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●   『ちょっとサイエンス』   2001/6/29   No.35  
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●    発行者 Fujiken      毎週金曜日発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。

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■今日のテーマ  「エドワード・ジェンナー」
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今から200年近く前では、天然痘は最もおそろしい病気の一つでした。
18世紀のヨーロッパでは、その100年間に天然痘による死者が6000万
人もあったと推定されています。

この病気にかかると高熱、頭痛、寒気などが突然おこり、体温が下がるにつれ
て全身に薄赤くて円い形の化膿性の小さい斑点ができます。死亡率は10〜20
%で、1751年アメリカの初代大統領ジョージ・ワシントンは天然痘にかか
りましたが幸いにして死ななかったのですが、1774年にはフランス国王
ルイ15世が天然痘で亡くなっています。

ジェンナーはイギリスのバークレーで開業医をしていました。
1766年ごろ、診察を受けに来た農場の乳しぼりの女性がこう言いました。
「私は絶対天然痘にはかかりません。牛痘にかかったことがありますからね。」
牛痘は雌ウシの乳房にぶつぶつのできる病気です。牛痘にかかったウシの乳し
ぼりをする女たちの腕にも天然痘に似たぶつぶつができます。

ジェンナーは考えました。「天然痘をおこす何ものかは、動物の体内を通過す
ると、そのはたらきが弱まるのではないか。こうして弱まったものを人体に
接種すると、体内に天然痘に抵抗する何ものかができる。だから、一度牛痘に
かかった人は、その後天然痘にかからないのではないだろうか。」

つまり、彼は現在われわれが免疫とよんでいることを考えたのです。

ジェンナーは牛痘接種法を実施するために人体実験を行いました。
1796年5月、牛痘にかかった乳しぼりの女性の手の水ぶくれからうみをと
ったジェンナーは、それを8才の男の子に接種し、7月その少年に天然痘の接
種をしました。

予想通り、少年は天然痘にかかりませんでした。
そして、この方法を「種痘」と呼びました。

まもなく種痘は広く普及していきました。
そして、すべての国の子供たちが種痘を受けるようになりました。

1967年にはWHO(世界保健機関)の天然痘根絶計画が発足し、
1977年にはついに全世界から天然痘患者の発生がなくなり、
1980年にはWHOから天然痘根絶宣言が出されました。

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■ちょっとコメント■

ジェンナーは顕微鏡を使わず、牛痘と天然痘の関係から、「免疫」反応を発見
した初めての人であったということです。

もし、顕微鏡を使ったとしても、天然痘の病原体がウイルスなので見えなかっ
たでしょう。

免疫反応を起こすのに役立つ、弱毒化した液体はワクチンと呼ばれ、
小児麻痺(ポリオ)ワクチンが有名です。

さて次回は、No.36「ニュートンとライプニッツ」をお届けします。

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■読者からのメールより■

●「野島」さんより

ツベルクリンで注射するのは「結核菌」ではなくて、「結核菌のタンパク質」
です。
結核菌をうつのはワクチン(BCG)を注射する時です。
それから、「弱毒化した結核菌」とはBCGで(BCGはウシの結核菌を弱毒
化したもの)、ヒトの結核菌ではないので記載される時には区別した方が良い
と思います。

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