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●   『ちょっとサイエンス』   2001/6/1   No.31  
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●    発行者 Fujiken      毎週金曜日発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。

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■今日のテーマ  「北里柴三郎」
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破傷風という病気は傷口などから破傷風菌と呼ばれる病原菌が侵入し、全身の
筋肉に痛みを伴うけいれんが起こるというおそろしい病気です。

今日、この病名はほとんど聞かれませんが、1870〜1871年のプロシア(ドイツ)
とフランスとの戦争では、兵隊の3分の1がこの破傷風にかかり、そのほとん
どが死んだといわれています。

ニコライヤーによって破傷風菌が発見されたのは1884年ですが、この菌だけを
取り出して増やし、菌の様子をくわしく調べるための「純粋培養」にはしばら
くの間誰も成功しなかったのです。

この破傷風菌の純粋培養に世界で初めて成功したのが、日本人の北里柴三郎だ
ったのです。それは、明治22年(1889)、北里柴三郎37才の時の事でした。

そのころ、北里はベルリン大学のリョフレルのもとへ留学していました。この
リョフレルの師が結核菌やコレラ菌の発見者として有名な、細菌学者ローベル
ト・コッホ(1843〜1910)でした。

コッホは1905年度のノーベル医学生理学賞の受賞者であり、北里はエールリッ
ヒおよびベーリングと並ぶ、コッホ門下の最優秀生だったのです。

コッホのもとでりっぱな仕事をして帰国した北里は、コッホ研究所に似た伝染
病研究所を福沢諭吉の助けで明治27年(1894)2月につくりました。

研究所ができてまもない同年5月に、香港(ホンコン)でペストが流行しはじ
めました。さっそく、香港へとんだ北里はフランスのエルザンとほとんど同時
に、そこでペスト菌を発見しました。

このため北里の名はさらに高まり、伝染病研究所へは若い研究者が続々と集ま
ってきて、すばらしい研究成果をあげました。

例えば、志賀潔による赤痢菌の発見、北島多一によるハブ血清療法の発見、
秦佐八郎による梅毒の薬606号(サルバルサン)の発見などがそれです。

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■ちょっとコメント■

コッホが明治41年(1908)に日本を訪れたとき、コッホを心から尊敬していた
北里は、東京、京都、奈良などの各所を見物するコッホ夫妻にたえず付き添い
講演会には自分から通訳をしたほどです。門下生として最高の礼をもって世話
をしたのでした。

大正6年(1917)に慶應義塾に医学部がつくられたとき、北里は自分が福沢諭吉
から受けた恩を返すのはこの時であると考え、医学部長になりました。

野口英世も、かつて伝染病研究所の所員でしたが、アメリカへ留学して世界的
な病理学者となって日本に帰ってきたころに、「北里研究所」がつくられまし
た。

これらの研究者の業績(細菌名)などがなかなか覚えられません。
今日出てきた人だけをまとめておきます。

コッホ・・・結核菌、コレラ菌の発見など

北里柴三郎・・・破傷風菌の純粋培養の成功
        ペスト菌の発見など

志賀潔・・・赤痢菌の発見など

北島多一・・・ハブ血清療法の発見など

秦佐八郎・・・梅毒の薬606号(サルバルサン)の発見など

さて次回は、No.32「ドップラー効果」をお届けします。

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