● 妻の撮影会


出展元:妻と勃起した男達
投稿者:宗一郎さん

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先々週の土曜日12月20日、妻をモデルにした撮影会がありました。
夫である私も現場に居合わせての撮影会でした。
その日から今日までその時の興奮に気持ちが高ぶり続けていました。
今回、私たち夫婦の体験をこちらに寄せさせて頂こうと思ったのは、その興奮を深いものにしていこうと思ったからです。
皆様に文章という形で、私たち夫婦の体験を公開していってもよろしいでしょうか?

私は34歳、どこにでもいるサラリーマンです。妻は28歳、現役の小学校教師という夫婦です。
私は高校時代から写真が趣味で、高校時代には写真部に所属しておりました。大学、そして社会人になってもその趣味は続けています。
社会人になってからはそれまでの光学カメラからデジタルカメラに持ち替え、主に風景などを撮っていました。
また、高校時代の友人が作った写真サークルに入り、二ヶ月に一度くらいの撮影旅行に参加したりしていました。

妻の名前は塔子。知り合ったのは私が30歳、塔子が24歳。親戚の紹介、いわゆるお見合いという奴です。
塔子は、ちょっと例えが古いですが、竹下景子さんの若い自分に雰囲気がそっくりな女性です。
初めてあったときには「なんて清楚な女性だ」と思いました。
また性格もまじめで、当時勤めていた学校では厳しくも優しい先生という評価でした。

2年間付き合いました。週に2度、週ごとに都合を合わせて会い、交際を深め、2年前に結婚の運びになりました。

そのころには私の被写体も風景から塔子をモデルとしたものが主体となっていました。
もちろん教師をしている塔子ですから、普通の着衣のスナップが主でした。
それですら最初は恥ずかしがって、画面の隅っこで恥ずかしそうに笑うのが精一杯の塔子でした。
でも段々と写真にも馴れてきて、笑顔が自然なものに変わって行きました。

結婚してからも塔子はあまり変わりませんでした。
写真は着衣で、家庭内のラフな格好も撮らせてはくれませんでした。

しかし結婚してから一年が過ぎようかという日、職場での飲み会があるというので迎えに来て欲しいと塔子に言われました。
私は快諾し、仕事を終えてから1人で自宅で食事をし、塔子からの連絡を待っていました。
12時が過ぎた頃私の携帯に塔子からの着信がありました。
しかし出てみると全く知らない女性の声でした。
よく話を聞くと塔子の同僚の先生とのことで、なんでも塔子が酔いつぶれてしまったので、しょうがなく私に連絡をしてきたとの事でした。
やれやれと思いましたが、約束をしていたので場所を聞き車で迎えに行きました。

現場に着くと塔子は立てなくなるほどに酔っていました。
しかし待っている間に少し醒めたのか私を見つけると手を振って答えました。
肩を貸して車に乗せると、車内から同僚の先生方に礼を言うくらいの意識は持っていました。

しかし安心したのか、自宅までの道のりで塔子は眠ってしまいました。
自宅について起こしますが起きませんでした。しょうがなく抱え上げ寝室まで運びそのままベッドに寝せました。

車に残してきた塔子のバッグなどを取りに行って、寝室に戻ると塔子は下着姿になってベッドに横たわっていました。
どうやら着替えようとしたようで、脱いだ衣服がベッドの周りに散乱していました。
そのまま寝かせるわけにも行かず、パジャマに着替えさせようとすると塔子は
「ブラジャーを取らないと…」
と言いました。自分で取ろうとしましたが無理で、結局私が取る事になりました。
すると
「水が飲みたい」
と言い出すので、塔子の上半身にパジャマの上着を掛け、水をくみに行きました。

戻ると塔子はそのままベッドに横になって寝ていました。
掛けたパジャマの上着はベッドの下に落ち、下着一枚で横たわっている無防備な妻の姿。
白い肌、ふっくらとふくらんだ胸、そして乳首、下着から透けて見える陰毛。
それを見た瞬間、私のそれまでの秘めた願望が首をもたげました。

『この塔子を、塔子のヌードを撮ってみたい!』

私は急いでカメラを取りに行きました。
そして無防備な塔子の姿を写真に収め始めました。
いつもは風景を撮る一眼レフのファインダー越しに妻の裸体が見える。
シャッターを押すたびにその姿が記録されていく。
その興奮に私はうちふるえながら、ひたすらシャッターを押し続けました。
フラッシュを焚いたので妻はその光に反応して体の向きを変えます。
それがまた、まるでポーズを変えてくれるように思えて、またシャッターを押しました。

妻の最後の下着も剥ぎ取り、まさに全裸の妻を撮りました。

その時、塔子がくしゃみをしました。
私は我に返りました。塔子は全裸で寝かされているのです。
風邪をひかしちゃうと言う思いで撮影をやめ、塔子にパジャマを着せ、その日は寝かしつけました。

そのころにはもう2時を回っていました。
私も翌日仕事があったので休むことにしました。
カメラの写真はそのままにしていました。
翌日自分で楽しむためと、妻に見せてみようと言う悪戯心からでした。
どんな反応をするだろうか…恥ずかしがるかな?怒るかもしれないな…
そんな気持ちでその日は休みました。


翌朝起きると、塔子はまだ寝ていました。
前日あれだけ飲んでいたのでしょうがないなと思い、1人で軽めの食事を済ませ出勤することとしました。
カメラはどうしよう…そう思いました。
隠していこうか…それとも…

少し考え、あえて塔子の目に付く食卓の上に放置していくことにしました。
私がいない間に塔子がデータを見たらどうなるだろうか。
そんな悪戯心から出た行動でした。

仕事場に着いてからも、携帯から目が離せませんでした。
カメラのデータに気づいた塔子が何か連絡を入れてくるかも…
そう思うと30分おきくらいに携帯電話をチェックしていました。
すると11時くらいに塔子からメールが来ました。
もしかして!と思いましたが
「今朝はごめんね。昨日はありがとう。今起きたよ。」
と言う当たり障りのないメールでした。
そこで
「かまわないよ。それより机の上にカメラを出しっぱなしにしていると思うから気をつけて。」
と返信しました。
これで塔子がデータに気づいてくれれば…と思いましたが、
「うんわかった。」
との返信だけで、その後メールは来ませんでした。

