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●   『ちょっとサイエンス』  2006/8/14   No.249  
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●    発行者 Fujiken       不定期発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。

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■今日のテーマ  「量子論におけるハイゼンベルクの不確定性原理」
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量子仮説によるボーアの水素原子モデルの理論を数学的に説明する方法を、

オーストリアのシュレディンガーは弦の振動方程式中に表れる波長λに、電子

におけるド・ブロイの物質波の波長λを使って、「シュレディンガーの波動

方程式」と呼ばれる量子論(量子力学)の最も重要な方程式を作りました。

この方程式を使って、弦の固定端の振動の解を求めると、電子の軌道半径や

軌道上の電子のエネルギーを決めることができ、水素スペクトルの実験結果

やボーアの理論を数学的に説明できたのでした。

一方、ドイツのハイゼンベルクは「行列(マトリックス)力学」を使って、ボーア

の理論を数学的に説明することに成功していました。

その後、ハイゼンベルクの「行列力学」とシュレディンガーの「波動方程式」

が見た目は全然違うが、同等であることがわかりました。

しかし、「波動方程式」の方が使いやすいために、シュレディンガーの「波動

方程式」の方がよく使われています。

ハイゼンベルクは、1927年に「不確定性原理」を発表しました。

「不確定性原理」とは、電子のようなミクロな粒子では位置と運動量(質量と速さ

の積)を同時に正確に決定することは不可能であるというものです。

数学的に表すと、位置の不確定さの幅と運動量の不確定さの幅の積は

h(プランク定数)より大きくなるというものです。

もう少し言えば、位置の不確定さを小さくすると、運動量の不確定さが大きく

なってしまうのです。

ハイゼンベルクは「不確定性原理」をこのように説明しました。

たとえば、電子の位置を正確に決めようとして、より強い光を当てると、光は

粒子としての性質も持っているので、光量子が電子に当たると、その電子の

運動量が大きく変わってしまい、運動量を正確に測ろうとすると、エネルギー

の小さな光量子を使わなくてはならず、それでは波長が大きくなり、位置が

正確に測れなくなるというように説明したのです。

この不確定性原理は、光や電子などの「波と粒子の二面性」から生じるもので、

これによって、古典力学(ニュートン力学)では粒子の位置と運動量が測定でき

ればその運動が記述できるので、運動の予想が出来るという決定論的古典的概

念が、量子論における不確定性原理によって崩されてしまったのです。

(「世界の科学者100人」(教育社)、
「現代物理学をつくった人びと」(東京図書)、Newton 2006年 7月号 参照 )

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■ちょっとコメント■

私(Fujiken)は、大学時代に科学史を勉強していました。ですから、シュレディ

ンガーの波動方程式とハンゼンベルクの行列力学が同等であることは知ってい

ましたが、恥ずかしながら、今まで波動方程式と行列力学の式を見たことがな

かったのです。

そこで、今回、一度どのようなものか見てみようと、インターネットで検索し

てみました。

シュレディンガーの波動方程式は難しい微分方程式でした。ハイゼンベルクの

行列力学の方は式の展開は見ませんでしたが、高校時代に理解に苦しんだ行列

が出てきました。高校三年生の時に、行列の問題が解けなくて数学の先生に怒

られたほろ苦い思い出がよみがえってきました。

ハイゼンベルクの不確定性原理を含め量子論が出来上がっていく中で、その

解釈に科学者達はいろいろと意見を出していました。

次回は「量子論へのアインシュタインの反論」をテーマにする予定です。

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■「読者からのメール」より■

「アサガオのツルの巻き方は地球の北半球と南半球では反対だという話を聞いた

ことがあります。」というメールが寄せられ、さっそくインターネットで調べて

みました。

すると、そういう記述のあるホームページが一つ見つかりましたが、記述に対す

る説明は一切されていませんでした。

一方、ある大学でアサガオの研究をしているホームページを見つけたのですが、

おもに「品種の研究」でしたが、アサガオは上から見て時計と反対回りにツルが

巻くという記述だけで、南アメリカのアサガオの品種の写真は載っていましたが、

ツルの巻き方については触れていませんでした。

結論的にはツルの巻き方についての正確な情報は得られませんでした。

しかし、No.246「アサガオの花が咲きました!」の中で、「アサガオは虫媒花と

思っていたのですが、虫は寄ってこなかったのになぜ種子ができたのか?」とい

う点について、アサガオは自家受粉で自然に花の中のおしべの花粉がめしべの

柱頭について受粉するということを知りましたので報告しておきます。

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