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田んぼの学校用語集

 環境教育としての「田んぼの学校」にまつわる様々な用語を解説します。あくまでの私流の理解と解釈です。一般的な解説とはスタンスの違いから表現が食い違うこともあります。ご理解ください。

合鴨農法(あいがものうほう) 正しくは、アイガモ水稲同時作と言う。ひとつの田んぼで稲作と酪農を同時に行うという意味で、米には付加価値がつき、アイガモも出荷される。一般の家畜の糞尿は産業廃棄物として扱われるが、アイガモ農法では、稲の肥料になるというものの、水質の汚濁がひどく環境破壊につながる。また、人為的な生物の移入は生態系の破壊にもつながり、現実稲とアイガモしかいない田んぼになってしまう。回収されずに野生化したアイガモが増えている。コイやカブトエビなどを除草に用いた農法も同様で、間違えれば生態系への人為的な介入となる。

生き物調査(いきものちょうさ) 農業・農村の多面的機能が注目され、農村環境の保全が重要視される中、「田んぼ周辺」および「田んぼ」の生き物調査が盛んに行われるようになる。土地改良法が改正され「環境との調和に配慮・・・」が加り、水路を中心とした「田んぼ周辺」の調査がマニュアル化される。「田んぼ」の調査からは、その田んぼの物質循環の程度をうかがい知ることができる。冬期湛水によるイトミミズ・ユスリカの増加と土の肥沃化との関連が調査されている。アイガモ農法などの生物利用型農業とは違い、生物資源型農業と相通じる考え方である。

写真は、コドラート法による調査の様子 20cm×50cm(10aの1/10000)で囲った中を土ごとすくい取り、種と数を調べるもの。冬期湛水水田では、何千万匹のイトミミズを数えることも珍しくない。

臼摺り(うすすり) 籾の殻をはぎ玄米にする作業を言う。籾摺りとも言う。竹製・木製・土製の臼を用い、籾がこすられて殻がはずれる。機械では、回転差のあるゴムローラーの間に籾を通し摩擦で殻をはいでいる。手作業では、すり鉢に籾を少量入れソフトボールか軟式野球のボールで押し付けねじると殻がはがれる。

エコファーマー 農水省「平成11年7月に制定された「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律(持続農業法)」第4条に基づき、「持続性の高い農業生産方式の導入に関する計画」を都道府県知事に提出して、当該導入計画が適当である旨の認定を受けた農業者(認定農業者)の愛称名で、平成12年8月の「全国環境保全型農業推進会議(会長:熊沢喜久雄東京大学名誉教授)」に寄せられた応募の中から選ばれたものです。エコファーマーになると、認定を受けた導入計画に基づき、農業改良資金(環境保全型農業導入資金)や税制上の特例措置が受けられます。」

温帯(おんたい)ジャポニカ 縄文期には朝鮮半島から日本列島に渡ってきていたと言われる。熱帯ジャポニカも南方から海洋ルートで伝わってきたと言われるが、温帯ジャポニカが優勢となる。現在主に日本と朝鮮半島で栽培されている。ジャポニカ種は、適した環境が来るのを待つ、あるいは生育を中断する機能を持っており、気温の上下の激しい温帯に適している。この機能はインディカ種にはない。最大の特徴は挺生植物であることで、ヨシのように根は地下に葉や茎は水上にあって生育する。このため、葉から根に酸素を送る仕組みをもっている。このことで、湿地帯で生息する動植物とは切っても切れない関係を現在まで保っている。

環境創造型(かんきょうそうぞうがた)農業 環境保全型農業が、田んぼの環境への負荷を軽減することを目標とするのなら、環境創造型農業は、正の環境負荷(正荷というのでしょうか)を高めることを目標とする。生物多様性を実現した田んぼなら、他のビオトープとつながり農村環境を復元できるし、水を浄化することもできる。

