**************************************************

●   『ちょっとサイエンス』  2007/1/14   No.258  
★          
●    発行者 Fujiken       不定期発行
★                       
**************************************************

毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。

----------------------------------------------------------------------
■今日のテーマ  「元素の周期表を作ったメンデレーエフ」
----------------------------------------------------------------------

1868年から1870年にかけて、ロシアのペテルブルク大学の化学教授だった

メンデレーエフは『化学原論』という本の執筆にかかっていました。

当時混乱状態であった無機化学を系統化するのが目的でした。

メンデレーエフは当時知られていた63の元素をその原子量に並べてみました。

すると、リチウム、ベリリウム、ホウ素、炭素、窒素、酸素、およびフッ素の

原子価(後で説明有り)が、1,2,3,4,3,2,1であることに気づいたのです。

これに続く7つの元素であるナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ

素、リン、硫黄、および塩素の原子価も1,2,3,4,3,2,1であったのです。

ここで、リチウムの原子価が1であるというのは、リチウムの原子1個が他の

元素の原子1個と化合することを意味し、「反応する手の数」という解釈で使

われています。この原子価という考えは、すでに15年ほど前にイギリスのフラ

ンクランドが導き出したものでした。

原子量の増加にともなって原子価が周期的に増減することに気がついたメンデ

レーエフは、各元素を1枚のカードを作って、原子量・原子価・化合物・化学

的性質をカードに書き込んで、研究室の壁にピンで止めて、それを動かしなが

ら、系統的な配列を探し求めました。

そして、横に原子量の順に並べ、縦にその原子価および化学的性質がよく似た

元素がくるように表を作ったのです。

こうして出来たものを現代流に書き直したものが「短周期型」と呼ばれる周期

表で、今は短周期表では1マスに2つ入っていた元素を修正した「長周期型」

と呼ばれる周期表が使われるのが一般的です。

メンデレーエフの周期表には、まだその当時発見されていなかったヘリウム・

ネオン・アルゴン等の不活性気体はありませんでした。

メンデレーエフは周期表を作る際に、原子量の順番に並べて、化学的性質を

同じ元素を縦に並べていくと、どうしても空白が出来てしまったのです。

彼は、その空白の場所に来る元素の原子量と化学的性質を予言したのです。

そしてその後、その空白にあてはまる元素であるスカンジウム、ガリウム、

ゲルマニウムというメンデレーエフの予言したとおりの元素が発見されたの

でした。

(「世界の科学者100人」(教育社)、「Newton」2006年10月号 参照 )

-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-

■ちょっとコメント■

メンデレーエフの頃は、ドルトンの原子説からアボガドロの分子説が出された

頃であり、原子と分子の区別がはっきりとしていなかった混沌とした時期だっ

たのです。

アボガドロが1811年に「同じ温度のすべての気体は、同じ体積中に同じ数の分子

を含む」という仮説を出しました。(今は法則になっています)

1860年にカニッツァーロの「このアボガドロの仮説を用いれば原子と分子が区別

され原子量を決定できる」という講演を聴いたメンデレーエフは深く共鳴し、

周期表の考えにたどりついたと言われています。

周期表の順番を決める際、コバルト(原子量58.9)とニッケル(原子量58.7)では

原子量だけでは順番が逆になるけれども、縦の化学的性質が似ている方を優先

して決めっていったという柔軟性があったことにも成功の秘訣があったのです。

19世紀の終わりになってヘリウムやネオンなどの不活性気体が発見されましたが、

これらはメンデレーエフの周期表の右端に縦の欄を一つ設けることで解決したの

です。

周期表の左端はリチウム・ナトリウム・カリウムがありこれらは「アルカリ金属」

とよばれ、とても反応性が大きいのが特徴です。例えば、濡れた紙の上にナトリ

ウムやカリウムの金属を置くと水と反応して炎を出して燃えるそうです。

このようにアルカリ金属は水と爆発的に反応するので、空気中には置けず、石油

の中に入れて保存します。

このことに関しては、私には忘れられない経験があります。

大学時代、石油に入ったビンをいらないものと判断した学生が捨てて洗おうとして

水をかけた瞬間に爆発して大やけどをしたのです。実はその金属がナトリウムだっ

たのでした。ナトリウムは塩化ナトリウム=食塩として普通に生活の中にあるもの

ですが、元素の金属は恐い物質なのです。

科学において、優れた理論は、それまで知られていた事実をまとめるだけでなく、

ある種の予言をすることができるといいます。

ニュートン力学がそうであり、アインシュタインの相対性理論がそうです。

メンデレーエフの周期律の考え方は、未知元素の存在とその性質を言い当てて、

その後の原子の構造を解き明かす重要な手がかりを与えたものなのです。

-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-=*-

■「読者からのメール」より■

●「K」様より 「恐竜について」

いつも楽しく拝見させて頂いています。
目からウロコが落ちること、たびたびです。

恐竜は夢のある話が多く、沢山のドラマが隠されているようです。

小生5年ほど前にシカゴの Field Museum に行った折、ティラノザウルス
レックスのSue (スー,発見者の名:Sue Hendrickson)を見てきました。
たしか80%位の骨格が残ってるほぼ完全が骨格でその大きさと迫力には
驚きました。

発見の話
南ダコタ州の荒地を持ち主の承認の元に、チームで化石の発掘をしてい
たのですが、ほとんどめぼしいものは発見出来ず、引き上げをしようとした
ところ、車の一台が故障し、スー女史が現場に残りました。そして前に気に
なっていたあたりをうろついて居た時に偶然ティラノザウルスレックス
(T-Rex)を発見しのでした。

しかし、地主がT-Rexの所有権を主張し、裁判になりました。(訴訟=Sue
というのも偶然です)
そして後日、競売にかけられましたが、10億円とあまりにも高額なため、
研究者達(Field Museum)には落札できませんでした。
そこへ、マクドナルドとディズニーがスポンサーの名乗りをあげ、協力して
落札され、やっとシカゴのフィールド博物館に落ち着いたという話なのです。

この博物館には、沢山の恐竜の化石がありますが、非常に興味深かったのは、
一体の恐竜に足に骨折の跡が残っていて治っていたようだという事です。
自分で捕食できない恐竜に他の恐竜が餌を与えた、従って治癒するまで生存
できた。と Field musium の説明文にそのように記述されていました。
骨折の箇所は、見学者が一目で分るものではなく、矢印で示されて気が付く
ものでした。(骨がずれて形成されています)

→Fujikenより

大変興味深い情報ありがとうございました。

シカゴの博物館の話。うらやましい限りです。

お金と暇がないのと英語が話せないFujikenには夢のような話だと思ってしまいます。

でも、いつか外国の博物館へ行きたいな・・・

英語、その他の言語はどうするの・・・?

======================================================================

■登録・解除は下記のホームページで行えます。

 http://www.mag2.com/m/0000046152.htm

http://www.eonet.ne.jp/~fujiken1/

■質問、感想などはEメールでお願いします。

 Eメール:fujiken200605@ares.eonet.ne.jp

■バックナンバーはHPまたは下記URLへ

  HP :http://www.eonet.ne.jp/~fujiken1/

URL:http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000046152

======================================================================

このメールマガジンはインターネットの本屋さん『まぐまぐ』を
利用して発行しています。 http://www.mag2.com/

マガジン名:ちょっとサイエンス マガジンID:0000046152

======================================================================