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● 『ちょっとサイエンス』 2002/10/24
No.98
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● 発行者 Fujiken 不定期発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど！と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。
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■今日のテーマ 「ノーベル化学賞に田中氏」
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今年のノーベル化学賞に精密機器メーカー「島津製作所」のライフサイエンス
研究所主任の田中耕一氏(43)ら３人に授与されることが発表されました。
授賞理由は「生体高分子の同定及び構造分析のための手法の開発」です。
薬品の合成や病気の検査などには人間や動物の体を作る数々のタンパク質を
分析する必要があります。その分子を解析する基本的な手段の一つに質量を明
らかにしてどんなタンパク質かを特定する「質量分析」という方法があり、
２０世紀初めからいろいろな手法が開発されてきました。
1980年代から発達したのは、試に料レーザー光線を当てて分子のかたまりに分
け、質量を測定する手法ですが、レーザー光線によって分子が小さく分けられ
すぎてしまい、タンパク質などの数万に及ぶ生体高分子を分析するには不都合
があったのです。
田中氏は試料に特殊な有機物を混ぜ、固体にした後でレーザー光線を当てるこ
とによって分子量が数万という高分子を壊さずにそのままイオンにする「ソフ
トレーザー脱着法」という手法の開発に成功し、その高分子が飛ぶ速度を測定
することで、質量を割り出す手法を確立したのです。
生命科学は、ゲノム解析を終え、それから生み出されるタンパク質の構造・機
能解析に研究の主軸が移っていて、田中氏の開発した手法は、このための基本
的な情報を得るうえで有効なものになり、技術開発を通じて生命科学の進展に
大きく貢献しています。
（読売新聞 参照）
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■ちょっとコメント■
今年は、ノーベル物理学賞の小柴昌俊・東大名誉教授に続き、同じ年に二つの
ノーベル賞を獲得するという初の快挙となりました。また、化学賞は一昨年の、
白川英樹氏、昨年の野依良治氏に続き、３年連続となり、日本の科学研究の
水準の高さを基礎・応用の両面で世界に強く印象づけたことはとても大きな
ことだと思います。
そして、ノーベル賞は大学の教授など博士に授与されるというイメージがあっ
たのが、田中氏のように一般企業の研究所員いわばサラリーマンにノーベル賞
が授与されたということ、知名度は低くても時代のトップクラスの研究を正当
に評価する、いわば名より実をとるという選考がなされたことが注目されます。
そして、年齢も４３歳という若さであることも、私と同年代の人を勇気づけた
ことだと思います。
物理学賞の小柴氏と共に田中氏が小泉首相との昼食会に招待されたとき、小泉
首相に「田中先生」と言われて恐縮していた田中氏がとても印象的でした。
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■読者のメールより■
●清藤秀樹さんより
私も理科の教員をしています。
今回のノーベル賞は狙っていたわけでなく、数ある研究の中で自分の成果が
評価してもらった結果にしか過ぎず、賞はとれなくても君たちのしらないとこ
ろで社会に貢献して人もいるんだよと説明しております。
そういった意識もあり、私自身及ばずながらＨＰを５年前から公開しておりま
す。
→Fujikenより
清藤さんの言われることはとても大事だと思います。
清藤さんのＨＰアドレスは下記の通りです。
いろいろな雑誌で紹介されていてアクセス数も５０万に達しようとしている
とてもすばらしいＨＰです。よかったらアクセスしてみて下さい。
理科雑学アドベンチャー → http://hello.to/science
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