環境保全型(かんきょうほぜんがた)農業 環境保全型農業は、田んぼの環境への負荷を軽減することを目標とする。環境負荷を無くすことができない前提の上に成り立っている。「減」農薬と言う単語は、農薬が体に良くないことを自ら表現しているように思える。

グロマリン 根圏微生物である真菌の生産するタンパク質である。1996年アメリカの農務省農業調査局のサラ・ライト博士が発見した。植物の根についているカビなどの真菌が、土壌の中でネバネバした特殊なタンパク質を作り出す。このグロマリンによって土壌構造の団粒化が促進され、土壌が豊かになり持続的安定生産が可能になる。グロマリンが、土壌の豊かさを決める大きな要因となっている事が明らかになった。土壌を耕さないと菌根菌が植物の根に住み続け、グロマリンを含む良い土壌が出来る。不耕起で3年経過した土壌には2倍、15年経過した土壌には3倍のグロマリンが含まれる。不耕起栽培の米の食味と収量が安定するのは3年めからと言われるのはこのためである。

古代米(こだいまい) イネの原種である野生稲の特徴を受け継いでいる稲。主に赤米・黒米・緑米などがある。特徴は、生命力が強く、水も乏しいような痩せた土地でも丈夫に育ち、農薬や肥料は不要である。背丈の長い稲が多く、1.5mを超えるものもある。 品種改良された現代米と比べ、収穫量は少ない。

滋賀県環境こだわり農産物認証制度(しがけんかんきょうこだわりのうさんぶつにんしょうせいど) 滋賀県「農薬や化学肥料の使用を減らした農産物を求める消費者ニーズに応じた生産振興、および環境にこだわった農業の推進をねらいとして、本県が独自に定めた要件を満たして栽培された農産物を「環境こだわり農産物」として県が認証する制度です。」化学肥料と農薬の使用料が通常の半分以下の物が対象となる。

出穂日(しゅっすいび) 出穂の早い茎と遅い茎では7日の差があり、有効茎の40%が出穂した日を出穂日と言う。その後の登熟は穂先から穂首に向かって進み7日の遅れがある。出穂の遅れと登熟の遅れを合わせると、1株でも14日の差がある。収穫日は株全体を見て判断する。
関連:走り穂

成苗(せいびょう) 田植機の普及により、箱の中に播種する育苗法が一般化した。稚苗植えが一般的であるが、播種量を少なくし、自然温度で生育すると5葉期で草丈20cm程になる(昔の苗代ではこんな成苗が普通だった。)。茎は太く強健でその後の分げつ茎も太くなり、大きな穂をつける。
関連:稚苗

生物資源型農業(せいぶつしげんがたのうぎょう) 田んぼが本来もつ生物多様性を復元し、生物間の循環(稲もその一部)の中で得られる稲に対する有益性を生かそうとするもの。その出発は微生物で頂点は鳥類となる。微生物の多様性は稲の病気の発生を抑え、虫の多様性は害虫の多発を抑える。鳥類はリンをもたらし、生き物の死骸は、ミネラルを貯える。

生物ろ過(せいぶつろか) 土壌中の微生物により水の汚濁を浄化する仕組みをいう。塩素を用いた急速ろ過に対し緩速ろ過と言える浄化方法。冬期湛水により、この生物ろ過の仕組みから琵琶湖の水を浄化できないかという提案がある。

生物多様性(せいぶつたようせい) 生物多様性条約において、生物多様性は、「すべての生物の間の変異性を言うものとし、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含む。」と定義されている。1992年に開催された「地球サミット」において一躍脚光を浴び、その後社会に広く通用する言葉になった。生物多様性の危機は今日の最も深刻な環境問題の1つとして広く認識されている。生物多様性の危機の最も顕著なのは、種の絶滅である。雑木林、ため池、谷戸田など多様な生息場所を提供する伝統的な「里山」の喪失は、現在の日本における生物多様性衰退の最も大きな表れの1つである。

