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●   『ちょっとサイエンス』   2001/5/4   No.27  
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●    発行者 Fujiken      毎週金曜日発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。

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■今日のテーマ  「鈴木梅太郎とオリザニン」
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脚気(かっけ)という病気があります。「ある」というより「あった」という
ほうがいいかもしれません。今では人々は「ビタミンB1が不足すると脚気に
なる」ということを知識として知っている人が多いと思います。

しかし、明治時代にはそれは原因不明のおそろしい病気でした。
まず、全身が衰弱し、手足がむくんできて、運動障害が現れて歩行が困難にな
ります。麻痺(まひ)がしだいに広がり、やがて起きあがることができなくな
ります。そして、心臓がおかされついに死に至ります。

その原因が不明なままに、脚気は細菌による伝染病ではと考えられていたので
すが、そうではなく、それがビタミンB1の不足によるものであることを明ら
かにしたのが鈴木梅太郎なのです。

鈴木よりも先に何人かの人が脚気について調べていました。

日本の海軍軍医総監の高木兼寛は、なぜ日本海軍だけが脚気で苦しめられてい
るのかという問題を追究しました。

高木は航海中の食事を米中心の和食から肉とパンの洋食に変えてみました。
結果はてきめんで、明治17(1884)年の切り変え以来、脚気がパタッとなくなり
ました。小麦のパンが有効なら大麦でもよいのではないかと考えて麦飯を試し
てみましたが、結果は上々でした。

高木の研究から10年以上ののちの1896年にもう一つの発見がなされました。

オランダ領であったインドネシアの研究所へ軍医エイクマンがやってきました。
ある日、彼は病院の養鶏所で飼っていたニワトリが脚気に似た症状を現したの
です。さっそく観察を始めた彼はある日突然この病気が無くなっているのに、
気づいて二度びっくりしたのです。

原因は病院の台所から患者の残飯であった白米をニワトリに食べさせていた男
が別の職場へ移り、その後にやってきた男は白米ではなく、精米しない玄米を
食べさせていたのでした。その時からニワトリの脚気は治り始めたのです。

エイクマンは精米の過程で米から取り除かれる米糠(こめぬか)を脚気のニワ
トリに与えたところ、ニワトリはすぐに回復したのです。
こうして脚気を治す物質が米ぬかの中にあるらしいことが分かったのです。

鈴木梅太郎はエイクマンにならって、脚気のハトやネズミに米ぬかを食べさせ
たところ、ハト、ネズミたちはたちまち元気を回復しました。

鈴木梅太郎は米ぬかから脚気にきく成分を取り出す仕事にとりかかりました。

いろいろな苦労をしたのち、明治45年(1912)「オリザニン」の結晶化に
成功しました。これが現在ビタミンB1と呼ばれているものです。

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■ちょっとコメント■

鈴木梅太郎はヨーロッパで後にノーベル賞をとったフィッシャーのもとで
有機化学の研究をしました。

フィッシャーは「日本で世界の学者と競争するようなテーマを選ぶのはよくな
い。日本でなければできないような問題を取り上げて一つ一つ解決していくの
がよいだろう。」と忠告されたのをうけて、
鈴木梅太郎は脚気の研究を選んだそうです。

それにしても、素朴な疑問ですが、
「玄米」は体にいいらしいと良く言われて、白米に何割か玄米を入れてる家庭
があるとききますが、なぜ玄米で食べないのでしょうか?
味?、食感?、見た目が悪い?
何が問題なのでしょうか。
米ぬかに入ってるビタミンB1がもったいなく思うのは私だけでしょうか・・。

さて次回は、No.28「富士山は活火山」をお届けします。

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■読者からのメールより■

●「ちえぴー」さんより

超文系の私。毎回「ウ〜ン」とうなりながら、拝見しております。
今回のビタミンはいつにもまして、とっつきやすかったです。

確かに、昔は欠乏すると、どんな病気になるか覚えましたね。
今は、欠乏すると「肌が荒れる」「シワ、シミになる」「冷え性」といった
部分が注目されています。
わたしも、美白とアンチエイジングのために毎日、CとEを同時に摂るように
しています。

ビタミンの中には、妊娠中に積極的に摂取するとよいと厚生省が言っている
葉酸もありますよね。

来週は鈴木梅太郎とオリザニンとのこと。
いつ頃から、脚気の検査なくなったんでしょうか?
ちなみに、私は膝下をたたかれた経験あります。

→Fujikenより

葉酸とは水溶性のビタミンB複合体のひとつ。緑色野菜・肝臓・酵母などに
多く含まれる。ヒトのヘモグロビン形成に関与し造血因子として作用します。
欠乏すると、貧血・舌炎・下痢などが起こる。ビタミンM

私も小さい頃、医者へ行くと、よく金づちみたいので、膝をたたかれました。
膝下の足が上がると、脚気ではなく、上がらなかったら、脚気の疑いあり。
確かそうでしたね。でも、体に身に付いてる反射で皆んなあがってしまいそう
な気もするのですが・・・?

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