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●   『ちょっとサイエンス』  2006/9/4  No.252  
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●    発行者 Fujiken       不定期発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。

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■今日のテーマ 「X線について−福井県児童科学館その1−」
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8月の休み中に、一泊二日で福井県へ行きました。

有名な「恐竜館」へ行くのが目的でしたが、福井県児童科学館(エンゼルランド

ふくい)と東尋坊にも行ってきました。

これから何回かは、その旅行の自主研修の報告をいたします。

まず初めは、福井県児童科学館(エンゼルランドふくい)で、展示してあった

X線のコーナーについてです。

説明には、箱の中に何か物を入れると、そのX線の映像が映るというものでした。

さっそく、妻が小銭入れを入れてみたのですが何も映りません。壊れているのか

なと思ったのですが、箱を強く押し込んでみるとモニターに映像が映りました。

小銭入れの中の硬貨がはっきり映り、硬貨の種類によって濃さが微妙に違ってい

たのが印象的でした。

さらに、インスタントカメラを入れると抵抗やコンデンサーなどの基盤の様子

がはっきり映り、ライターを入れると着火部分の構造がよく分かる映像が映り

ました。

この装置は、今では飛行機に搭乗するときの持ち物検査等に利用されています。

ここで、X線を発見したドイツのウィルヘルム・レントゲンについて説明した

いと思います。

レントゲンは1895年に陰極線の研究をしていました。ガラス管に電極を入れ、

ガラス管内の気体を抜いて真空にしていくと放電が起こります。これを、真空

放電といい、このガラス管の陰極から陽極へ電子が飛び(電子であることを発見

したのは、イギリスのジョセフ・トムソンです)ガラス管に蛍光を発しました。

レントゲンは陰極線の蛍光現象に興味を持ち、ガラス管を黒い紙でおおったり

いろいろな実験を繰り返していました。すると、ガラス管から遠く離れている

所にある白金シアン化バリウムが蛍光を発しているのに気づき、陰極線による

光とは別の何かが出ていることを発見したのです。

その電磁波(電磁波であることは後にわかりました)は、隣の部屋の蛍光物質を

発光させるほど、透過性があることもわかり、その透過性について調べてみま

した。1000ページもある本は軽く透過しましたが、金・銀・銅などはあまり

透過せず、特に鉛はほとんどその電磁波をさえぎることを発見しました。

そこで、レントゲンは妻の指輪をはめた手にこの電磁波をあてて蛍光板上に

映してみると、指輪と手の中の骨がはっきりと映ったのです。

レントゲンは、この未知の電磁波に未知数を表すXを使って「X線」と名前

をつけて1895年に初めての論文を書いたのです。

( 「世界の科学者100人」(教育社) 参照 )

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■ちょっとコメント■

X線写真をとることをレントゲンをとるというのは、発見者の名前からきてい

るということは、皆さんご存知だったと思います。

このX線の発見によって医学診断用の新しい方法ができ、多いに役立ったのは

ご承知の通りで、今ではCT(コンピュータ断層撮影装置)の開発でより詳細な

映像が見える時代になっています。

また、物理学にも大きな影響を与え、原子物理学のみならず、X線の回折の

利用によって結晶構造がわかったり、いろいろな分野でX線は今でも使われて

います。日本のX線回折の研究では、夏目漱石の「三四郎」に登場する科学者

のモデルだと言われている寺田寅彦氏が有名です。寺田寅彦氏は「天災は忘れ

たころにやってくる」という有名な言葉を残した地球物理学者でもありました。

さらに、DNAの2重らせん構造を発見したアメリカのワトソンとクリックは

DNAのX線回折写真の研究から2重らせん構造を発見したと言われています。

話を福井県児童科学館(エンゼルランドふくい)に移すと、とても立派な科学館

でした。館内に日本人初の宇宙飛行士「毛利 衛」氏の写真や制服などが展示

してあって、毛利氏が福井県の出身であり、この科学館の名誉館長であること

を知りました。

とても小さなことですが、X線の展示のコーナーでは、箱に物を入れただけで

は何も映らず、強く押さないと映らないことに気がついた私はいいですけれど、

「強く押してください」という注意書きがいるんじゃないかなと妻に問いかけ

ると、「館内の人は忙しいの! 気がついた人が係の人に言ってあげたら?」

と言われ、それもそうかなと思ったFujikenでした。

福井県児童科学館(エンゼルランドふくい)とX線の映像は

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