仕事が終わり、帰宅しました。
室内にはいると塔子はいつものように食事の支度をしていました。
私が
「ただいま。」
というと
「おかえり!今朝はごめんね。もうすぐ晩ご飯できるから!」
といつもと変わらない返事が返ってきました。
表情や仕草もいつもと変わらない様子。
カメラは丁寧にバッグにしまってありました。

その後食事の間、塔子が片づけをしている間、注意深く観察をしていましたが、変わった様子はありません。
データ見ていないな。私は確信しました。
そこでこちらから見せてしまおうと考えました。
片づけを済ませ、お茶を運んできた塔子に
「見てごらん。」
と昨日のデータを見せました。
いつもの風景写真と思ってカメラの液晶を覗いた塔子の表情が一瞬固まりました。
「え!?これ…。」
「昨日の塔子だよ。パジャマ着ないまんま寝ているのを見たらつい撮りたくなっちゃった。」
塔子は自分の裸体、おそらくは初めて見る写真に撮られた自分の裸体に驚いていました。
「でも綺麗だよ。すんごく綺麗。」
「…」
塔子は答えませんでした。
「自分で見た感想は?」
と聞くと
「感想も何も、何でこんなところ撮ってるの…」
気づくと塔子は半泣きになっていました。
画像を進めるごとに自分が向きを変え、最後は一糸まとわぬ姿になっている。
それを写真に収められた、そのことがショックだったのでしょう。
「やめてよね…」
小さな絞り出すような声でした。
「でも綺麗でしょ。そう思わない?」
「思わない!」
今度は小さくてもしっかりとした声でした。
「このデータ保存してないよね?」
塔子が聞きました。
「してないよ。」
事実保存はしていませんでした。
「じゃあ今すぐ消して。目の前で。」

いやでしたが収まりがつきそうになかったのでしょうがなく一枚一枚目の前で消すことにしました。
でも一枚消すごとに
「ほらこのライン綺麗だよね。」
「写真に撮るとまた新しい発見があっていいね。」
とかいいながら消しました。
塔子は何も言いませんでしたが、消すのを確認するために一枚一枚写真は見ていました。

「もうしないでね。寝ているときに撮るなんて。」
最後の一枚を消したときに塔子はそういいました。
(寝ているときに?)
私はそう思いましたが、聞き返すことはしませんでした。

その日はその後風呂に入り、就寝することにしました。
翌日は私も仕事が休みで夜更かしできる予定だったのですが、何だか二人とも寝ようと言うことになったのです。

思えば塔子の心の変化はその晩から始まっていたのかもしれません。


その夜は何事もなく朝まで休みました。
翌朝、私も休みだったので少し遅めの起床。
すると塔子は起きて朝食を準備していました。

二人で向き合って朝食を取り、私はソファーでテレビを見ていました。
朝食の片づけが済んだ塔子がソファーの隣に来ました。
しばらくそのままテレビを見ていると、塔子は横に倒れ私の膝の上に頭をのせてきました。
「誘っているのかな?」
私はそう思いました。

と、言うのも、結婚してから私と塔子の休みの日がなかなか一致しないこともあり、夫婦生活はもっぱら休日の朝に行うことが多くなっていたのです。
そして塔子が誘ってくるときは、必ず体を預けるようにくっつけてくるのです。

この時はまさにそうでした。
膝の上の塔子のあごの線をなで、唇を指でなぞります。
塔子はピクンとなりました。そして唇の私の指を舐めてきたのです。

「お風呂は?」
と私は聞きました。
「シャワーならいつでも入れるよ。」
塔子は答えました。
「それじゃ行こうか?」
「うん。」
塔子は嬉しそうな顔をして風呂場へと向かいました。
私もその後を付いていきます。

二人でシャワーを浴びて、お互いの体を洗った後、寝室へと向かいました。
塔子はバスタオル一枚でベッドに横たわります。
カーテン越しの朝日が塔子の体を照らしました。
「綺麗だよ。」
私が言うと、塔子は悪戯っぽく笑ってそのままバスタオルの前をはだけました。

一昨日の記憶とは全く違う塔子の裸体。
光線のせいもあったのかもしれませんが、その白い肌がより白く見えました。

「写真撮りたいな…」
一か八かの一言でした。また拒否される、怒り出すかも…私はそう思いました。

すると塔子からは意外な答えが返ってきました。
「いいよ。」
「え?」
私は聞き返しました。
「撮っていいよ。でも約束して、データはその都度消して、それとこの前見たく寝ているときには撮らないで。」
驚きました。あの塔子が、普段着の写真も恥ずかしがる塔子がヌードを撮らせてくれると言っています。
私は驚きながらも、食卓へとカメラを取りに行きました。

寝室に戻ると塔子はタオルケットをかぶり、目の上からだけを恥ずかしそうに出していました。
「それじゃ撮るよ。」
「うん。」
「タオルケット取って。」
そういうと塔子はタオルケットを恥ずかしそうに取りました。

目の前に妻の裸体、しかも写真を撮っていいよと言って無防備な姿で横たわっている。
この信じられない状況に私は夢中でシャッターを切りました。

仰向けの塔子、うつぶせの塔子、膝立ちの塔子、四つんばいの塔子。
そして自分の秘所を自分で広げている塔子。

シャッターを切るごとに、ポーズの要求をするごとに塔子は大胆になっていきました。
そして驚くことに塔子の秘所からは透明な汁がこぼれだしてきたのです。

「濡れてるよ、撮られて感じてるんじゃない?」
塔子に聞くと、塔子は自分の秘所を触りました。
「そうだね、そうかもしれない…」
「昨日もほんとはドキドキしていた?」
「うん、何か自分じゃないみたいで…」
塔子の新しい性の目覚めでした。

ひとしきり写真を撮った後、私は塔子に抱きつきました。
塔子はいつも以上に敏感になっていました。
秘所はすでに洪水のように濡れ、乳首やその他の体の部分もいつも以上に愛撫に反応してきます。

何かの雑誌で、カメラの視線で愛撫する、と言うのを読んだことがありましたが、塔子はそんな感じになっていたのでしょう。

そして塔子も大胆になってきていました。
私のものにもいつも以上に濃厚に愛撫をしてきます。
本当に別人になったような塔子でした。

その時の夫婦生活はいつも以上に燃えました。
終了していつも以上に疲れた私たちは、そのまま寝てしまいました。

私が目覚めたとき塔子はまだ寝ていました。
よほど疲れたのでしょう。私が起きあがっても起き出しませんでした。

目を移すと塔子の裸体が収まったカメラがベッドの脇にありました。
もう一度見直していると塔子が起き出してきました。

カメラの液晶を見て
「撮れてる?」
と聞いてきました。
「撮れてるよ、この前よりも綺麗に。」
「いやだ〜こんなポーズまで。」
恥ずかしがりながらも目は離しません。
「ほんと自分じゃないみたい…」
「でも感じるんでしょ?」
「うん…いつもよりすごかった…」
塔子はうなずきました。
「たまにやってみようか。」
「いいけど、約束守ってね。」
「わかったよ。」
私はそういうとその時撮った写真を全て削除しました。

