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●   『ちょっとサイエンス』  2006/11/27   No.254  
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●    発行者 Fujiken        不定期発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。

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■今日のテーマ  「宇宙線について−福井県児童科学館その3−」
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宇宙からやってくる高いエネルギーを持った粒子や電磁波を「宇宙線」(一次

宇宙線)と呼んでいます。

質量の大きな星は、その一生の終わりに超新星と呼ばれる大爆発を起こします。

この時、多量の素粒子が宇宙空間に放出されます。これが宇宙線の起源と考え

られています。

これらの宇宙線は銀河系を通過して地球にやってきます。宇宙空間から大気圏

に突入した宇宙線は、上空で大気中の分子と衝突して中間子やガンマ線を生み

出します。中間子はπ中間子やμ中間子とニュートリノに変わり、ガンマ線は

電子になります。こうして宇宙からやってきた粒子はたくさんの中間子や電子

(二次宇宙線)となってシャワーのように地上に降り注ぎます。

私たちの体には毎秒100個位の宇宙線が通り抜けています。

宇宙線は1912年にオーストリアのヘスによって発見され、ヘスは1936年に

ノーベル物理学賞を受賞しています。

( 横浜こども科学館HP 参照 )

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■ちょっとコメント■

福井県児童科学館(エンゼルランドふくい)では、宇宙線が手を通過する様子が

見える展示がありました。

展示の写真はこちら→ http://fujiken2.hp.infoseek.co.jp/

この展示では暗い所に何か光るものが見え、その光が手を通過したように見え

ました。

展示の資料を見ると、この装置は「スパークチェンバー」といい、日本生まれ

で、原型は大阪大学の福井氏、宮本氏が開発したものだそうです。

両氏は、ホドスコープチェンバーといって、細長いガラス管にネオンガスを

封入したものを積み重ね、宇宙線の通過直後にガラス管に高電圧を加え、宇宙

線が通過したガラス管が放電するものを改良し、気体の圧力を上げ、高電圧を

かける時間を短くすると気体全体が放電するのではなく、イオンの近傍だけ光

るようにした「宇宙線飛跡検出器」が「スパークチェンバー」で1958年に開発

されました。(ネオンガスではなくヘリウムガスを使う場合もあるようです。)

実は、私の教える中学2年生の自由研究で、霧箱をつかって宇宙線の研究をした

生徒がいました。

この生徒が準備した霧箱は容器の中の上部にエタノールを入れ、下部にはドラ

イアイスを入れたもので中が過飽和状態になる「拡散霧箱」です。

その様子をカメラやビデオに撮っていて、光らしきものが映っていました。

私は「へえ〜こんな簡単に宇宙線が見えるんだ!」と驚きましたが、この生徒

に聞くと「時間が大部かかったよ!」と言っていました。

それから、皆さんご存知のように小柴昌俊東大名誉教授が神岡高山の地下につ

くったカミオカンデで1987年に出現した超新星からのニュートリノを世界で初

めて観測することに成功し、ニュートリノ天文学という新しい学問分野を切り

開き、2002年にノーベル物理学賞を受賞されました。

今はスーパーカミオカンデでニュートリノ振動という研究がされているそうです。

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■「読者からのメール」より■

●神奈川県平塚市のKさんより

いつも楽しく拝見させていただいております。ありがとうございます。
時間がたちすぎましたが、フ−コ−の振子について質問させてください。
定年退職してもう4年がたちました。いつまで飽きられないか分かりま
せんが事務のパ−トで使ってもらっています。(男)

昔、上野の国立博物館で見て、説明も読んで、そういう実験があるのかと
思いました。帰りには振子の位置を見ましたがその振れる位置の変化は
分かりませんでした。

自分で確かめようと、朝前後に揺らせ、夜に揺らせても前後にしか揺れ
ません。
また、自分が揺らしても1分もしないうちに振れは止まってしまいます。
糸の長さを変えても止まってしまいます。博物館のようにいつまでも振
れ続くことが出来ません。

どうすれば博物館の振子のように長時間揺らし続けることができますか。

→Fujikenより

フーコーの振り子の振動のずれを確かめようとしたKさんには感服しました。

私のように「そうなるんだ」と思い込んで振動の位置の変化も見ない態度は

とても恥ずかしく思いました。

さらに、実際にそうなるか自宅で実験されているから頭が下がります。

今は振り子の詳しい説明は中学校ではやりませんが、昔、振り子について

教えていた頃、Kさんのようにだんだん振り子が減衰し止まってしまいまし

た。その原因は振り子の糸を止めている所の摩擦と空気の抵抗によるものだ

と思います。

では、なぜ科学館の振り子は減衰しないのでしょうか?

私も少し考えましたが、昔良くあった振り子時計がゼンマイしかけだったこと、

今も少し振り子時計を見ますが、それは電池を入れる物であることから考えて

振動の減衰を起こさないようにゼンマイか電磁石の力を借りているのではない

か?という考えが浮かびました。これは私の推測なので、詳しい情報を知って

いる方の情報をお待ちしています。

■追伸■

福井県児童科学館では「実験コーナー」のようなものがありました。

あまり時間がなく、一部しか見えませんでしたが、たくさんの小学生が喜んで

楽しそうにお姉さんの話を聞いていました。

その中に、「ゴムを伸ばしたり、縮めたりしたら温度はどうなるでしょうか?」

というのがあって、ゴム風船のようなゴムが配られ、みんな伸び縮させて、

温度が分かりやすいとお姉さんが言った、鼻の下つまり上唇の上にゴムを伸ば

して当てると温かくなっていました。

これはゴムの高分子の摩擦熱であるわけですが、小学生にはいくつもの球がつな

がったものを見せて、この球が押しくらまんじゅうしているからだよと説明して

いました。小学生には小学生なりの説明が必要なんだなと思ったFujikenでした。

こんな写真でも見たい方はこちら→ http://fujiken2.hp.infoseek.co.jp/
                      「宇宙線とおまけ」

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