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● 『ちょっとサイエンス』 2001/5/18
No.29
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● 発行者 Fujiken 毎週金曜日発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。
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■今日のテーマ 「大森房吉と地震」
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日本地震学の父といってよい大森房吉は明治元年(1868)福井に生まれました。
帝国大学理科大学(現在の東京大学理学部)を終えた後に大学院へ進み、地震
学と気象学を研究しました。
明治24年に起こった濃尾地震(マグニチユード8.4)をきっかけにつくられた
「震災予防調査会」の幹事を大森氏は長い間務めました。
名前こそ調査会ですが、実質的には「研究所」と言ってよいものでした。
大森氏の研究の主なものが、「大森地震計」とよばれる、水平振り子式地震計
です。振動のゆれが記録できる振り子を作るのにたいへん苦労しました。
大森が東京大学地震学教室の教授であり、彼の助教授が今村明恒でした。
その今村が明治38年(1905)に当時の代表的な総合雑誌「太陽」の9月号に
「江戸(東京)で過去起こった地震は、平均100年に1回の割合で起こって
いる。安政2年(1855)の安政大地震以来すでに50年が過ぎていることを考え
ると、今後50年以内に東京が大地震に見まわれることを覚悟しなければなら
ない。次の東京大地震の被害は莫大なものになるであろう。大火災が発生し、
死者は10万ないし20万に達すると思われる。」
この論文は社会問題にまで発展しました。東京が混乱状態に陥ったのです。
こうなると責任ある立場にある大森としては今村説を否定せざるをえなくなり
ました。彼は、進んで新聞に論説を載せ、講演会を開いて今村説をはげしく
非難しました。
「東京に大被害をもたらす大地震の周期を、今村は100年としているけれど
も、実はそれは数百年である。」
「東京の道路は広くなっており、消防の器械も改良されている」
というのが大森の主張でした。
こうした大森の反論によって市民の恐怖は徐々に薄らいでいきました。
年月が流れ、大正12年(1923)9月1日関東大地震が起こったのです。
大森はその時オーストラリアの会議に出席していました。
大森と今村が日本へ向かう途中11月18日、大森は船中で脳腫瘍のため
亡くなりました。
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■ちょっとコメント■
今村が予想していたとおりに関東大地震が起こったことを、今村が正しく大森
が間違っていたと考えるのは誤りであると思います。
統計的な再来周期はある程度意味がありますが、それをどう解析し、分析する
かはむずかしいと思います。
それより、大地震勃発の予測が今でも、昔とあまり変わっていないような気が
します。
プレートテクトニクスが発達し、プレートの動きが観測されても、大地震の
予測までは難しいのでしょうか?
阪神淡路大震災も何の前ぶれもなく突然おこりました。
やはり地震はいつどのくらいの大きさのが来るのか分からないから、恐いもの
の一つなんですね。
さて次回は、N.30「火星に水!?」をお届けします。
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■読者からのメールより■
●「596」さんより
前回の「読者からのメール」の中にこんな情報が書いてありました。
>僕は玄米食は推薦しません。
>玄米では、脱穀段階で取り除かれる農薬の残留度合いが激しいと
>聞いたことがあるからです。
食べる米に農薬が残留するか、ですが、それは心配ないと思います。
三重県の農業試験場で検査したところ、農薬は残留していなかった
ということです。
米は分厚いモミガラを捨てて玄米にしますから。
それに農薬を散布して1ヶ月以上経ちますから。
ですから、農薬に関しては心配ないのじゃないかと思います。
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