生物多様性(せいぶつたようせい)条約 生物多様性は人類の生存を支え、人類に様々な恵みをもたらすものである。世界全体でこの問題に取り組むことが重要で、このため、1992年5月に「生物多様性条約」がつくられた。2002年8月までに日本を含む184ヶ国がこの条約に入り、世界の生物多様性を保全するための具体的な取組が検討されている。

精米(せいまい) 玄米の表面のヌカの層を削り白米にする作業を言う。機械では、玄米に強い圧力を加えることによって玄米同士がこすり合わされてヌカが削られる。伝統的には、水車小屋で玄米を杵(きね)で搗(つ)く方法で精米が行われていた。精米することを「米を搗く」とも言う。

濁水(だくすい) 代かき・田植えの時期に田んぼから排水される濁水が琵琶湖に流れ込み、問題とされている。濁水中には肥料・除草剤・有機質・土など多くの汚濁物質が含まれている。環境保全の立場から防止の働きかけが行われている。田んぼからの塩類の流出は単純ではなく、地下を浸透して染み出てくるものの方が量的には多い。施肥された窒素やリンの内のおおよそ半分は流出しているようである。

脱穀(だっこく) 穂から籾を取り除く作業を言う。伝統的には、稲束を叩きつけたり足で踏んだりしてきた。道具・機械を用いた作業も時代と共に改良されてきたが、竹箸・千葉こき・足踏み脱穀機・脱穀機・コンバインなど原理は全く変わっていない。稲の品種改良において籾のこぼれにくいものが生まれ、機械化を支えてきた。

田んぼまわりの生きもの調査(たんぼまわりのいきものちょうさ) 近年、農業農村の多面的機能の大切さが認識されるようになってきましたが、田んぼやその周辺における生物の調査はあまり行われていませんでした。このため、2001年から環境省と農林水産省が連携して、農業用水路やため池などの農業水利施設の管理や整備を担当している人たちが中心となり、田んぼまわりの生物調査(略称「田んぼの生きもの調査」)を実施しています。今後、田んぼまわりの生態系の現状を把握するとともに、より良い田んぼまわりの生態系を保全し創り出すために役立つと思われます。環境創造型農業の考え方が少しずつ現実になってきています。

田んぼの学校(たんぼのがっこう) 「田んぼの学校」事業は、文部、農水、国土3省庁が1998年、有識者を集めて設置した「田んぼの学校」研究会の提唱で始まった。「田んぼや水路、ため池、里山などを遊びと学びの場に活用する環境教育」がその目的に掲げられている。農村環境整備センターでは、農家や行政関係者、教師の中からその指導者を養成するための研修を行っている。小学校の総合的学習の時間に取り組まれている「田んぼの学校」など、近年活動を始めた「田んぼの学校」はこの流れをくむものが多い。

田んぼ(たんぼ)ビオトープ 休耕田に水を張りビオトープにする取り組み。生物層が豊かになったと言う報告は多いが、本来の田んぼの生態系とは違うものになっていると思われる。虫や微生物には、稲の株元に卵などを残すものが多いからで、不耕起の田んぼがビオトープになれるのは、そのためである。もう一つの問題は川との行き来ができるかどうかで、山間地を除いて用排分離された田んぼでは、生き物は川から遡上できない。冬期湛水され魚道などを設けた稲がいる不耕起の田んぼはビオトープとしてすぐれている。一般のビオトープに稲を何株か植えてみるのも良いのではないか。
関連:ビオトープ

稚苗(ちびょう) 田植機が普及すると、箱の中に播種する育苗法が一般化し、2葉期で異様に背の高い苗を植えるようになった。これを稚苗と言い、素質が低く肥料や農薬による保護を必要とする。通常の稲の生育では2葉期には5cm程の草丈であるが、大量播種と高温により、20cm程に伸び上がる。
関連:成苗

