道具編 |
テニスで使用する道具は、主なものでラケット・ガット・グリップテープ・ウェア・ボール・テニスバッグ・靴などがあります。そのほか、道具っぽくありませんがテニスコートがなければできません。また、テニス雑誌などから最新のニュースや技術情報を収集することも多いです。
● ラケット |
ラケットはテニスを始めるときに最初に買うもので、初めてテニスをやる人はどれを選んだらいいのか悩むと思います。ラケットの性能を決める要素は以下のようなものがあります。
ラケット性能 |
特徴 |
面の広さ |
初級者から上級者すべてに渡って、ラケットを選ぶときに一番最初にチェックする要素だと思います。一般的には、面が広いほうが芯に当てやすく、面が狭いほうがコントロールしやすい、といわれています。また、面が広いラケットのほうが全体の重量が軽くなる傾向があります。 |
面の厚み |
最初から面の厚みを気にする方はあまりいないと思いますが、厚いほど飛びがよくなる、といわれています。また、厚いほどラケット内部の空洞が増えて、全体の重量が軽くなる傾向があります。 |
面の形 |
楕円型、先細卵型、先太卵型、四角型などがあります。メーカーによる特徴が大きく出る要素です。スイートスポットの位置と範囲に影響します。横幅が一番大きいところの中心がスイートスポットとなっていることが多いです。 |
ラケット全体の重さ |
軽いもので240g重いものだと330g以上あるものもあります。軽いほうが疲れにくく振り回しやすいですが、ラケットの力を生かしたストロークやサーブがやりにくくなります。重いラケットは重さを生かして遠心力でボールを飛ばす感覚を身につけると使いやすくなります。ただし、重い分やはり若干疲れが早く来ます。 |
ラケットの重心 |
ラケットの実際の重さよりも、重心のほうが体感する重さに影響を与えます。ラケットヘッド側に重心があると、実際の重さよりも重く感じ、グリップ側に重心があると軽く感じます。ラケットヘッド側に重心があるとストローカー向き、グリップ側に重心があるとネットプレーヤー向き、中心にあるとオールラウンダー向きと言われます。 |
フレームの硬さ |
柔らかいものほど“しなり”やすくなりボールが飛ばしやすくなると言われていますが、ガットのテンションの方が大きく打感に影響するため、それほどラケットごとの違いは出ないです。 |
グリップの太さ |
太いものほど握力が伝えやすく、細いものほど握りやすいです。手の大きさに合わせて選択します。一般的な量販店では1,2,3の3段階が置いてあり、一番数が多いのが2です。細いものはグリップテープで太くすることができますが、太いものはカンナで削るというわけにいきませんので、「若干細いかな〜」くらいのサイズを選んでおくほうが無難です。男性で手の大きい人は3、一般の方は2、女性は1,2のいずれかとするのがいいでしょう。 |
上級者は「狭い、薄い、重い、硬い」ラケットを選ぶ傾向があります。それが悪いとは言いませんが、初級〜中級者の方は逆に上達の妨げになるケースがあるので注意が必要です。特に、面の広さについては、個人的には狭すぎることのメリットをあまり感じません。狭いと面がぶれにくくコントロールしやすい、と言いますが、1cm程度直径が狭くなったところでそんなにぶれにくくなるとは思えません。むしろ、狭くなったことでスイートスポットが狭くなるデメリットの方を考えるべきです。スイートスポットは1cm広がっただけで全然違います。
なお、手で直接握って振り回す物なのでラケット選びは重要な要素と考えてしまいそうですが、私はこの道具選びはテニス上達やテニス成績にそれほど大きな影響は与えないと考えています。アマチュアに限って言えば、技術50、精神40、体力/筋力5、ラケット性能は1か2も影響しないかと。
最後に、ラケット選びで一番重要なポイントですが、それはデザインと試打感覚だと思っています。試打はテニススクールや量販店の一角でできますが、長時間できるわけではありません(まれに数日貸し出ししてくれる量販店もあります)。デザインで決めてしまっても、全く問題ないと思います。
● ガット |
ガットはボールが直接当たるところなので、ラケットよりもテニス技術に影響する道具です。使用していくと劣化するため、週1でテニスをする人なら少なくとも半年に1回、週に3回程度やるのであれば3ヶ月に1回は交換したい道具です。
ガットの要素 |
特徴 |
材質 |
ナチュラル・ナイロン・ポリエステルがありますが、一般プレーヤーはナイロンかポリエステルを選択することが多いです。値段が高価なナチュラルガットは私も使ったことがありませんが、耐久性を除くあらゆる面で優れているらしいです。 |
形状・太さ |
スピン性能・方向性・耐久性に影響を与えますが、中級者程度であれば気になるほどではないです。 |
テンション |
50〜55ポンドを中心として、40〜65ポンドで張ることが多いです。数字が大きいほど飛びにくくなるため、腕力でボールを飛ばしたい方は強めに張る傾向があります。女性の方は50以下にすることもあります。 |
私は初級者の頃は、テンション低い=下手な人、というイメージがあったため一時は58ポンドにしていたことがありましたが、少しずつ下げて今は50ポンドにしています。テンションが低いと方向性が悪くなる、という話もありますが、ラケット面の広さ同様、それほど違いがあるとは思えません。筋力に頼らない省エネテニスを目指すなら、低めのテンションお勧めです!