この日を境に私たち夫婦の夫婦生活に新しいメニューが加わりました。
週1くらいの夫婦生活のなかで刺激を求めて写真を撮ることを始めたのでした。

しかしデータはその場で消し、カメラには残していませんでした。
あの日までは。


それから2か月くらいの間、私たち夫婦に変化はありませんでした。
夫婦生活の営みの前に塔子の写真を撮り、時に撮影中にその写真を塔子に見せ、ポーズを工夫し、塔子が興奮しきった後結合する。
そういった夫婦生活を続けていました。
もちろんその写真のデータは塔子に言われたとおりにその場で消していました。

昨年の6月に入ったときのことです。
いつものように夫婦生活を休日の朝にすませ、後は買い物に行く予定になっていました。
しかしその日は二人とも仕事が立て込んでいて、疲れていたのか、ついいつもより長くうたた寝をしてしまいました。
起きてみるともう昼すぎていました。

うちでは一週間の食材をその週の休日に買い出しに行くことになっています。
大あわてで塔子を起こし、シャワーを浴びて買い物に出掛けました。

その日はそれだけで何事もなくすみました。

翌週の休みの日です。
その日は久々に仲間と近くの公園に写真を撮りに行くことになっていました。
前にお話しした高校時代のクラブの仲間で作った写真サークルです。
私はいつものようにカメラと妻が作った弁当を持ち出掛けました。

午前中は何事もなくいつものように思い思いの風景や植物を写真に収めていました。
昼になり昼食を取っているとき、いきなりにわか雨が降ってきました。
そんなこともあろうかと、屋根の付いたところで食事を取っていた我々は別段あわてることもなく食事を済ませました。

しかし全員が昼食を終えても雨はやみません。
そんなとき、サークルの仲間の1人岸川(仮名)が私のところに来ました。
彼とは高校時代から仲がよく、よくつるんで写真を撮りに行っていました。
そういう仲だったので私が結婚するときにも式にも呼びましたし、よくうちにも遊びに来ていました。
岸川は
「おい、今日撮った写真見せてくれよ。」
と言ってきました。
データを加工して、プリントアウトしたものを見せ合うのが常でした。
しかしアクシデントで時間をもてあましていたため、そんな考えを起こしたのでしょう。
「いいよ。」
私はカメラのデータを確認もせずに岸川に渡しました…

「ふ〜〜ん」
「ああこういう撮り方もあるね。」
そういいながら岸川は液晶を眺めていました。すると…
「え?」
一言驚いたような声を上げました。
そしていきなり黙り込み、座る位置を液晶画面が他のメンバーから見えないように変え、引き続き液晶を見つめていました。
私はその時の岸川の目が今までの写真を見る目とは違っていることに気が付きました。
(あ!データ消してない!)
後の祭りでした。
私は慌てて岸川からカメラを取り上げました。
とっさに確認したカメラの液晶には、今まで夫婦の間の秘め事であった塔子の痴態の写真が映されていました。

岸川は私の狼狽した様子に一瞬驚きましたが、すぐに私の方にいやらしい笑いを向けてきました。
塔子の体、一糸まとわない生まれたままの姿、胸や尻、腰のライン、そして未処理ですが薄めの陰毛、その奥の秘唇。
塔子の全てが岸川に見られたことを確認しました。

その時、他のメンバーが私たちの事に気づき何事か?と話しかけてきました。
岸川は私に向けていたいやらしい笑いの表情を解き、普段の表情に戻って
「いや、写真見せてもらっていただけだよ。」
とさわやかに言いました。
騒ぎにするつもりはない、岸川の気遣いとその時は考えました。

その後は雨もやみ、何事もなく一日の行程が終わり、それぞれがそれぞれの方法で自宅に帰る時間になりました。
私は自家用車で来ていましたので公園の駐車場に向かっていました。
(岸川に見られた…塔子の…夫婦の秘密を)
午後から私はそのようなことばかり考えていました。駐車場に向かうときにも…

その時後からやってきた岸川から声をかけられました。
「今からお前ん家行っていいか?」
「え?」
「いろいろ話したいしね。」
了承するしかありませんでした。

というか、岸川には事の訳を話しておかないとと思ったのです。
見られたものは仕方がない、その後をフォローしないと…。
このことを他人に声高に話す岸川ではないと思っていました。

「いいよ。」
「んじゃ、酒買ってから行くね。」
岸川はバイクで来ていました。
そして私よりも先にその駐車場から出て行きました。

私は車の中から自宅に電話しました。
塔子が出ました。
「今から帰る。岸川が来るから何か準備してて…」
「うん、何もないけど揚げ物でもしておくね。飲むんでしょ?」
「うん。」
「お酒あんまり無いよ。」
「岸川が買ってくるって。」
「うん、わかった。30分くらい?」
「そうだね。」
「んじゃ、準備しておくね。」
そんな普通の会話だったと思います。
でも心の中では塔子に謝っていました。
車を出し、自宅までの道のり、塔子に話したものか悩みました。
でも私がいろいろ考えたところで、キーは岸川が握っていることにも気づいていました。
岸川が話せば全てが塔子に伝わると言うことです。

自宅に付くと岸川はもう私の家に着いていました。
つきあいが長いので私がいなくても岸川は上がり込んでいました。
「おそかったね。」
岸川はいつものように明るく私に話しかけます。
「おかえり、もう準備できるよ。始めてたら?」
塔子の声だけキッチンから聞こえてきました。

これから塔子のモデルになる最初のステップが始まります。


塔子の作ってくれた料理を肴にしながら私と岸川は飲み始めました。
こういった状態は月に1〜2度ほどある状態で、私たち夫婦や岸川にとっても当たり前の日常でした。

塔子は料理を終え、自分も食卓へと来ました。
前述したように塔子もいける口なので、調理が一段落付くといつもこうやって一緒に飲むのが通例になっていました。
私たちはいつものようにカメラや写真のこと、仕事場でのことなど愚痴やうわさ話も含め話ながら飲んでいました。
塔子も少しずつですがビールを口にし、時折私たちの話に入ってきます。

