと時を、限られた時間の中で思いっきり堪能したいとなれば・・朝方も抱きたくなって、当然だろう。)



女盛りを過ぎたとはいえ、実年齢より若く見られるしなやかな肢体


自分で言うのも憚られるのですが、昔の初々しさこそ失われつつあるものの瑞々しい体は以前のままです。


潤みきったところを指で弄ると、卑猥な音を立てて指に絡み付きます。



「正常位の他に、どんな格好でしたの?」



「いやだぁ〜 恥ずかしい。 そんなことまで、あなたに言えないわ。」



「どうしても、聞きたいんだ。ここまで言ったんだから、いいだろ?」



「興奮してきたのね。 あのね、わたしが上になって跨るのと・・」



「それと、まだ他にしたんだな?」



「それと・・バックから手を繋いで・・・」



「そうか、両方とも気持ちよかったんだろ?」


妻が、申し訳なさそうに頷きます。



「フェラを、要求されなかった?」



「南さん、そのこと知っているはずなのに・・ それだけは、お断りしたわ。だって、あなたに、申し訳ないもの。」



「あそこを弄られていると、南さんのものを大きくしたくなったんじゃない? してあげたのか?」



「したよ・・」



「もう、オレも我慢できなくなってきた。 南さんにしてあげたのと同じようにしてくれ。」



「わかった。でも、上手になったなんて、言わないでね。」




「それで、最後はどうしたの?」



「ゴムの中よ。」



「この前、おまえに、そのうちできるようになるよって言ってたこと、やってみた?」



「精液、飲むこと・・?」



「そう。」



「しなかったわ。 何だか、南さん、してほしそうだったけど・・わたし、フェラが駄目でしょ? 

どうしても、そこまでは、できなかったわ。」



(そうか・・そこまではしなかったか。)



妻が口にする言葉はすべて嫉妬を覚えるものですが、こうして私の傍で、心を開いて素直に打ち明けてくれたことを思うと、

それを、寛容な気持ちで受け入れることができます。



私は、妻と南さんとの性交の一部始終を、根ほり葉ほり聞きながら、大きくなったものを徐に挿入します。


どろどろに溶けきった媚肉の“ひだ”を押し分けて、侵入していく亀頭の快感・・



(あぁ〜 ここに何回も男のものを受け入れて・・例えようもないほど感じてしまったのか?

一夜、意中の男性に身を預けきったとなると、妻にとって今の私は“南さん以外の男”であり、今からが私たち夫婦の新しいスタートなのかもしれない。)



その後も私は、ゆっくり、ゆっくり、ペニスを出し入れしながら、妻との寝物語の続きを楽しみます。



「一つだけ、あなたに謝らなければならないことがあるの。」



「謝らなければいけないことは、オレの方がいっぱいしてるよ。」



「あのね、わたし・・あの最中に、言ってはいけないことを口にしてしまったの・・」



「仕方がないよ。 だって、気持ちイイんだから・・オレが聞いたことがないような言葉を口走っても。」



「わたし・・あの時にね、とても恥ずかしい言葉を叫んでしまったの。」



「何だか、意味深だな。 構わないから、言ってごらん。」




「絶対に怒らないって、約束してくれる?」



「そんな、思わせぶりな・・勿体ぶらずに早く言えよ。」



「あのね、あの時ね、『“お〇ん○”してっ』って、叫んでしまったの。」



「・・・」



(ちょっと待てよ・・今 言った言葉は、おまえの気品を汚してしまう卑猥な言葉だと、わかっているんだろ?)



連れ添って以来ずっとその胸奥に包み隠しておいたものを、長年経った今しがた、私にではなく他の男に対して露わにしたということは、

私にとって、重い意味があります。



「どうして、そんなことをオレに、打ち明けるんだ? そんなこと聞いて、オレが平気でいられるとでも思ってるのか!

黙って、自分の胸に閉っておけばいいじゃないか?」



「だって、こんなこと言ってしまった自分が許せなくて・・ あなたに内緒にしておくのが嫌なの。

それに、隠しておくと・・あなたとセックスしている時、いつ その言葉が出てくるかもしれないとびくびくしなければならないでしょ?」

今だったら、許してもらえるんじゃないかと思って・・



妻の告白を聞いた途端に、猛々しかった私のものが、萎えてくるのがわかります。



「それじゃ、聞くけど・・ どうして、そんな言葉を叫んでしまったんだ?」



「本当はね、あなたも気が付いているかもしれないけど・・

クンニされた時よ、貴方も傍に居たでしょ? あの後、こっそり耳元で、わたしの口で慰めてほしいって言われたの。」



「何やら、おまえが、首を横に降っていたあの時だな?」



「そうよ。」



「そうか、それで訳がわかった。 南さん、そのこと、知っているはずなのに・・」



「そしたら次にね。それが駄目なら、一番エッチな言葉を、その最中に言ってほしいと言われたの。」



「オレの目の前で、その言葉を言えと言われたのか?」



「だって・・ これまで言ったことがない言葉を、あなたの前で言える訳ないじゃない?」



「それで・・二人きりになったら、言えたという訳だな。」



「ごめんなさい。 『出してほしいところを言え』って言われて・・ 私も、凄く気持ちよかったものだから・・

それに・・あれもダメ、これもダメでは、何だか南さんに申し訳ないような気がして・・」



「最初は、断ったんだろ?」



「もちろんよ。『いくら、二人っきりになっても、そんなこと言えない。』って断ったわ。」



「それで・・?」



「それでね、南さんが言うの。 『私だったら、小野さんも許してくれるはずだから、何も考えずに心を裸にしろ』って。」



「それで、その通り、口走ってしまったのか?」



「主人の前でも言ったことがないの。 わかるでしょ? それだけは許してってお願いしたんだけど・・

そしたら、南さんが・・

『隣の部屋にいるご主人のことは忘れて、俺を、再婚した新しい旦那だと思ってしがみ付けっ!』

って、ぎゆぅっと抱きしめられたの。」



「それで、再婚気分になって、南さんの胸にしがみ付きながら言ったんだな。

『お〇ん〇の奥に出してぇ』って!」



「抱きしめられてうっとりしていると、南さんの願う通りにしてあげたいという気持ちになってきて・・

あそこを真上から激しく突かれたら、もう堪らなくなってきたの。


そのうち、そんなこと大したことじゃない、どうでもいいようなことに思えてきて・・・・言ったわ。

きっと、あなたが、傍にいないってことも関係してるんだと思う。」



(シャワー室での会話は、厚顏にもそんなことを言えるほど、一気に二人の距離を縮めてしまったのか?

そして、これまで・・妻にとってオレのものは、堪らなくなるほどのものではなかったというのか?)



「こんな風に、突かれて言ったのか?」



昨夜、妻が男から与えられた悦びに匹敵するにはほど遠いだろうが・・何とかして妻を、その時と同じ状態にさせたいという雄の本能が目覚めてきて・・


私は、茎の根元を引き絞りながら膨らみを最大限に大きくし、荒々しい刺突を妻の中に送り込みます。



「あっ、あぁぁ…… もっと、優しくしてぇ… 」



妻が口走った卑猥な言葉が、それほど長持ちしない私のものを奮い立たせてくれます。



「今からオレが、その時と同じ言葉を言えるようにしてやるから。こんな風にされて、たまらなくなったのか!」



(妻が、私の前では口にしたことがない言葉を叫んでしまったということは、

南さんのことが、たまらなく愛おしくなり、彼の求めに応えてあげたいと思ったのか?



それとも、夫が傍に居るという“縛り”から解放されて、彼と二人だけで思いっきり性の悦びに浸りたかったのか?)