● グリップテープ |
市販のラケットはあらかじめグリップに何らかのテープが巻かれていますが、劣化したときに剥がしにくいため、一般的にはその上に別売りのグリップテープを巻くことになります。溝が深いもの、湿り気が強いもの、耐久性が高いものがあります。滑りやすくなったり、手垢が目だってきたら交換しましょう。
● ウェア |
Tシャツでやってもかまいませんが、長時間やるときは汗でべたべたになるため、スポーツ用品店で売られている速乾性のシャツとパンツを使用します。女性の方は、試合になるとここ一番のスコート(超ミニスカもどきですがぱんてぃは見えません)で参戦される方も多いです。ダブルスでは、さらにペアルックだったり、上手な女性ほどファッションにもこだわることが多いですね。
余談ですが、初めてテニスを一緒にする方でも、コートに入る前にある程度その人のレベルがわかることが多いです。これはどんなスポーツでも同じなんでしょうが、面白いですね。
● 靴 |
コートサーフェスに応じて異なる靴もありますが、オールラウンドのテニスシューズでもそれほど問題はないと思います。サイズは普段履きのスニーカーに比べて若干ぴったりしたものにすると、靴の中でずれることが少なくなります。
● テニスバッグ |
テニスの試合ともなると、ラケットはガットが切れたときのことも考えて最低2本は持っていきたいです。さらに、水分補給のための水筒やペットボトル、靴、着替えなどが必要です。テニスバッグは、これらが効率よく収納できるようにできていますので、特に遠方でテニスをするときには重宝します。リュックタイプとたすき掛けタイプがあります。
● ボール |
ボールには大きく分けて“試合球”と“練習球”があります。試合球はプレッシャーボールと呼ばれるもので、密閉された2気圧程度の缶の中に2〜4個、球内部の2気圧を保った状態で売られています。ボールの反発力は、この空気圧が中心となります。それに対して練習球はノンプレッシャーボールと呼ばれるもので、ビニール袋に数十個まとめて売られています。球内部の気圧は外気圧と同じで、ボールの反発力はボール自体のゴムの弾力で実現しています。ゴムの弾力を高めるため、ゴムの厚みはプレッシャーボールの2倍程度あります。
以下は、それぞれの長所・短所です。偏見も若干入っていますよ。
ボール比較 |
長所 |
短所 |
試合球 (プレッシャーボール) |
ゴム厚が小さいため、ボールの重量が軽くなっています。そのため打感は軽く、腕に対する負担も比較的小さいです。 |
球内部の気圧が外気圧よりも高いため、缶を開けた直後から空気圧が低下して使用しなくても劣化していきます。寿命は使用してもしなくても1ヶ月前後です。 |
練習球 (ノンプレッシャーボール) |
ゴムの弾力と表面のケバケバ(フェルトといいます)が劣化しない限り使用できます。寿命は1週間に1回程度の使用頻度で半年程度です。使用しなければほとんど劣化しませんが、3年程度でゴムが乾燥して割れてしまうことがあります(経験あり)。 |
打感がやや重く、腕に対する負担も若干大きいです。 |
ちなみに、ボールの単価はそれぞれあまり変わりません。練習のときにもプレッシャーボールを使っている方もいますが、サーブ練習などで大量にボールを打ちっぱなしにしたいので、普段の練習ではノンプレシャーボールがお勧めです!
