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● 『ちょっとサイエンス』 2002/5/30
No.76
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● 発行者 Fujiken 不定期発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。
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■今日のテーマ 「転向力(コリオリの力)」
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一般に、力がつりあって運動する物体は等速直線運動をしますが、地球は自転
しているため地球上でその運動を観測すると、物体に力がはたらいて運動の向
きが変わるように観測されます。このみかけの力を「転向力」または提唱者の
名前をとって「コリオリの力」といいます。
転向力は北半球では地球上を運動している物体の進行方向に対して右向きに、
南半球では北半球の場合と逆の左向きにずれるようにはたらきます。
これは、傘とボールを使って簡単に説明できます。
地球は西から東の向きに自転するので、傘を立てて時計と逆回りにゆっくり回
転させ、ボールを傘のてっぺんからゆっくり落とします。すると、ボール自身
は真下に運動するのですが、傘が回転しているため、見かけ上、右向きの力を
受けて曲がって運動するように見えます。これが転向力です。南半球では、傘
を逆さにして行う思考実験から推測されます。
この転向力のため、北半球の低気圧は中心に左巻きに風が吹き込み、南半球で
は北半球とは逆に、低気圧の中心に右巻きに風が吹き込みます。
この転向力は、地球が自転しているしているとしなければ説明のできない現象
の1つです。
1851年にフランスのフーコーがパリのパンテオン寺院の天井から重さ28kgの
鉄球を長さ67mの鉄線でつるして振らせ、振り子の振動面が上から見て右回り
に変化していくことを確かめました。これが有名な「フーコーの振り子」です。
振り子をつるす支持台(地球)がきわめて大きく、またゆっくり回転している
時は、支持台上にいる観測者は振り子の振動面の回転を支持台の回転とは観測
せずに、振動面が回転したと観測するのです。
このフーコーの振り子も地球の自転の証拠のひとつです。
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■ちょっとコメント■
天気(気象)の学習のところで、なぜ日本付近では、低気圧が時計と逆回りに
風が吹き込み、高気圧が時計回りに風が吹き出すのかを説明するときに、傘と
ボールを使って簡単に転向力を説明します。
よく、北半球では水道の水が排水口に向かって左向きに流れ、南半球では右向
きに流れるという話を聞きますが、私はちょっと疑問に思っています。そんな
小さな動きに転向力がはたらくのか・・? と思っています。
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