当然岸川と塔子が話す場面もあります。
今までは何ともない光景だったのですが、岸川に塔子の全てを見られているという事実がある今、何ともなしに岸川の目がいつもと違ったものになっているような気がしてなりませんでした。
なんというか塔子の服越しに塔子の全てを見透かしている、塔子の体を値踏みしているように感じたのです。

いたたまれない気持ち、塔子にすまないという気持ちが湧いてきました。
が、同時にもやもやとした不安というか、胸騒ぎ、そういった別の感情が湧いてきているのも事実でした。

(塔子…お前の体はお前の前にいる男に全て見られたんだよ…胸も腰も尻も全て…)
そう思うともやもやがドキドキとした興奮に変わってきているのが分かりました。

一時間ほど過ぎ、私たちはビールから焼酎へと飲み物を変えました。
いつもならこの辺りから塔子は席を外し、食べ終わった食器などを片付け始めます。
そのころには私たちの話もかなり専門的な話になってきてるので、塔子には私たちの話の内容が分からなくなってきているからでした。
私たちも普段はそのことは気にも止めずに話を続けるのです。
しかしその日は違いました。
「今日は塔子ちゃんも飲もうよ。」
岸川が言いました。
(え?)
私は思いました。今日の酒は岸川が持ってきたものです。だから勧めるのはかまわないのですが、いつもと違うのです。
(いつもはそういったことは言わないのに…何か企みが…)
「いけるんでしょ?ビールでもいいからさ。つきあいなよ。」
「でも明日仕事だし…」
塔子は断ろうとしました。
「大丈夫だって!朝まで飲む訳じゃないから!」
岸川は誘います。
「分かった。でもビールおなかいっぱいだから焼酎にして!」
塔子は誘いに乗りました。
「OK!水割り?」
岸川は慣れた手つきで水割りを作りました。
塔子はキッチンに行き冷蔵庫からカルピスを持ってきました。
「これで割るね。」
甘くして飲もうと言うつもりなのでしょう。
「いいね!それじゃ乾杯!」
塔子と岸川がグラスを上げたので私もつられてグラスを合わせました。

それからまた一時間ほど様々な話をしながら3人で飲み続けました。
私たちも杯を重ね、岸川が持ってきた焼酎の5合ビンもそろそろ底をつこうかとしていました。
岸川は相変わらずいつもと変わらぬ様子で話したり、塔子や私の話を聞いたりしています。
(いつ切り出すのかな?)
私はそんな気持ちで飲んでもあまり酔えずにいました。

一方塔子はカルピスの甘さにだまされたのか、杯を重ね、顔を真っ赤にして酔っていました。
(もう話さないのかな?それとも塔子が酔いつぶれてから?)
そう私が考えているといきなり岸川が
「塔子ちゃん、こいつに撮られたことある?」
そう切り出しました。
私は驚き、口にした焼酎を思わず吹き出すところでした。
「う〜〜ん あるよ〜〜」
塔子は酔いながらもしっかりとした口調で話しました。
「そりゃそうだよね。いろいろ旅行とか行ってるもんね。」
「そうそう、そんなときとか、デートで海行ったときとか〜」
「え?水着撮らせたの?」
「撮らせるわけないじゃない!そんな自信ないよ〜〜」

塔子はそこまで酔っていないと思いました。
私たち夫婦の性生活に触れる発言はしない、そう感じました。
でも岸川は全て知っているのです。
そう思うと塔子が不憫に思えてきました。
いっそ私の口から今日のことを話そうか…そう考えたときのことです。
「ほら!俺カメラ買い換えたんだ!」
岸川から意外な言葉が出ました。
「これこれ!」
岸川は自分のバッグからカメラを取り出しました。
何のことはないいつもの岸川のカメラでした。
(何でこんな嘘を?)
私は思いました。カメラを買い換えたのは明らかに嘘なのです。
「へ〜〜前のとどこが違うの?」
塔子はカメラにはあんまりくわしくありません。そのことを知って岸川は何かを仕掛けてきたのです。
「ほら!ここが…」
機械に詳しくない塔子に、カメラの説明をする岸川。
「そいつにそんなこと言ってもあんまりよく分からないよ。」
私は牽制しました。
「いいのいいの!分かってもらおうとは思ってないから。」
笑いながら岸川は言います。
私の話に少し塔子はムッと来たみたいでした。『あんまりよく分からない』が気にさわったようでした。

「やっぱり撮ると違うんでしょ?」
塔子が聞きました。
「違う違う!撮ってみようか?」
岸川はそういうやいなや、塔子にカメラを向けるとシャッターを切りました。
塔子は少し驚いた顔で、自分が何をされたのか理解するのに少し時間がかかっていました。
「ちょっと〜やめてよ!いきなり撮らないでよ!」
塔子は笑いながらカメラを手で押さえます。
「ほら見てみて。」
岸川はカメラの液晶を塔子に見せます。
「肌の感じが違うでしょ?」
「やだ〜〜変な顔してる〜。消して消して!」
「あら?気に入らなかった?」
そういうと岸川はまたシャッターを切りました。
塔子は今度は準備ができていたのか、顔を隠して
「やめてって!!」
そういいながら笑います。
「ちょっと、ちゃんと撮らせてよ!今度はいきなり撮らないから。」
岸川はカメラを構えたまま塔子に言いました。

思えばこの時制止すべきだったのです。
友人が自分の妻を、目の前で撮影する、こんな異常な状況が私の目の前で始まったときに。

目の前で友人が自分の妻にファインダーを向けている。
この異常な状況に私は少し高揚していたのを覚えています。

友人とは言え、他人のメモリの中にデータとして取り込まれていく妻の姿。
フラッシュが焚かれるごとに、それは一枚また一枚と増えていくわけです。
その時の妻は、青いキャミソールに薄手のパステルイエローのカーディガンをはおい、下は膝くらいのデニムのスカートでした。
自宅なので靴下ははいていませんでした。

塔子は恥ずかしがりながらも、床に座ったまま岸川に笑顔を作っています。
「ちゃんと後で消してよ〜。」
酔いが回った感じの口調です。
「いいのはプリントアウトするからさ。」
「え〜〜それマジやめてよ!」
笑いながら岸川に答えます。