電気伝導度(でんきでんどうど) 水質の指標の1つで、水中に溶け込んだイオンの数にほぼ比例関係にある。測定器の原理は電流計そのもので、イオンが多く電気を通しやすければ値は上がる。単位はμS/cmである。

冬期湛水(とうきたんすい) 通常、収穫を終えた田んぼには水を溜めず乾田の状態にされる。田んぼを湿田の状態にするためには、収穫を終えるとすぐ春まで継続して水を溜める必要がある。現状では、田んぼの用水は止まるため井戸を掘るなど独自の方法で水を得る必要がある。不耕起の田んぼでは稲の落ち籾等が残るため、鳥など生き物の餌場となる。地中ではイトミミズ・アカムシ・微生物が旺盛に活動し有機質を分解し地力を高める。不耕起栽培では中干しを行わないため通年湛水とも表現できる。湛水歴の浅い田んぼが多いので、継続することの評価はまだ先のことである。冬期湛水された田んぼは「冬・水・田んぼ」とも言われるようになった。
※水を溜めることにこだわると、大きな間違いを起こす。1日1〜2p程度水を通す田んぼがもっとも健康的で、水を通すことで効果が期待できる。ねり層のできた慣行水田にいきなり水を溜めると、酸欠になりドブ化してしまう。

 写真は、八日市市安井さん自作の水車 排水路から水をくみ上げている。

唐箕(とうみ) 軽い物と重い物を風を用いて選別する(風選)道具。脱穀作業の後、籾殻と玄米を分けるなどの作業に用いる。唐箕のない時代は、自然の風を利用して風選を行っていた。

とろとろ層(とろとろそう) 田んぼの表面の土が柔らかくなめらかで、その下の層と明らかに性質を異にするする層を言う。耕起や代かき等物理的には決してできない。有機質と微生物の働きで生じるものと考えられる。冬期湛水等湿田的条件下で起こる。土は非常に肥沃で稲は無肥料で生育するが、あまりにも柔軟で苗が浮き苗になり、田植えの失敗事例が報告されている。

中干し(なかぼし) 田んぼの水を落とし干す作業工程。土中にすきこまれたワラなどの有機質が嫌気発酵し発生するメタンガスや硫化水素などの有害ガスから稲の根を守るために行われる。また、稲の過剰分げつを抑制したり、コンバインが沈まないように土を固くする目的もある。中干しが強すぎると根が陸稲化し、登熟を全うしないうちに根の寿命が尽きてしまう。これを秋落ちと言われる。耕起しない不耕起栽培では中干しの必要はない。

日本の自然(にほんのしぜん) 日本が開国し、欧米の文化が取り入れられる中、英語のNatureの適当な和訳が見つからず、「自然」と言う言葉が使われた。当時欧米は産業革命で多くの森林をなくし、自然破壊が進んでいたが、日本では独特の四季がもたらす豊かなNatureの中で、逆にNatureを意識的にとらえる習慣はなかった。自然は野生とは違い里山などのように手入れにより維持され、その手入れの多くは百姓仕事が担ってきた。

ねり層(ねりそう) 日本で最も一般的な耕法はロータリー爪によるもので、回転するカッターにより土を砕いている。圃場整備により乾田化した圃場でこの耕法を繰り返すと、その刃先の位置には何度も練りこまれた粘土のようなねり層ができる。このねり層は水を通さないため、酸欠状態から嫌気的な腐敗を起こし、メタンガスや硫化水素を発生する。一般の水田で中干しが必要なのはこのためである。

農地・水・環境保全向上対策(のうち・みず・かんきょうほぜんこうじょうたいさく) 農水省「我が国の農地・農業用水等の資源の適切な保全管理が、高齢化や混住化等により困難になってきていること、ゆとりや安らぎといった国民の価値観の変化への対応が必要なこと、我が国農業生産全体の在り方を環境保全を重視したものに転換していくことが求められていることから、地域ぐるみでの効果の高い共同活動と、農業者ぐるみでの先進的な営農活動を支援する「農地・水・環境保全向上対策」の導入を目指しています。平成19年度からの本格的な実施に向けて、平成18年度は全国約600地区においてモデル的な支援を行うなど、準備を進めているところです。」この事業に冬期湛水と不耕起栽培の組み合わせが認証された。国の事業に民間の農業技術が認知を受けたことは画期的といえる。

