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●   『ちょっとサイエンス』   2001/6/15   No.33  
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●    発行者 Fujiken      毎週金曜日発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。
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■今日のテーマ  「ローベルト・コッホ」
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ローベルト・コッホが1874年ドイツの町医者をしていたころ、ヨーロッパの農
民たちを悩ませていた病気に炭疽(たんそ)病がありました。

もともとはヒツジやウシなどの家畜がかかる病気でした。朝は元気だったヒツ
ジやウシが夕方には草を食べなくなり、やがて死んでいきました。

またこれらの動物と接した農民や、売買をする商人たちにも、ぶつぶつのはれ
物ができ、運の悪い人は肺炎の症状をていして死んでいきました。

コッホは妻からプレゼントされた顕微鏡で病気にかかったヒツジやウシの新鮮
な血液をのぞいて見たところ、各種の血球にまじって小さい棒状をしたものが
見えたのです。健康なヒツジやウシの血液中にはそれらはけっして見つからな
いものでした。

コッホはこの微生物の純粋培養を試み、くぼみのある2枚のガラス板を使う方
法を思いつきました。

ガラス板の上に健康なウシの目からとった水(眼房水)(がんぼうすい)を置き
その中に例の微生物を落とします。眼房水は微生物にとって適当な栄養となり
ます。そして外から他の微生物がまぎれこんで眼房水が汚染されないように、
この上にくぼみのあるもう一枚のガラス板をかぶせ、2枚のガラス板のすり合
わせの部分にはワックスを塗って密閉しました。

棒状の微生物は数時間後に早くも何百倍にも増殖しました。

それを健康なハツカネズミに注射すると、コッホの期待どおり炭疽秒になった
のです。

コッホのこの実験は特定の微生物が特定の病気をひきおこすことを初めて証明
するものだったのです。

この「炭疽菌」発見のニュースは世界中を驚かせました。そうして、1880年に
なってコッホはベルリン大学医学部で職を得ました。

するとコッホをしたう若い研究者たちが、世界中から集まって来るようになり
ました。ガフキー(腸チフス菌を発見)、レフラー(ジフテリア菌を発見)
ベーリング(血清療法の研究により1901年ノーベル賞受賞)、エールリヒ(化
学療法の研究により1908年ノーベル賞受賞)、北里柴三郎(破傷風菌を純粋培
養し、ペスト菌を発見)といった人達です。

1882年、コッホは当時世界で最もおそれられていた結核の病原菌を発見しまし
た。それは、当時のヨーロッパで病死する人の7分の1をしめるという、おそ
ろしい病気でした。

1883年にインドで発生したコレラがエジプトへ侵入し、さらに南ヨーロッパを
襲いました。コッホはインドへ向かい、コレラ菌を発見したのです。

これらの業績に対してコッホは1905年にノーベル生理学医学賞を受けています。

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■ちょっとコメント■

顕微鏡で細菌を観察していた時代の、病原菌発見の祖がこのローベルト・コッ
ホだったのです。

純粋培養にも工夫をこらし、すばらしい業績をあげました。

コッホの偉大なところはその弟子達もすばらしい業績をあげていることです。
日本の北里柴三郎もその一人です。

1890年に、コッホは結核治療薬であるツベルクリンを作ったと発表しました。
その後の研究によって、コッホの期待にはむなしいものであることがわかりま
したが、ツベルクリンは結核診断の有効な手段であることが証明されたのです。

普通の顕微鏡では見えない細菌より小さいウイルスなどによる病気の研究は
もっと後になったのでしょう。

さて次回は、No.34「ツベルクリンとBCG」をお届けします。

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