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●   『ちょっとサイエンス』  2006/8/28  No.251  
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●    発行者 Fujiken      不定期発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。

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■今日のテーマ  「量子論のその後の発展について」
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まず、量子論と同じ頃アインシュタインによって相対性理論が発表されました。

相対性理論によると、E=m×Cの2乗 (E=エネルギー m=質量 C=光速)

という式が導き出され、質量とエネルギーは同じものであるという驚くべきこと

がわかり、この式によって、核反応、そして原子爆弾の研究へと向かっていった

のです。

そして、加速器実験では、エネルギーそのものが素粒子に転化することが確かめ

られ、エネルギーは物質を生むと考えられるようになりました。

そこで、量子論と相対性理論を合わせて考えると、真空でさえ、不確定性関係か

ら、ごく短い時間で考えたとき、場所ごとのエネルギーはゼロではなく、不確定

でゆらいでいると考えます。そこで非常に短い時間では、ある領域が非常に高い

エネルギーを持っている場合が考えられ、そのエネルギーによって電子などの

素粒子が生まれてくると考えられますが、生まれた素粒子は短い時間という限定

なので、すぐに消滅します。

真空から生まれる電子はマイナスの電荷を持つので、プラスの電荷を持つ陽電子

という素粒子が必ずペアで生まれ、ペアで消滅します。

このように、「真空のもつエネルギーのゆらぎによって素粒子があちらこちらで

生まれては消滅している」というのが、量子論と相対性理論が明らかにした真空

の姿なのです。

次に、電磁波は壁に当たると一部は反射しますが、一部は通過します。

これと同じようなことが電子にも起こりえます。

量子論によると電子も波の性質を持っているので、本来通り抜けられない壁を

すり抜けてしまう現象が起こります。これをトンネル効果といいます。

このトンネル効果を利用して半導体を作ったのが日本の江崎玲於奈氏で、エサキ

ダイオードの発明で1973年にノーベル賞を授与されました。

次に、元素の周期表が意味するところを詳しく量子論による原子の電子軌道の

理論によって明らかになりました。そして、化学反応がどのように行われるか

も量子論によって説明できるようになったのです。

このように量子論は化学と物理学の橋渡しをしたのです。

この分野では、1981年に日本の福井謙一氏が「フロンティア軌道理論」でノー

ベル賞を授与されています。

次に、量子論は金属、絶縁体、半導体といった様々な固体の性質を明らかにし、

特に半導体の研究によりコンピュータが作られていったわけですから、今の

コンピュータ社会、IT(Information Technology)社会の発展へ大きく寄与

したわけです。

最後に、自然界には4つの力が存在すると言われています。

1,電磁気力、2,ベータ崩壊(中性子が陽子と電子とニュートリノに分解

する)と呼ばれる現象を引き起こす「弱い力」

3,陽子と中性子を中間子の交換力で原子核を作っている「強い力」

4.重力です。

重力については1915年にアインシュタインが一般相対性理論によって説明をしま

したが、量子論的な説明は一切行われていません。

1,2,3については量子論によって説明ができました。

4,重力については「重力の量子論」の研究が今も行われています。

ここでは、中間子を予言した湯川秀樹氏が1949年に、朝永振一郎氏が超多時間理論

と、くりこみ理論によって1965年にノーベル賞を授与されています。

( Newton(ニュートン) 2006年 7月号 参照 )

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■ちょっとコメント■

量子論のその後の発展をまとめてみると、1,真空のゆらぎ 2,電子などの

トンネル効果 3,化学を量子論で説明できた 4,半導体の研究からコンピュ

ータ社会へ 5,自然界の4つの力のうち重力を除く3つを量子論で説明できた

という事になります。

考えてみれば、私が今から30年ほど前、高校・大学で習った化学は量子論によっ

て説明されていて、SP1軌道、SP2軌道というのが出てきたのを思い出します。

この中で、日本でノーベル賞を授与された人をまとめると、

1949年 湯川秀樹氏(中間子論で強い力を説明)

1965年 朝永振一郎氏(超多時間理論、くりこみ理論で量子論を発展させた)

1973年 江崎玲於奈氏(トンネル効果を利用したエサキダイオードの発明)

1981年 福井謙一氏(フロンティア軌道論で化学反応の説明をした)

とたくさんおられます。

各ノーベル賞受賞者については「ちょっとサイエンス」のバックナンバーを

参考にして下さい。→  http://www.eonet.ne.jp/~fujiken1/

これからも日本人にたくさんノーベル賞をとってほしいですね。

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■「読者からのメール」より■

●E.M.Sさんより

私は星や宇宙に興味を持ち、初心者向けの
色々な本を読んでいます。

そうして分かったことは、あの広大な宇宙を理解
するには、物質の本源である極微な粒子と、
それと同値のエネルギーを理解する必要がある
ということでした。

言うなれば、極大から極小の世界が繋がっていることを
理解することです。

その意味から、一方の先端に位置する量子力学は
極微の世界へ誘う(いざなう)学問で、私自身、本格的に
どこまで理解できるか分かりませんが、メールを読んで、
一生懸命についていこうと頑張っています。

これからも、易しい喩え話などを交えて、
面白く解説していただけるとありがたいです。

→Fujikenより

今回の「真空のゆらぎ」については、まさに、E.M.Sさんの言われる

宇宙という極大の世界は、量子論と相対性理論から出てくる「真空のゆらぎ」

という極小の世界観を基本として成り立っているという例ではないでしょうか。

宇宙論は量子論・相対性理論より、いろいろな理論が出ています。

これもいつかまとめることができたらいいな〜と思っているFujikenでした。

(ちょっとテーマが大きすぎて私には無理かも・・・)

また、いろいろ詳しい知識をお持ちの方からのメールをお待ちしています。

一応、今回で量子論に関してはひとまず終了にします。

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