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●   『ちょっとサイエンス』  2005/3/8   No.224  
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●    発行者 Fujiken     毎週火曜日発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。

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■今日のテーマ  「プランク(量子力学の幕を開いた量子仮説)」
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1900年の秋、ドイツのベルリン大学教授であった42歳のマックス・プランク

は「黒体放射」の問題で頭を悩ませていました。

黒色の物体は光をすべて吸収し、反射される光がないので黒く見えます。

この黒体を熱して光が出るほどの高温になると、それは考えられるすべての波長

の光を出すはずなのですが、黒体の温度を上げていったときに、どの波長の光が

最も強く放射されるか、また放射される光の全エネルギー(E)が温度と共に

どのように変わるかが黒体放射の問題のポイントでした。

プランクの研究の前にすでにボルツマンによって「物体の発する放射の全エネ

ルギーは物体の絶対温度(セ氏温度に273度を加えたもの)の4乗に比例する」

という法則と、ウィーンによって「最も強い色の波長は絶対温度に反比例する

(温度が高くなると波長の長い赤色から波長の短い青色が最も強い色になる)」

という法則がありました。

ウィーンは小さな穴を開けた箱が黒体であり、この箱を熱して高温にすれば、

箱から出てくる光は黒体放射になると考えた人です。

ところが、当時最も正しいとされていた黒体放射に関するレイリーの理論から

すると、どのような温度でも、黒体は紫色の光だけを放射するとなっていたので、

ウィーンの法則と矛盾してしまい、プランクは頭を悩ませていたのでした。

しかし、レイリーの放射公式は光の振動数(ν)が小さいときのエネルギーの

実験結果をよく説明し、ウィーンの放射公式は振動数(ν)が大きいときのエ

ネルギーの実験結果とよく合っていたのです。

そこで、プランクは振動数がレイリーとウィーンの間の中間の振動数(ν)に

対するエネルギー公式を得たのです。

しかもこの公式は、先に述べたボルツマン及びウィーンの法則が導き出せる満足

すべき実験公式でした。

さらに、プランクはこの公式の持つより深い意味を突きとめようとしたのです。

不眠不休の末、数週間のちにエネルギーは粒子のようなもの、いわゆるエネルギー

量子の考えを導き出したのです。

原子や電子が粒子であるのとは違って、エネルギーはそれまでは連続的に移り

変わる量であって、エネルギーの粒子性など考えていなかったのですが、プラ

ンクによると、振動数νの光のエネルギーは最小単位hνの整数倍になるという

のです。

hはプランク定数と呼ばれ、自然界における最も基本的な定数となっています。

(「世界の科学者100人」(教育社) 参照)

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■ちょっとコメント■

ちょっとサイエンスも5年目に入り、200号を越え、今まで難解であるという

理由で、テーマとして取り上げてこなかった量子論(量子力学)の分野に入って

きました。

黒体放射の実験から得たプランクのエネルギー量子仮説は、アインシュタインの

光量子の考えに至り、光電効果の現象をうまく説明できたのです。

したがって、これまで波と考えてきた光が粒子としての性質を持ち、反対にこれ

まで粒子と考えてきた電子などが波としての一面を持つという物質波の考えも出

てきたのです。

物質波の考えを最初に提案したのはド・ブロイでした。

それを原子モデルに応用したのがニールス・ボアでした。

その後、シュレディンガーが量子力学の基本方程式を導き、ハンゼンベルクが

同様の基本方程式を導き、この二つは見かけは違うが同じ意味を持つということ

が分かり、素粒子・原子・分子などのミクロな粒子の振る舞いを記述する量子力学

の基礎となったのです。

プランクの業績を残すためにマックス・プランク研究所が創られ、現在もたくさん

の優秀な科学者が業績を上げています。

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■「読者からのメール」より■

●「さとみ」様より

はじめまして、さとみと申します。

No.222とNo.223に出てきました「電気と磁気」についてコメントです。

まこーさんがおっしゃっている問題は、
「誰もわからない」
が正解だと思われます。

もちろん、素粒子理論によって詳しいメカニズムはわかりつつありますが、
「”なぜ”そうなるのか」というのは、「自然はそうなっているから」としか
言いようがないでしょう。

引力(重力)も、ニュートンの法則がなぜ成り立っているのか、
いくら素粒子理論で超弦理論が完成しても、”なぜ”の部分はわかりません。

数式(方程式)で表すことは当然できますが、それは
”なぜ”そういった相互作用が存在するのかを説明するものではなく、
その「メカニズムが正しい(もしくは、正しそうだ)」ということしか言えま
せん。

まこーさんがおっしゃっているのは、深遠な”なぜ”という面だと解釈して
コメント述べさせていただきました。

また、細かいツッコミで恐縮ですが、

> つまり、原子を作る電子や陽子などの電荷を持った素粒子の動きによって

電子は素粒子ですが、陽子は素粒子ではありませんよ。
「基本となる粒子」が素粒子ですから、陽子は三つのクォーク(これは素粒子)で
できているので、素粒子ではありません。

今後のメルマガも楽しみにしておりますので、がんばってください。

→Fujikenより

正しい訳語が手元にないので恐縮ですが、ニュートンの言葉にこのようなものが

あります。

「われわれ科学者は、法則や公式を見いだして喜んでいるが、それはあたかも

砂浜にきらりと光る貝殻を見つけて喜んでいる子供のようなものにすぎず、自然は

その後ろにある海のように大きく広がっている。」

まさに、今回のテーマを例にすると、黒体放射から得た公式から、プランクはなぜ

そのような公式になるのかを考えて量子仮説をたてたのであり、科学はなぜ?を

追究しては行くが自然は海のように広くまだまだ分からないことが多い物であると

いうことだと感じました。

すみません、陽子は素粒子ではありませんでした。

素粒子論も難しいですね〜!

最近、テーマが難しいよう〜!と感じてる方、ここで読むのをあきらめないで、

もう少しお付き合いして下さ〜い!

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一日何十という迷惑メールを削除していたらつい大事なメールも削除してしま

いました。ゴメンナサイ・・・。

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