バケツ稲(ばけついね) ポット稲とも言う。バケツ稲の楽しさは、1株毎に環境変えて生育を観察できるところにある。バケツ稲にも不耕起栽培が存在し、1年前の収穫済みのバケツにそのまま水を張り(冬期湛水?)続けて苗を植えるのである。ミジンコや藻など小さなビオトープとなる。「田んぼの学校」と並行して取り組むことが好ましい。

走り穂(はしりほ) 1つの田んぼの中で真っ先に出た穂を言う。一般に言われる出穂日(出穂日を参照)とは違う。田んぼの穂が揃うまでには2週間ほどかかる。
関連:出穂日

pH(ピーエッチ) 水質の指標の1つで、酸性・アルカリ性の度合いを示す。1(酸性)〜7(中性)〜14(アルカリ性)の値で表す。水素イオンの数が多ければ、逆にpHの値は小さくなる。酸性雨は、pH5.6以下の雨を言う。

ビオトープ 野生生物の生息場所を示すドイツ語(BIOTOP)で、ある程度の景観的なまとまりをもち、野生生物が十分に生息可能な空間を意味している。雑木林、ため池、谷戸田など多様な生息場所を提供する伝統的な「里山」がビオトープの単位と考えられる。また、それぞれのビオトープは生物の移動可能な距離に隣接している必要がある。この意味から、ビオトープ・ネットワークという表現も使われる。

ひこ生え(ひこばえ) 収穫がすんだ後、切り株から次の茎が形成されること。水と気温が伴えば穂を出し稔らせることもできる。温帯ジャポニカは元々多年草で、冬が来なければそのまま生育を続ける。通常は環境の悪化に備え種子を稔らせる。近年、ひこ生えのない田んぼが多い。強烈な中干しによって根が傷み実りが不完全なまま死んでしまっている。この現象を秋落ちと言う。
関連:中干し

百姓(ひゃくしょう) 何らかの形で田んぼに係わる人たちを言う。「百」は百科事典の「百」と々意味で、田んぼ仕事に関する技術集団とも言える。町に住む町人に対し、村に住む人たちは農民と言われたが、農民と百姓は別の分類になると考えられる。

品種の分化(ひんしゅのぶんか) 自然淘汰・意識的または無意識的な選抜によって、より優れた特徴をもつ品種が分化した。特に意図的な選抜によって、地域の土壌や気候に適した多くの品種がそれぞれの地域に存在していたと思われる。明治以降,公的機関がより積極的に品種改良に取り組んだ。

品種(ひんしゅ) コシヒカリ、あきたこまちなど、他と区別できる特徴をもったもので、その特徴が栽培回数を重ねても変化しないものを品種と言う。つまり、コシヒカリは何年栽培してもコシヒカリであること。

不耕起栽培(ふこうきさいばい) 耕起・代かきで土壌の団粒構造を壊さず、むしろ豊かにするのがねらい。また、有機質は地表(水中)で微生物によって分解され、生態系が豊かになる。

分げつ(ぶんげつ) 稲の葉の付け根を見ると、竹の子の形状に良く似ている(竹の子もイネ科)。左右交互に内側から新しい葉が展開する。3枚の葉で1本の茎をなすが、4枚目が展開する頃には1枚目の葉の内側から新しい茎が形成される。これを分げつと言い、田んぼでは1株20数本程度になる。バケツ稲など環境が整えば、200本以上の分げつも十分可能である。
関連:葉齢

