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●   『ちょっとサイエンス』  2007/5/21  No.269  
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●    発行者 Fujiken        不定期発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。

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■今日のテーマ  「"京都からの提言"を聴いて−その1−」
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去る3月17日(土)に湯川秀樹・朝永振一郎博士生誕100年にちなんで、京都

大学の17の研究所及び研究センターが主催でエルおおさか(大阪府立労働セン

ター)で"京都からの提言"のシンポジウムが行われました。

私は午前中の2つの講演を聴かせて頂きました。

最初は「湯川・朝永両博士が残した宿題」というテーマで基礎物理学研究所長の

九後太一氏の講演でした。

湯川秀樹氏は量子力学が出来てまもないころ京都大学生で、朝永氏と共にシュレ

ディンガー波動方程式に取り組んでいて、その後、陽子と中性子を結びつける粒子

である中間子の存在を1930年に予言して、1947年に宇宙線の中からπ中間子が発見

され、1949年にノーベル賞を受賞されました。その当時の新聞にはその業績と敗戦

後の日本を元気にさせてくれる記事が載ったということで、その記事を読んで下さ

いました。短い文章ながら素晴らしい記事でした。

素粒子論は湯川氏から始まったと言っても過言ではなく、その後、素粒子論は朝永

振一郎氏のくり込み理論で飛躍的に発展し、朝永氏は1965年にノーベル賞を受賞さ

れました。

現在自然界の力は「強い相互作用(核力など)」「弱い相互作用(α崩壊など)」

「電磁相互作用」「重力相互作用」の4つの力が知られているが、4つの力を

ゲージ原理、ゲージ理論で説明されるようになっているそうです。

素粒子には3種類に分類されバリオン(陽子、中性子など)、メソン(π中間子など)

レプトン(電子、ニュートリノなど)に分かれるています。

磁石の周りに磁場ができるように、時空の各点に何らかの量が存在していることを

一般に「場」と言っている。ゲージ原理とは、時空の各点で、その場を測るゲージ

(物差し)を勝手に設定していいということで、この原理では、波が伝わると、必ず

粒子がある点で消えて、別の粒子に変わり、同時に力を伝える「ゲージ粒子」が

放出されると考えます。

我々が見ている世界では四つの力の大きさには大きな違いがあるが、超高エネルギー

の世界では4つの力が同じ起源であると理解できるが、超ひも理論などの完成で

「あらゆる力を統一的に理解したい」という湯川・朝永両博士が残した宿題に答え

られると思います。ということでした。

(読売新聞 参照)

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■ちょっとコメント■

素粒子論の基本的な説明から、ゲージ原理、ゲージ理論までとても難しい講演

でした。

「ゲージ理論で4つの力が統一的に説明できる」と初め聴いたときは、重力子は

見つかったの?と私は疑問に思ったのです。私の知識では重力の相互作用だけ

説明されずその他の3つは統一的に説明できたと思っていたからです。

しかし、よく考えてみると、ゲージ理論で説明できるが、重力子はまだみつかって

いないと解釈するべきで、4つの力を統一的に説明するのは「超ひも理論」などの

完成を待たなくてはならないということだと思います。

素粒子が数百種出てきたときに、これらは粒子が複合したものであるという説を

坂田昌一氏が提唱し、現在のクオーク模型につながったことや、南部陽一郎氏は

強い力の起源としてクオークがカラーを持つことを提唱したこと、クオークが

6種類あることは益川敏英氏、小林誠氏が予言したことなど、素粒子論における

日本人の功績は大きいことを知りました。

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