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〜古いEV設計養成講座第5日目〜


第5日:テーパーロック
まず、モーターシャフトに金具を取り付けよう。
Figure of motor and taperedlock
使いかた
 テーパーロックはどうも商品名の様で、「ベルトプーリー」の一種です。モータシャフトを挟む構造に特徴がある事や大きさ・精度・材質の面で手頃だったので,手作りEVで活用されてきました。硬い金属(1)と柔らかい金属(2)を組み合わせた部品です。硬いといってもネズミ鋳鉄ですので加工性も強度も特に問題なさそうです。
 使い方は,(1)と(2)をモータシャフトにはめ込んだあと、(3)のイモネジを締め込みます。すると(2)が(1)とモータシャフトの間に押し込まれシャフトを挟み込む面圧が発生する仕組みです。(A)のモータの向きに対しテーパーロックは(B)の向きで使います。こうしなければ、(3)のネジを締める事ができません。
 モータのシャフトにはキー溝が掘ってある事が多々あります。その場合には(2)の内側にもキー溝を掘ると、キーが使えます。
 モーターシャフトがインチサイズの場合、(2)の内径がビミョーにモータシャフト外形と異なる事があります。「多少異なってもなんとかなりそう」なのですが、できれば、(2)の内面を削り、径を合わせて使うのが、シャフトをかしめる面圧を確保するためには有利かと思います。
選びかた
テーパーロックを選ぶ時は次の4点に着目します。
  • (2)の内径
  • 最大許容トルク
  • (1)部の内径・外径


  •  (2)の内径はもちろんモータシャフトの外径に合わせます。

     最大許容トルクはモーターのトルクカーブとコントローラーの最大電流から決まります。シャフトとの固定にキーを使う場合は,部品(2)とシャフトのすべりは考えにくいですが、金属部品はどこから壊れるかわからないもので、できればモーターの最大トルクをカバーできる製品を選びたいものです。それにひび割れたとしても、ハウジングの外からでは見つかるものではないですから。
     壊れる可能性のある所としては
  • (3)の切り欠き部から(2),(1)部品へのひび割れ
  • (4)のネジ穴から(1)部品へのひび割れ
    などが考えられます。実際,(1)にはひび割れが入った例があります。確か(4)のネジ穴からだったと思います。本来(4)の様なネジ穴を開けて使う部品ではありませんので、EVで使うためにネジ穴加工する場合などの際にはひび割れの元になる傷など作らない様、丁寧に作業する事をおすすめします。

     さて、EVでこの部品を使う目的はこれにネジ穴を開けてドライブトレーンの部品と結びつける事です。従って、そのためには結びつける相手側の部品のネジ穴の位置合わせて(1)に穴(4)を開けなければなりません。そのため、(1)部の内径、外径も考えなければなりません。一般に(1)部の端と(4)のネジ穴までの長さはネジ穴の径程度以上が望ましく、最低でもその0.6倍以上、などと言われています。
     そして,(4)のネジを固定するため,ネジ穴は十分な深さを確保しなければなりません。浅いと上で述べた「割れ」の原因になりそうです。

     ところで一つ前提条件を飛ばして,話を進めて来ました。

     テーパーロックに結びつける部品が何か?という点です。直接フライホイールを付けるのが簡単なのですが、モータトルクを考えて大きめのテーパーロックを使おうとすると,(1)部の内径・外径がなかなか合いません。従って、初期のEVでは大きめのテーパーロックにアダプターを付け、このアダプターにフライホイールを固定する構造を取っていました。