私は今までいくつかのメーカーのノンプレッシャーボールを試してきましたが、プレッシャーボールに比べてメーカーによる特徴が顕著です。以下はそれぞれの比較になります。
ノンプレッシャー ボール比較 |
市場 |
耐久性 |
打感 |
特徴 |
BridgestoneNP |
◎ |
◎ |
△ |
私の感覚で一番市場に出回っているノンプレッシャーボールです。耐久性に優れていますが、他に比べて打感が重く感じられます。 |
Wilson00 |
△ |
○ |
○ |
耐久性は悪くはありませんが、完全な未使用の状態と1回以上使用した状態で急にボールの色が変わり、その後はあまり劣化しない傾向があります。 |
DunlopLP |
△ |
△ |
◎ |
フェルトの劣化が他に比べて激しいですが、プレッシャーボールに比べた打感はそれほど悪くありません。雨に弱い印象がありますので、雨天では使用しないほうがいいでしょう。 |
● テニスコート |
世界中を見ると、日本のテニスコートサーフェス事情は特殊です。屋外のコートの大部分がオムニですが、コート管理者のメンテナンスが容易なことが大きな理由のようです。
テニスコート サーフェス比較 |
球の速さ |
バウンド |
雨天 |
管理 |
特徴 |
グラス |
速い |
低い |
弱い |
困難 |
最も権威のある大会ウィンブルドンのサーフェスです。メンテに非常に手間が掛かり、国内ではほとんど見かけません。 |
クレー |
遅い |
普通 |
非常に弱い |
困難 |
粘土質の赤土を固めてできており、全仏オープンのサーフェスです。ナダルがもっとも得意とするサーフェスとして有名です。国内ではだいぶ少なくなってきました。 |
ハード |
やや速い |
高い |
普通 |
容易 |
全豪オープンのサーフェスです。メンテが比較的容易で管理者が扱いやすいです。硬いため、足腰に対する負担が若干大きくなります。 |
オムニ |
遅い |
低い |
強い |
容易 |
日本の一般プレーヤー向けのコートで現在一番多いサーフェスです。人工芝の上に砂を撒いてできており、他のサーフェスに比べて転んでも怪我をしにくく、メンテが容易で雨天に強い特徴があります。球足が緩くなるため、初心者向きのサーフェスといえます。 |
カーペット |
やや遅い |
普通 |
― |
容易 |
屋内コートで最近増えてきたサーフェスです。メンテナンスが容易ですが、ボールを追いかけたときに靴が摩擦で急に止まろうとするため、怪我をする危険性がやや高い傾向があります。 |
● テニス雑誌 |
真のテニス好きは、家にいるときも仕事しているときもテニスがやりたくてしょうがないものです(私がそうですから)。しかし、一般愛好家は時間を作ってやっているので、できないときは、雑誌を読んで次の練習に向けてイメージを描いたり、プロの活躍を見て憧れたりします。雑誌は、一般的な書店に行けば大概は置いています。以下はそれぞれの雑誌の特徴です。
テニス雑誌比較 |
技術情報 |
ニュース |
特徴 |
T.Tennis |
◎ |
△ |
私が3年近く購読している雑誌で、技術情報がさまざまな人物と角度で記載されています。しかし、2008年9月からスタッフの一部に改革があったようで、「プロに挑戦」などの面白い企画がなくなったり、その他も急激につまらなくなったような感じがしています。心配です。 |
Tennis Journal |
△ |
○ |
技術情報と時事がそれぞれ記載されていますが、内容はそれほど厚くはありません。 |
Tennis Classic |
◎ |
△ |
技術情報が中心ですが、T.Tennisが日本のコーチのお手本を多く載せているのに対して、現役のプロの写真を多用しています。 |
テニスマガジン |
× |
◎ |
時事が中心で、技術情報があまりありません。個人的には手に取る機会が少ない雑誌です。 |
スマッシュ |
○ |
○ |
技術情報と時事がバランスよく記載されています。どちらかというと、中級者以下をターゲットにしているようです。 |
● その他の道具 |
屋外でテニスをするときは“帽子”があるとサーブのときに太陽の光で見にくくなることもありません。また、暑さ対策にもなります。肘や腰の負担を軽減するための“サポーター”を常備している方もいます。その他、スイートスポットを外したときに起こるガットの振動を止める“振動止め”、汗拭きのための“リストバンド”もあるといいでしょう。