「それじゃ、ちょっと移動しようか、ソファーに座って。」
「もぉ〜〜しょうがないなぁ〜。」
塔子はソファーの方に移動しました。
「塔子ちゃん、写真撮られ馴れているね!ポーズが様になっているよ。」
悪戯っぽく微笑みながら私に岸川が言います。
「少し遊ばせてもらってるよ。かまわないか?」
今更ながらの確認です。
「ああ、でも塔子が嫌がったらそれでおしまいにしてくれよ。」
私は渇いた喉を焼酎の水割りで癒しながら答えました。
私も徐々に興奮していたのでしょう。

そんな私を横目に岸川はまたファインダーを塔子に向けます。
「いいねーじゃあソファーの上に女の子座りで座ってみて。」
その様子を立ち上がって撮ります。
キャミからは塔子の胸のふくらみが少し見えていたはずです。
でも塔子は気にしないで岸川の要求に応えています。

「じゃぁ今度はカーディガン撮ってみようか。」
「え〜〜ダメだよ〜」
「大丈夫、きれいだよ。無茶苦茶素敵。」
塔子は私の方を見ました。
「下着つけてるんでしょ?大丈夫さ。」
私は明るく答えました。
塔子は私の反応に少し驚いた感じでしたが、
「カーディガンだけだからね。」
と言ってカーディガンを脱ぎました。

塔子の肌は白く、腕や肩も細い方です。
だからカーディガンを脱ぐとキャミは胸の部分は少し浮いた感じになります。
上からだと塔子の下着がのぞけるはずです。

「いいね〜いいね〜〜。」
岸川はそういいながらシャッターを切り続けます。
「ンじゃ今度は四つんばいになってみて!」
「もう〜〜」
「パンツ見せないように気をつけてね。」
「見せませんよ!」
塔子はソファーの上に四つんばいになりました。
その塔子を岸川は上から横から撮っていきます。

「ちょっと腰落として。」
「そのまま顔上げて。」
ポーズの指示の出し方も何だか馴れています。

「何だかエッチな本の写真みたいだよ。」
塔子が言います。
「見たことあるんだ?」
岸川が厳しく突っ込みます。
「いや…水着とかであるじゃん。」
「ああ、水着ね。でもヌードとかでもあるよ。こんなポーズ。」
「いや〜〜!」
塔子は笑いながら照れています。
その台詞には私も正直ドキッとしました。
昼間見られた写真の中には塔子の全裸でのそのようなポーズも何枚か有ったはずです。
「丸見えになってるよね。」
岸川が言います。
「丸見えって!エッチ!」
塔子は笑いながら言いました。

岸川は塔子の前に移動しました。
四つんばいの姿の塔子はカメラを見ながら撮影されています。
おそらく浮いたキャミからは塔子の下着が見えていたはずです。
でも酔ったせいなのか、気分が乗ってきたのか塔子は気にしません。

「もう無理!酔ってきちゃった!」
そういうと塔子はソファーに横になりました。
岸川はその塔子を上から一枚撮ると、
「おしまい!ありがとう塔子ちゃん!楽しかったよ。」
と言いました。
枚数にして60枚ほど撮ったのでしょう。
「見てみる?」
塔子に岸川が聞きました。
「うん!あなたも一緒に見よう。」
塔子が私に呼びかけました。

私たち夫婦がソファーに腰掛け、岸川が後からカメラの液晶を見せてくれます。
「ほら〜きれいだろ?」
「カメラ上等だね。」
そんな会話をしながら写真が進められていきます。

「あ、ブラ写ってるじゃん。」
「ホントだ〜。」
「狙って撮ったでしょ。これ消してよね。」
「分かってるよ。あとで消すから。」
確かに何枚かの写真には塔子の白いブラジャーが写っていました。
そしてその胸のふくらみも。

「これで最後。」
岸川は最後のソファーに横たわった塔子の写真を見せてこういいました。
「お疲れ様です。」
塔子が冗談っぽく言います。

その次です。当然何枚かは保存すると思っていた私の考えを岸川が意外な言葉と行動で否定しました。
「それじゃ全削除!」
カメラを慣れた手つきで操作し、データ全削除を実行したのです。
「え?」
私たち夫婦は同時に言いました。
「何枚か取っておくんじゃなかったの?」
塔子が不思議そうに聞きます。
「そのつもりだったけど、取ってるうちに悪い気がしてきてさ。塔子ちゃん酔っぱらってるし、化粧とかもしてないでしょ?」
「まぁそうだけど。」
「そんな写真は残したくないでしょ?…それに旦那さまがいい気持ちしないさ。」
岸川がこちらを見て言います。

「何枚か取っておいてよかったんだぜ。」
私が言いました。塔子もそのつもりだと思ったからでした。
事実塔子も私のその言葉にうなずいて同意しました。

「う〜〜んそう思ったんだけどさ、何かちゃんと撮りたくなってきちゃって…。」
その言葉に私たち夫婦は驚きました。
「今度どこかスタジオで撮らせてよ!ちゃんとメイクとかして、衣装とかも用意して!」
どういうつもりだ?私は岸川の考えを読めずにいました。
「え〜〜それ無理!絶対無理!」
塔子は当然の反応をします。
「メイクや衣装ってどうするんだよ?用意するのか?」
私が聞きました。
「知り合いの人にそういうの得意な人がいるから、その人に話し通すよ。」
どんな交友関係を持っているのだろうか?高校時代の岸川からは想像も付かない言葉でした。


その夜にはくわしい話は聞けませんでした。
「どうなるかわからないから、話が本決まりになるまで勘弁な。」
岸川の答えはそこまででした。
岸川はその話が終わると、そそくさと帰ったのでした。
おそらくはその人物と一刻も早くコンタクトを取りたいのだろうな、私は予感しました。

岸川を玄関で見送り、部屋に戻ると塔子はソファーに横たわっていました。
目をつぶり、眠っているのかと思われました。
散らかったままのリビングを私は1人で片付けようとグラスや食器をキッチンまで運んでいました。
「ん〜〜ごめんね〜。」
物音に塔子が起き、そう言ってきました。
「かなり酔ったね。」
私が聞くと
「うん、今日岸川君お酒の勧め方上手だったから…つい飲み過ぎちゃった。」
塔子はそう答えました。
さっとすすいだグラスに冷蔵庫から出したスポーツ飲料をつぎ塔子に渡すと、塔子は体を起こしそれを一気に飲み干しました。
私はその様子を眺めながら、
「どんな気持だった?」
と聞きました。
「う〜〜ん。」
「恥ずかしかった?」
答えようとしない塔子に私は重ねて聞きました。
「恥ずかしかったよ〜当たり前じゃない。こんな普通の姿でさ、しかも酔ってるところ撮られて。恥ずかしくないわけ無いでしょ?」
笑いながら塔子はそう答えました。
「それじゃ、イヤだったんだ?」
その質問に少し間を開けて塔子は答えました。
「ん〜〜イヤ…じゃなかった。」

