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●   『ちょっとサイエンス』   2001/11/2 No.53  
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●    発行者 Fujiken     毎週金曜日発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。

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■今日のテーマ  「ノーベル化学賞に野依氏」
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創設百周年を迎えた今年のノーベル化学賞を名古屋大学大学院理学研究科教授
の野依良治(のよりりょうじ)博士(63)とアメリカの二人の博士の三人に
授与されることになりました。

受賞理由は「有機化合物の合成法の発展に寄与した」とされています。

もう少し野依氏の受賞理由をくわしく解説すると、「キラル触媒による不斉水
素化反応の研究」です。

有機化合物の中には、同じ組成でも立体構造が人間の右手、左手と同様に、鏡
に映したように対称的な二つの形(鏡像体=光学異性体)を持つ化合物(キラル)
があります。

通常の合成では両方の鏡像体が混在しますが、三人は、化学反応の仲立ち役と
なる触媒として金属を抱えた特殊な有機化合物(金属錯体)を使い、一方だけ
を選んで作ることに成功したのです。

この合成法でさまざまな医薬品、香料、調味料などに実用化され、たばこや
菓子の香料となるメントールは世界の生産量の三分の一の約千トンがこの方法
で合成されています。血圧降下、血管拡張など人の生理作用を支配するホルモン
様物質プロスタグランジンもこの方法で合成できるようになりました。

野依氏は兵庫県私立灘校を経て京都大工学部工業化学科卒、京大大学院工学
研究科工業化学専攻修士課程修了。京大助手、名古屋大学助教授を経て
名大教授、現在は名大大学院理学研究科教授をしておられます。

昨年も文化勲章と米国の有機化学分野の最高賞ロジャー・アダムス賞を授与
されています。

野依氏は兵庫県芦屋市の出身。小さいころはやんちゃで、神戸大附属住吉小か
ら、進学校として知られる灘中、灘校へ。中、高時代には柔道部で活躍しまし
た。

京大工学部に進学し、大学時代はラグビーや野球、マージャンなどに熱中し、
「劣等生でした」と振り返ります。

しかし、4年生になって、恩師の野崎一助教授(当時)から有機化学を一から
学び、研究のおもしろさに開眼したそうです。

野依氏の口癖は、「常に一流のものを理解するように心がけなければならない」
研究に対する姿勢の厳しさだけでなく、名古屋大で教官になってからは、後輩
たちへの指導の厳しさも評判になりました。

「鬼の野依」などと呼ばれ、学生ばかりか、助手や助教授もおかまいなしに
しかりつけました。

一方では、口は悪いが根は優しく、面倒見のよい先生としても知られています。

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■ちょっとコメント■

野依氏はユーモアのセンスも持ち合わせていて

「有機化学はマージャンよりやさしく、マージャンより面白い」

という名言も研究室に残しているそうです。

昨年の白川英樹氏のノーベル化学賞受賞に続き、二年連続で日本人が化学賞を
受賞したことについては「化学分野は日本が強い」ということを表しているよ
うです。

日本人のノーベル賞受賞は十人目、化学賞では福井謙一博士(故人)から三人
目となります。

賞金は一千万スウェーデン・クローナ(約一億千七百万円)を三人で分けるそ
うです。

日本もなかなかやるー!

日本の未来は明るい!

と叫びたい気持ちです。

さて次回は、No.54「イオに活火山」をお届けします。

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