圃場整備(ほじょうせいび) 田んぼを大区画化し、農業経営を大規模化するのが目的。また、用排水を分離し排水路の水位を下げることで乾田化し、大型機械が導入できるようになり、作業効率は高まった。転作時には麦や大豆などの畑作物を栽培できる。田んぼに水が入るのは1年の内限られた期間となり、湿田の持っていた多面的機能の多くを失ってしまった。田んぼの地力が低下し、米の質もまた下がってきている。現在土地改良法が改正され、条文の中に「環境との調和への配慮」という言葉が加わり、魚道(魚類などが排水路から田んぼに遡上できるもの)など環境保全に取り組む土地改良区がある。

有機農業(ゆうきのうぎょう) 化学合成された資材を用いない農業形態を言うが、そう簡単に定義することは難しい。有機肥料であっても、化学肥料同様栄養を与えるためのものであって、大差はない。公的には、有機認証制度に合致するものを有機農業とするしかないが、この制度による定義づけは正しいとは思わない。
関連:有機肥料

有機肥料(ゆうきひりょう) 化学合成されていない天然素材を用いた肥料を言う。牛・豚・鶏などの家畜の糞・米ぬか・生ごみ・食品加工の残渣などその材料は様々である。家畜の糞や食品が主原料であるので、そのエサや添加物までさかのぼると、薬物(抗生物質・ホルモン剤など)・種々の食品添加物・農薬・ダイオキシン等が混入する。有機畜産という概念が日本にはまだない以上、有機肥料は危険である。肥料を減らせることが最も安全への近道である。

用排分離(ようはいぶんり) 河川の下流域に多く見られる水田と水利の形態である。滋賀では、琵琶湖の水をポンプアップし用水として利用している。用水はパイプやU字溝で水田に供給され、排水路は用水路とは完全に分離され、その水位も水田の1m程低い。このことで水田は乾田となり、1年の内水のない期間の方が長い。麦や大豆など転作には適しているが、水田で繁殖を繰り返したきた生き物は絶滅を危惧されるにいたっている。また、水田から地下浸透によりかなりの塩類が排水路に流出する。この用水分離は圃場整備の最大の失敗である。
関連:圃場整備

葉齢(ようれい) 稲の生育年齢を葉の枚数で数える。苗の時期の最初の葉を1枚目とし、15枚目頃には穂を出す。1枚の葉が展開するのにおおよそ7日間かかる。1本の茎には3枚の葉をつけるが、4枚目が出る頃に分げつし、下位の葉から新しい茎が出る。生殖成長期になると分げつはとまり、止め葉が展開しさらに幼穂が形成される。止め葉を第1葉と数えると下葉は第5葉となり、どの茎も5枚の葉をもつようになるが、母体の形成が遅れると止め葉の形成が間に合わず、葉(止め葉)が1枚減葉することがある。
関連:分げつ

レッドリスト 環境省では、レッドデータブックの改訂作業中であり、分類群毎にまずレッドリストを作成し、次にリストを踏まえてレッドデータブックを編集するという2段階の作業を実施している。レッドデータブックの表紙が赤色だったのでこの名がついた。現在の分類は次の通りである。
●絶滅(EX): 我が国ではすでに絶滅したと考えられる種(例:ニホンオオカミ)
●野生絶滅(EW): 飼育・栽培下でのみ存続している種(例:トキ)
<絶滅危惧=絶滅のおそれのある種>
 トンボ・チョウ・カメムシが名を連ねている。カメムシを保護しなければならなくなれば、農家はどう理解すればよいのでしょう。
●絶滅危惧I類(CR+EN): 絶滅の危機に瀕している種(例:アユモドキ)
 絶滅危惧IA類(CR): ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種
 絶滅危惧IB類(EN): IA類ほどではないが、近い将来における絶滅の危険性が高い種
●絶滅危惧II類(VU):絶滅の危険が増大している種(例:ダルマガエル、メダカ)
●準絶滅危惧(NT):現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
●情報不足(DD):評価するだけの情報が不足している種
●絶滅のおそれのある地域個体群(LP):地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの