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不耕起稲作って? -そのA- 低温育苗

 農業が近代化して、田植え機などの高度な機械が開発されると、ビニールハウスの中でモヤシのように弱い苗を育てるように変わってしまいました。病気にかかりやすく、農薬がないとうまく育ちません。
 ビニールハウスを使わずに強い稲を育てる方法があります。昔ながらの水苗代の方法を用いて、低い温度でゆっくり育った一人前の苗(成苗)をつくるのです。下の写真の左が保温苗代による普通の苗(稚苗(ちびょう))で、右が水苗代による成苗(せいびょう)です、違いが一目瞭然です。

 自然の気候に合わせて育った稲の方が丈夫に決まっています。高度な近代的技術も、伝統的な知恵にはかなわないのです。
 不耕起稲作は収穫を終えた秋から準備をします。一切耕さずに水をはります。土の中の生き物が活動して、土が肥沃になるのです。おかげで、除草剤や肥料がいらない田んぼになります。
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A
B
C
@塩水選(えんすいせん)・・・塩水にモミを入れると、栄養分をいっぱい詰め込んだモミは、下に沈みます。普通よりもかなり濃い塩水(比重1.15)を使っています。
A浸種(しんしゅ)・・・モミを10℃以下の冷たい水に約1ヶ月つけます。モミが低温でも発芽しやすくするためです。
B播種(はしゅ)・・・小さな苗箱でも大きな苗に育つように、普通の半分以下の量をまきます。1箱に約3000粒。
C根元まで日当たりが良いため、丈夫になるのです。


不耕起水田の根穴(ねあな)構造
 耕さないかたい田んぼに苗を植えると、稲が根をはれないのではないかと、よく言われるものです。不耕起の田んぼでは、去年、一昨年の根が土を耕しているのです。その根穴を通って酸素や栄養分が稲の根に届きます。不耕起を続けると、田んぼはどんどん柔らかくなるのです。意外ですね。
 普通の田んぼでは、去年のワラを土の中に入れてしまいます。代かきをして土の中に酸素が届かなくなると、ワラは土の中でくさって、メタンガスが出るのです。田んぼに入るとブクブクと音をたててガスがわいてきます。このメタンガスは、二酸化炭素よりも地球を温暖化してしまうのです。
 不耕起の田んぼは見かけと違って、実はとてもクリーンなんです。