驚きました。他人にしかも夫の友人に写真をバシバシと撮られる。恥ずかしがり屋の塔子から出てくる答えだとは思わなかったからです。
「あ!ほら、最初はイヤだったよ。岸川君があんまり真剣な顔して頼んでくるからさ、つい最初はちょっとくらいいいかなぁ〜と思ったの。」
塔子は私の表情に驚き、早口で答えました。
「でもね、岸川君がいろいろ撮りながら声かけてきたでしょ?それで何だかノってきちゃって。」
確かに岸川は撮りながら、ポーズを指定したり、褒め言葉をかけながらシャッターを切っていました。
「あなたから撮られてるでしょ?あれで慣れてきてるのもあるのかもしれない。」
私も夫婦の間の秘密の撮影会の時は岸川と同じように声をかけて撮っています。
「でも今日は岸川が相手だったでしょ?俺じゃないじゃん。」

その時は嫉妬にも似た感情からついこんな事を聞いてしまいました。
塔子は私の質問に明らかに動揺していました。
夫以外の男から写真を撮られ、それを許してしまった自分、そのことに嫉妬している夫に気づいたのでしょう。
「うん、それはわかっていたよ。だから洋服着たままだったでしょ。」
フォローを入れるように塔子は答えます。
「まあ岸川君も画像全部消してくれたし、酔った時のことと言うことにしようよ。」
塔子はそう言ってリビングの片づけを始めました。

かちゃかちゃと音を立てて食器を洗う塔子の姿を見ながら、私はデータは消しても専用のソフトを使うと復帰できるという話を聞いたことを思い出しました。
岸川がそんなことはしない、出来ないはずだと思いその考えを打ち消しました。

まだ洗っていない食器を取りに塔子が戻ってきた時、私は聞きました。
「どうするんだ?岸川はお前をちゃんと撮りたいって言っていたぞ。」
「冗談でしょ?あんなの。」
手を休めずに塔子が答えます。
「いや、結構乗り気だったよ。なんかそんなことにくわしい人に連絡取るとか言っていたし。」
「へ〜〜くわしい人ってどんな人だろ?」
ちゃかしながら塔子が答えます。
「わからないよ、くわしいことは教えてくれなかったし。それより岸川がもし本当に言ってきたらどうするんだ?」
「断ったらいいんじゃない?」
塔子は食器を運びながら答えました。
「断りたいのか?」
私は聞きました。
「今日みたいなのはイヤ。でも記念になるようなヤツだったらOK出すかも。」
ちょっと悪戯っぽく笑いながら塔子が言いました。
「記念になるようなヤツ?そうだな、衣装とかあるって言っていたしな。」
「記念写真だと思えばかまわないかな。」
「写真館の前に飾ってあるヤツ、そんな感じならいいかもしれないね。」
そんな風に簡単に考えていた私たちでした。

それから2週間ほど岸川からは何の連絡も入りませんでした。
高校のカメラ仲間からの撮影旅行の話など入ってきていたのですが,岸川は全然動きがなかったのです。

その日は私は午前中から会議が入っており,携帯電話をマナーモードにしていました。
午後昼食の時間になり,携帯を見てみると岸川から着信がありました。
しかも30分ごとに3回も。
例の話かと思いましたが,その日は午後からも仕事が立て込んでおり,岸川に電話を入れることが出来なかったのです。
いつもの岸川ならメールででも内容を伝えてこようとするはずなのに,その日に限っては午後からも着信があるだけで,その内容がうかがい知れました。

例の撮影のことかな?
うすうすはそう感づいていました。

18時頃仕事が終わり,帰宅しようとまた携帯を見ました。
すると塔子より着信が入っていました。
「もしもし?」
私は塔子に電話を入れました。
「あ、もしもし。」
塔子の声の後ろから聞こえる雑踏の音で帰宅途中なんだなと言うことがわかりました。
「どうしたんだい?今日遅くなるの?」
私は聞きました。
「いや、ちがうの、岸川くんから電話が入ってたんだけど、私でれなくて、そちらにも連絡きてない?」
岸川は私だけでなく塔子にも連絡を入れていたのでした。
「ああ、入っていたよ。まだこちらからは連絡してないけどね。」
「そうなんだ、何だろうね。4回も履歴有ったから、大事なことかなぁ?」
塔子は純粋にそんなことを言っていました。
「いや、どうしてものことなら、伝言やメールででも伝えてくるだろう?それしてないってことはそこまで大事なことではないんじゃない?」
私はもう一つの可能性、電話やメールででは伝えられない内容、ということは塔子には話しませんでした。
「そうよね、わかった。」
「今から俺から連絡入れてみるから。もう帰るんでしょ?」
「うん、買い物すんだし、あとは家に着くだけ。」

電話を切り,自分の車に乗り,エンジンをかけてから私は岸川に連絡を入れてみました。
岸川は3回目のコールで出ました。
「もしもし、悪かったな、今日は出れなくて。」
私は最初にこういいました。
「あ、いいんだよ、気にすんな。おそらくは夕方までは連絡取れないだろうなと思ってかけてたから。」
岸川は明るくこう言いました。
「お前、塔子にも連絡入れたろう?塔子気にしていたよ。」
「あ、ごめんごめん、塔子ちゃんにも早く連絡したくてさ、つい焦っちゃって。」
「それにしても、メールじゃダメだったのか?伝言でもよかったのに。」
私がこう言うと岸川はしばらく間をおいてこう言いました。
「いや、そう言うので伝える内容じゃなかったからさ。」
やはり例の話のことだ、と私は悟りました。
「この前ちょっと話しただろ?塔子ちゃんちゃんと撮りたいって話、あの話だよ。」
「じょ…冗談じゃなかったのか?」
私ははぐらかそうとしました。

