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●   『ちょっとサイエンス』  2004/12/14   No.212  
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●    発行者 Fujiken      毎週火曜日発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。

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■今日のテーマ  「電磁波を伝える物質=エーテルはあるのか?」
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読者の方からこんな質問メールを頂きました。

●「ひな」さんより

いつも面白く拝見させてもらってます 電波(電磁波)は何かを伝わっていく
のでしょうか(媒体が必要)又飛んでいくのでしょうか(媒体なし)
波の形ををとりますから何かを伝わると思うのですが?
よろしくお願いします ひなです

→Fujikenより

今回はこの「ひな」さんの質問にせまってみます。

ファラデーらが活躍した19世紀の新しい科学だった電磁気学はマクスウェル

によって電磁気学の方程式にまとめられました。

その方程式から導かれる電磁波の伝達の速さが光速に等しいことから、光も

電磁波の一つであるとみなされました。

つまり、光は波動であり、その波を伝えるものは全宇宙に満たされている

「エーテル」という希薄な媒質だと考えました。

エーテルは宇宙の中に静止している物質で、ニュートン力学を批判していた

マッハも、このエーテルが観測にかかれば、絶対空間の概念に適用されると

言っていました。

そこで、静止エーテルの中で地球が動いているならば、縦と横に光を発し、

鏡で反射してきた光を合わしたら、干渉が観測されるに違いないという発想

で行われた有名なマイケルソンとモーレー(モーリー)の実験では、精密な

実験であったにも関わらず、光速の微妙な差を測定できませんでした。

この結果から、エーテルの存在を否定できない人々は「エーテルは地球に

完全にくっついて動いてるからである」という、つじつま合わせのような

説明をしていました。

そこで、アインシュタインは「光を発する物体が静止していても運動してい

ても光速は一定である」という「光速不変の原理」を用いて相対性理論を

作っていったのです。ですから、我々が特殊相対性理論と呼んでいる論文

の正式名は「運動する物体の電気力学」という題名だったのです。

マイケルソン・モーレーの実験でエーテルの存在は否定されたと考える人も

いますが、アインシュタインの理論によれば光速不変の原理より、エーテル

の存在は測定できないと解釈する方が正しいようです。

ならば、エーテルは存在するのでしょうか?

現在は、光を含め電磁波は真空中でも伝わっていくと解釈されているようです。

(「自然科学史」 友松芳郎編 (創元社) 参照)

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■ちょっとコメント■

久々に大学時代の科学史の本を取りだして、まとめてみました。

大学時代に読んだこれらの本の一部は引っ越しの時に紛失したり、古本屋に

持っていったりしてなくなっています。今思えばもったいないことをしたなと

感じています。「もう勉強しないだろう」とその時は思ったのと、引っ越し先

に収納スペースがなかったのが原因です。「本は財産だ!」と今、つくづく感

じています。

さて、エーテルは19世紀に初めて出てきた考えではなく、古代からあった思

想で、長い間「謎の物質」として考えられていました。

「真空中も電磁波は伝わる」・・では「真空」とはなんなのだろう?

という疑問に到達しますが、それは大変難しいようなので触れないようにして

おきます。

もう一点、光には波動性と粒子性が共に存在する性質があります。

その辺は量子論になっていきますので、また勉強してテーマとして取り上げて

いきたいと思います。

●追伸

”今年もっともおもしろかったメルマガ”を選ぶ『まぐまぐメルマガ大賞

2004』の【科学・技術部門】に「ちょっとサイエンス」がノミネート

されました。読者からの推薦があり審査の結果ノミネートされました。

たいへんうれしいことです。読者の方の中で一票入れてあげようと思われる

方はこちらのサイトへお願いします。

投票はこちら→ http://www.mag2.com/events/mag2year/2004/index.htm

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■「読者からのメール」より■

●「新米講師えんえん」さんより

いつも読み応えのあるメルマガ楽しみにしています。
恥ずかしい質問なのですが、バッタとイナゴの違いは何でしょうか。
なんとなく感覚的に言い分けている気がするのですが、科学的に説明できません。
地方による呼び名の違いもあるかもしれませんが・・・。
実はこれでも生物の先生やっています。
分子生物学なら専門なんですが、こういうのは苦手で勉強中です。

→Fujikenより

私も、生物の分類にはうとく、図鑑で調べてみました。

バッタ科は後ろ足が頑丈に発達してはねるのが特徴で、イナゴ型のものは

体が太い感じで触覚が糸状とありました。

イナゴ類はイネの大害虫であるが、食用にしてもおいしいので昔から有名。

甘辛に味付けして香ばしく煎る(いる)と大変うまい。

と書いてありました。(標準原色図鑑全集2 昆虫(保育社)参照)

そう言えば、イナゴと言えば稲が頭にすぐ浮かび、イナゴの佃煮(?)を

思い浮かべます。

科学的な説明は難しいですが、生物というのは観察から始まり、その特徴

によって分類されているので、私などは図鑑なしではわかりません。

ただ、小さいときは昆虫が好きでよく追いかけていた少年でした。

そこで、一句

「イナゴかな ばったばったと 後を追い」・・・?

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