どちらが本音であっても、妻が今感じている悦びは、昨夜のそれほどではないことがわかります。



私の刺突を受けている反応から察するに・・妻の体に、南さんが与えたものと同じほどの悦びを与えられないことだけは確かなのです。



自分の精の強さが左程ではないことがわかっている私は、妻の性感を高めるために、もう一つの性感帯を同時に刺激します。


ディープスポットを突きながら、片手でクリトリスを擦り上げると・・



「あっ、あぁ〜っ、ヨクなってくる〜ぅ… そこ、いいわ〜ぁ…」



昨夜と同じような喘ぎが洩れてきます。



私の方も、潤みきった膣壁を擦り上げているとたまらない快感が積もってきて、思わず射精しそうになりますが

妻を、一度なりとも絶頂に導くために我慢してスラストを続けます。



「あぁぁ… イッてしまいそう… 昨晩のこと、ごめんなさい・・」



「オレもそろそろだ。さぁ、出してほしいところを言うんだ!」



「おっ・・ぉ・・お〇ん○の奥に……」



「奥に、どうして欲しいんだ? 他の男に言ってしまったことを、今さらオレに言えないってことないだろ?」



「ああぁ… あなたにまでこんな言葉を・・ あぁ… だめぇ〜… お〇ん○の奥に、いっぱい出してぇ……!」



妻は、淫らな言葉を続けざまに口走りました。





多分、その言葉は・・昨夜、別室で繰り広げられた交わりで、快感を堪えきれなくなった女体が、官能の極みで叫んだ言葉だったのでしょう。



(その快感は、隣の部屋に私が居ることも委細構わないほど、底が深いものだったのか?)



私は、思いっきり腰を沈めると、最後の一撃を妻の最深部へ送り込み、それまで貯めていたものを思いっきり膣内に注ぎ込みました。



(昨夜、私から遠く離れた別室で・・

眉根を寄せ、身も世もないという風情で悶えながら、その卑猥な言葉を口にしたのか?



欲棒の蹂躙を身に受けて、こらえ切れない程の悦びが高まってきたからと、わかってはいるが、

そんな狂おしい場面はこれまでに幾度もあった筈だ。



それでいて、今まで口にしたことがない言葉を叫んでしまったということは、

今まで夫の醜悪な欲望のために、自我を抑えながら身を捧げてきた鬱憤が・・積もり積もったものが・・

堰を切ったように溢れ出たのかもしれません。



そんなことを思うと、私が妻を心底から愛しながらも、敢えて、他の男の貫きに喘ぐ姿を求めている以上、

妻がどんな痴態を晒しても、どんな卑語を叫んでも・・それを責めることはできません。



「お〇ん○のこと、そんなに気にしなくていいよ。 これまで、そのおかげで十分すぎる程、喜ばせてもらったもの。」



「本当にごめんなさい。 でも、あなたに打ち明けたら、何だか、心の中がすっきりしたわ。」



「これからも、度々、その言葉をオレに聞かせてくれよ。」



「あのね、夜なかなか寝付かれなくて・・ あなたが、今頃一人で辛い思いをしているんじゃないかと思うと、わたしも辛かったわ。」



「よく言うよ。 朝方も悦んだくせに・・」



「うふっ、だって、そんな風にしたのはあなたよ。」




ついに、夫婦として越えてはいけない一線を越えて、妻の“貸出”を行ってしまった私・・


このことを行う前に、思い悩んでいたこと・・


妻の“貸出”・・ 私の目の前で妻が交わる臨場感に乏しくても・・二人の間に漂う雰囲気を窺い知ることはできなくても・・

妻が私の知らない場所で男に抱かれている姿を想像すると、胸がせつなくなって耐えられないのではないか?



私にとって、重苦しい、耐え難い時間が過ぎて・・

他人と朝を迎えた妻の顔には、きっと・・ 一線を越えてしまった女の雰囲気が漂い、

私との距離が、心持ち遠くなってしまったことを感じるのではないか?



すべて、その想像通りであったことをお伝えし、終わりにしたいと思います。

何だか、この道に終着点がないことを、思い知らされたような体験でした。