「まさか!」
岸川は大きな声でそう否定しました。
「冗談であんな事言うもんかよ。」
「え?それじゃやっぱり塔子を撮るのか?」
「そうだよ、撮りたいよ。この前も必死で押さえていたんだからな。」
押さえていた?何を?私はそう思いました。
「お前が撮ったあの写真、あんなもの見せられて自分も撮ってみたいって思わないわけ無いだろ?」
その話か…そう思いました。
「塔子ちゃん、綺麗だったよ。すごく。お前もそう思うだろ?」
確かにそう思います。だから撮り続けていたのですから。
しかし他人、しかも自分の友人から自分の妻の体の評価をそう聞くことは何だか不思議な感覚でした。
見られてしまった悔しさ、恥ずかしさ、それに塔子に対する申し訳なさ、そして少しの高揚感。
そう言った感情が私の中で同時に起こりました。
「とにかく、場所とスタッフは確保した。あとは日取りだけだ。」
「スタッフ?」
場所はわかります。しかしスタッフなどという大がかりな言葉に私は驚きました。
「ああ、言い過ぎたかな?衣装なんか用意してくれたり、メイクしてくれる人だよ。」
「よく捕まえたなそんな人。」
「だから話通すっていったろ?そう言うのくわしい人知ってるんだよ。」
岸川にそう言う知り合いがいる、意外でした。
「いつ頃がいい?」
岸川は話を進めようとします。
「いや待てよ、塔子はウンとは言ってないぞ。」
私はそう答えました。
「あははは、そうだった、話が逆になってるな。」
岸川はそう言いました。
「わかった、んじゃ塔子ちゃんにも話、教えておいて。そんで連絡してよ。」
岸川はそう言うと私の答えも聞かず電話を切りました。

やはり話は進んでいたか、私はそう思いました。
自分の妻の生まれたままの姿を友人に見られ、そればかりでなく自分の妻を被写体として友人に差し出す、そんな感覚にとらわれました。
とりあえず塔子に話をしてみよう、私はそう思い車を出しました。

自宅につくと塔子はもう帰っていました。
あわてた様子で晩ご飯の準備を整えていました。
「お帰り。」
塔子が私に呼びかけました。
「もうちょっと待ってね。すぐ支度できるから。」
「いや、慌てなくていいよ。」
私は塔子にそう言うと、部屋着に着替えに寝室まで行きました。
着替えながら、岸川の話をどんな風に切り出したものか、そのことばかり考えていました。

リビングに戻るとすっかり晩ご飯の支度は調えられていました。
座り、塔子が来るのを待っていました。
晩酌の習慣がないもので、塔子は麦茶をグラスに入れ持ってきました。
「んじゃ食べよっか。」
塔子はそう言うと箸を持ちいただきますの格好をして、食事を始めました。
私は麦茶で喉を潤すと塔子と同じように食事を始めました。
それからしばらくはテレビを見ながら食事をし、時折テレビのニュースへの感想などを話しながら、食事は進みました。
テレビがCMに入り、少し二人の間に沈黙が訪れました。

「岸川君、何だったの?」
塔子がいきなり切り出しました。
私がどうやって切り出したものか悩んでいた事を塔子のその言葉は解決してくれました。
「ン…ン〜撮影の話だよ。」
私がそう言うと塔子は何のことだかすぐには理解していないようでした。
しばらく沈黙したあと、
「あ!あ〜〜〜あの話?」
塔子は箸を置いてそう言いました。
「そう。その話。何でもスタッフと場所は確保したらしい。」
「そこまで話進んでるの?」
塔子は少し私に疑いの目を向けてきました。
旦那が勝手に話を進めている、そう感じたのかもしれません。
「いや、俺だってびっくりだよ。今日電話でいきなり聞いたんだし、まさか岸川がそんな準備できるとは思っていなかったからさ。」
私が少し慌てた感じで言うと塔子は納得したようでした。
「それに前、岸川に撮られた日、あの日に俺結構乗り気だったよって言ってたじゃん。やっぱあいつ本気だったんだよ。」
「ん〜〜そう聞いてたけどさ〜まさかねぇ…」
塔子は少し困った顔でそう言いました。
「どうする?お前の気持ちだよ。岸川には断りを入れることも出来るんだよ。」
私は少し卑怯な言い方をしたと思います。
塔子の意志に任せるようなことをいいながら、他人から写真を撮られる妻の姿を見たい、そういう欲望を満たすための機会は残すような言い方をです。
塔子はそんな私の気持ちに気づいたようでした。
「あなたはどうなの?」
そう聞いてきました。
「そりゃイヤに決まってるさ。」
私は必死にごまかしました。
「塔子がもし俺たちが撮ってるような写真、他の人に撮られるんだとしたら絶対イヤだよ。」
俺たちが撮っているような写真、その言葉に塔子は少し照れ笑いをしながら言いました。
「そりゃね〜あんな写真、岸川君の前で裸にならなきゃいけないもんね。」

その時です。私の携帯が鳴りました。
着信は、岸川からでした。
「うわ!噂をすれば…だ。」
「盗聴とかしてるんじゃないでしょうね。」
塔子は笑いながら言いました。

「もしもし。」
岸川からの電話に私は出ました。
「あ、もしもし、今大丈夫?」
「ああ、いいよ。」
その電話はそんな何気も無い始まりでした。
「塔子ちゃんに話してくれた?」
岸川は聞いてきました。
「今話したところだよ。」
「んで、返事は?」
私は塔子の方を見ました。
塔子は両腕で大きく×印を作り私に意志を伝えてきます。
「ダメだって。」
私はそう伝えました。

「え〜〜なんで〜」
岸川は大きな声で言ってきました。
その声は塔子にも聞こえたようでした。
「準備もしたんだよ〜もうあとは塔子ちゃんのOKもらえればすぐにも出来るのに。」
そこが一番肝心なところだろう、私はそう言おうとしました。
すると塔子が代わってくれというジェスチャーをしてきました。

「あ、塔子がお前に直接話がしたいって。」
「その方がいい、代わって代わって。」
岸川は少しうわずった声でそう言いました。
「大丈夫なのか?断るんだろ?」
私は聞こえないように電話を押さえながら塔子に確認しました。
「うん。はっきりと断るよ。」
塔子はそう言うと私から電話を受け取りました。

「あ、もしもし〜〜岸川君。こんばんは。」
塔子は明るい声でそう電話に出ました。
「なんか私にも電話くれてたみたいね。ごめんね〜5時まではなかなか出れないんだ。」
そういった普通の会話から塔子は始めました。

