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● 『ちょっとサイエンス』 2011/2/25 No.323
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● 発行者 Fujiken 不定期発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。
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■今日のテーマ 「霧島連山の新燃岳が噴火」
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新燃(しんもえ)岳は霧島連山の20あまりある火山の一つで、25000〜7300年前に
形成されたとみられます。霧島連山で記録に残る噴火は主に新燃岳と御鉢(おはち)
で起きています。
新燃岳では昨年3〜5月、上昇したマグマの熱で地下水が沸騰し、水蒸気の圧力が
高まって起こる「水蒸気爆発」による小規模噴火が観測されました。ですが、
2011年1月26日以降の噴火はマグマと地下水が直接触れて起こる「マグマ水蒸気
爆発」に特徴的な爆発的噴火となり火砕流も発生しました。
新燃岳のマグマは比較的粘り気が強く、火山灰の主成分でもあるケイ素を多く
含み、大量の降灰を伴う噴火をします。
1月28日には火口までマグマが上昇してとどまり、ドーム状に盛り上がった「溶岩
ドーム」も確認され、2月2日には直径600mに達し、爆発的噴火は約1週間で8回
起こっています。
2月1日の午後11時19分の爆発的噴火の際には、火山雷が観察され、空振(空気振動)
により窓ガラスが割れるなどの被害がでました。
降り積もる火山灰によって農作物はうもれて出荷出来なくなってしまう状態に
なりました。
新燃岳で前回、大規模な噴火が起きたのは江戸時代・享保年間の1716〜17年で、
断続的な噴火活動が1年半ほど続き、6人が死亡しました。
新燃岳から南に約40km離れた桜島でも、2009年以降、爆発的噴火が急増してい
ます。過去には霧島連山と桜島で続けて噴火を起こしたことがあり、「連動性は
無視できない」と指摘する専門家もいます。
全地球測位システム(GPS)で新燃岳の地殻変動を観測している国土地理院によると
09年12月にマグマの蓄積を示す山体の膨張が始まり、10年5月から9カ月内で地下に
マグマが供給され山体が膨らんでいました。
09年12月から噴火直前までの約1年で4cm伸びたのに対して、噴火した26日から
3日間で1cm縮みました。このことから地下のマグマは減ってきていると言えます。
( 読売新聞 2011年(平成23年) 1月29日、2月1日、2日 参照 )
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■ちょっとコメント■
私にとって火山の噴火と言えば、大学時代(今から30年程前)友人と鹿児島へ
行き、桜島のユースホステルに泊まったその日の夜、レクレーションでみんなが
庭に出ていた時に、目の前の桜島から噴火が起こり、暗闇に花火のように赤く
炎が飛び散った様子が忘れません。しかし、次の日桜島の町は黒っぽい火山灰
で覆われ、畑の作物の上に黒く積っていました。
次に思い出すのは20年前、大規模な火砕流を起こした長崎県の雲仙・普賢岳の
爆発でした。この時初めて、溶岩ドーム、火砕流という言葉を知りました。
突然の爆発による火砕流から逃げる人が映した映像が、自分が襲われるかの
ような迫力があったのを忘れられません。この火砕流で亡くなった人の中に
有名な外国火山学者がおられたのでした。
今回の新燃岳の噴火で、地殻変動の変化をGPSで測ったり、傾斜計で測ったり
できること、噴火の爆発の衝撃で空振(空気振動)がおこり、窓ガラスが割れ
たりすること、爆発的噴火の際、火山雷が見られることがあること、噴石で
車のガラスが割れることなどを初めて知りました。
噴火活動が早く静まってほしいと願うばかりです。
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