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● 『ちょっとサイエンス』 2006/1/30
No.238
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● 発行者 Fujiken 不定期発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。
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■今日のテーマ「科学フォーラム”奇跡の年から100年”に参加して-その1-」
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2005年11月26日(土)13時から3時間京都産業大学でノーベル賞受賞者江崎玲於奈
氏を迎え、神戸大学教授松田氏、素粒子論の「小林・益川理論」で有名な京都
産業大学教授益川氏、コーディネーターとして東京大学教授大島まり氏によって
フォーラムが行われました。
アインシュタインがわずか26歳で発表した3つの論文1「発見法的見地から見た
光の発生と変換について」論文2「静止した液体中の懸濁した粒子の分子運動論
から要求される運動」論文3「運動物体の電気力学」の発表の年が1905年なので、
それから2005年で100年を迎えたことになるのです。
論文1は光が光量子からなることから光電効果の法則を理論的に示したので、
論文2はブラウン運動の理論的説明、論文3がのちに特殊相対性理論と呼ばれる
ようになったのです。
このフォーラムに参加した時の内容・感想を何回かに分けて配信していこうと
思っています。
まず、1回目は、アインシュタインの特殊相対性理論に出てくるローレンツ変換
についてです。
世界が電磁波を伝える物質「エーテル」の存在を確かめる努力をしていた頃、
アメリカのマイケルソンとモーレイが地球の自転速度による光の速さのずれを
見出そうとした精密な「マイケルソン・モーレイの実験」によっても光の速さ
の差が見出せなかったのです。このことは「エーテル」は発見されなかったと
解釈されました。
この実験結果に対してローレンツは光の速さの方向に短縮するという短縮仮説
を用いて有名な「ローレンツ変換の式」を見出しました。
そして、そのローレンツ変換の式はアインシュタインの特殊相対性理論の中に
出てくるのです。
では、ローレンツの考え方と、アインシュタインの考え方とどこが違うので
しょう?
それは、ローレンツはニュートン力学を守ろうという立場で、マイケルソン・
モーレイの実験結果を説明したのであって、アインシュタインはニュートン力学
の根本原理である「絶対時間」宇宙に一様に流れる時間という概念、「絶対空間」
同一の理論上静止している空間という概念の2つの概念をやぶり、マイケルソン・
モーレイの実験結果によって見出された「光速度一定の法則」を原理として一から
作り出したのがアインシュタインの特殊相対性理論であり、その結果導かれる
ローレンツ変換の式はニュートン力学を守ったものではなく、ニュートン力学の
概念を変えたものなのです。
(参考文献「アインシュタインの生涯」「アインシュタイン物語」 東京図書)
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■ちょっとコメント■
フォーラムの中でローレンツ変換の式はアインシュタイン以前に発見されている
という言葉を聞いて、その違いを述べさせてもらいました。
この「ちょっとサイエンス」を長く読んでおられる方はご存知だと思いますが、
私は大学の4回生の時に「科学史研」という研究室に入り、科学の歴史を多方面
から勉強し、卒業論文は「相対性理論に与えたマッハの影響」というものでした。
今回のフォーラムに参加して、大学時代に意気盛んに勉強していた学生時代が
思い出され、久しぶりに脳細胞に刺激を受けることができました。
このフォーラムの参加申し込みをしたときは「あたるかな?」と思いながらFAK
したのですが、参加証が送られてきたときはとてもうれしかったです。
京都産業大学は遠かったですが、とても自然に恵まれた素晴らしい環境にあり
ました。江崎氏を見れて、思っていたより若く感じた(失礼?)のと相対性理論
ができた背景をマッハを含め手短にまとめて語られたことに感銘しました。
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