(岸川の声は当然聞こえなかったので「・・・・・」で表現します。)

「私の写真撮るって話でしょ?ダメだよ、っていうか絶対無理だって。」
「・・・・・」
「だって恥ずかしいもん。」
「・・・・・」
「え?綺麗だって?何いってるの〜私なんか撮って綺麗なんて言う人いないわよ。」
「・・・・・」
「え、まぁそうだけどさ。岸川君ぐらいだって。」
「・・・・・」
「準備?どんな?」
「・・・・・」
「うんうん。」
「・・・・・」
「衣装まであるんだ?Hなヤツでしょ、どうせ。」
「・・・・・」
「そりゃ着たことはないけどさ。着るのとそれ着て写真撮るのはちょっと違うよ。」
「・・・・・」
「無理無理無理無理。絶対無理だって。え?」
「・・・・・」
「そうなんだ。そんな人もいるんだね。」
「・・・・・」
「そういう言い方すると、そうだけどさ。」
「・・・・・」
「そこまで準備してあるの?」
「・・・・・」
「どんな知り合い何だか?とにかく私無理だからごめんね。」
「・・・・・」
「え?ま、そうだけどさ。う〜〜ん。ちょっと○○に代わるね。」

塔子はそう言うと、私が先ほどしたように電話を押さえながら、私に小声で伝えてきました。
「なんか衣装も20着くらい用意してあるんだって。メイクする人もいるみたいよ。」
そう言う塔子の目が少し輝いているように見えたのは私の気のせいだったのでしょうか。


「もしもし。」
塔子と電話を替わった私はそう岸川に話しかけました。
「おう!くわしいことは塔子ちゃんにも話したよ。」
「ああ聞いたよ、衣装20着くらい有るって?それにメイクさんもいるんだって?」
私は塔子から伝えてもらったことをそのまま岸川に話しました。
「いやそれだけじゃ無い。」
岸川の答えは意外なものでした。
「実は撮った写真を使って写真集みたいなのも出来るんだ。」
「え?」
岸川の話はこうでした。

岸川の話をつけてきた相手というのは、岸川が私たちのサークルとは別のサークルで知り合った、写真館を営むご夫婦だと言うことです。
カメラマンは旦那さん、メイクさんというのはその奥様だそうです。
旦那さんは写真館を開く前は、雑誌などのグラビアを撮る仕事をしていたそうで、奥様はその時代に知り合ったメイクや衣装の担当をする人だったそうです。
従ってスタジオなどはそのご夫婦のお店、衣装はもちろんある。メイクもばっちり出来ると言うことでした。
それにくわえ、現在は結婚式の写真や前撮りの仕事もしているらしく、オリジナルの写真集なども出来るらしいのです。

「なるほどね。そりゃまた都合よくワンセットになったもんだ。」
私は熱っぽく説明をする岸川をからかう感じでこう言いました。
「そうだろ?だからそのご夫婦、撮影が初めてじゃないんだよ。うちのサークルの奥さん方も何人か写真集にしてもらってるよ。」
「え?奥さん方?」
「いや、お前が想像しているような写真集じゃないよ。何というか、まだ若いうちに写真を残しておこうという意味で、いろいろな衣装とかで撮ったヤツだよ。」
想像しているのはお前の方で、たくらんでいるのもお前の方だろと私は言いたくなりました。
「塔子ちゃんにも言ったんだよ。記念になるからって。衣装もそんなHな露出たっぷりのヤツじゃなくてドレス類ばかりだって。」
岸川はさらに熱っぽく説明をします。
「でも塔子は断っただろ?」
「だからさ、お前から説得してくれよ。何だったらお前も同席していいから。」
「当たり前だろ?それは。」
あはははと電話の向こうで笑う岸川の声を聞きながら私は塔子に聞きました。
「どうする?やってみる?」

「あなたはどう思う?イヤな気持する?」
塔子の答えは意外なもの…では有りませんでした。
電話を私に渡した時の目の輝き、それは私の勘違いではなかったことをその時実感しました。

「1回切るな。」
私はそれだけ言うと岸川の返事も待たずに電話を切りました。

電話を置いた私に塔子は言いました。
「記念になるって言うのはわかる気がするな。それとプロのカメラマンとメイクさんにばっちりしてもらって…って言うのも興味があるし。」
軽く笑ったような表情で塔子は言います。
「あなたがイヤじゃなかったら、ちょっとやってもいいかな〜って思ってきたところ。」
もしこの時、岸川に私たち夫婦の秘密の写真を見られたこと、そしてもしかすると岸川はそんな写真を撮りたいと思っているかも知れないと言うことを塔子が知っていたら、きっとこんな答えはしなかったでしょう。
私も今そのことを塔子に話すわけには行きませんでした。
「あなたはどんな考え?」
塔子が聞いてきます。
「俺は…」
(いやだ…)その言葉が出ませんでした。
「塔子が綺麗に撮られて、それが残るんだったらいいかなって思う…よ。」
言葉が出なかった理由はそれだけでは有りませんでした。
他人に自分の愛する妻を撮らせる、先日の自宅で経験したそんな光景に興奮していた自分、それが言葉を出させ無くさせていたのです。
「あなたがそう考えるなら、やってみたい!」
そう言えば結婚式の前撮りなどもしていなかったな、だから妻はやってみたいのかな?そうも思えました。
「じゃあ、ちょっとやってみるか?」
確認するように塔子に聞きました。
「うん」

その答えを確認すると私は岸川へダイアルしました。
「もしもし!」
飛び出すように岸川は電話に出ました。
「もしもし?あ、塔子に替わるな。」
え?私が言うの?そんな表情の塔子に私は電話を渡しました。

「もしもし?」
塔子が電話に出ます。
「うん…うん…そう、お願いしようかなって決まったの。」
歓声とも悲鳴とも取れる岸川の声が、電話のスピーカーを通って聞こえてきました。
よほどうるさかったのか、塔子は思わず一旦電話を耳から外しました。
「めっちゃ喜んでますよ。」
私に笑いながら塔子は伝えてきました。
「あ、もしもし?」
塔子は再び話を始めました。
「いつくらいになるの?…うんうん、そうね土日なら今のところ大丈夫だよ。」
具体的な日取りの話も出てきています。
「場所は?え?そんな遠く?…駐車場はある、それならうちの車で乗り付けていいのね。」

そんな話をする塔子の姿を見ながら、私は不安と興奮が入り交じった不思議な感覚を味わっていました。