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●   『ちょっとサイエンス』  2004/11/30   No.210  
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●    発行者 Fujiken      毎週火曜日発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。

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■今日のテーマ  「相対性理論の質問に挑戦!」
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読者の高校生「まぼろし」さんからこんな質問が寄せられました。

●「まぼろし」さんより

「ちょっとサイエンスNo.102、104」でもあったタイムマシンなのですが、
『タイムトラベル』をした人がいるということをテレビで見ました。

ロシアの人かアメリカの人かわからないのですが、地球をロケット(宇宙ステ
ーションかも)で何千(万)周も周り、何年も滞在したそうです。
結果その人は7秒、地球に住んでいる人と時差があるそうです。
その人は地球に住んでいる人より長く過ごしたのか、短く過ごしたのか
わかりませんが、時差があるということは覚えています。

アインシュタインの相対性理論では光速に近くなると地上と時差が生じるとか
書いてありましたが、何か関係があるのでしょうか。

もしこのことが事実ならば、北極付近に住んでいる人と、赤道付近に住んでい
る人では若干ながら時差があるのではないでしょうか。
また、地球は太陽の周りをまわっているので、太陽からすると時差があるので
しょうか。

書いていると何を言っているのかわからなくなってきましたが、少し気になり
ます。何が止まっていて、何が動いていると定義するのは簡単なようで難しい
のですが、先生の見解をお願いします。では。

→Fujikenより

「まぼろし」さんは私の教え子なのです。中学生の頃からメールのやりとりを
し、大変理科が好きでよくできる生徒でした。
久々にもらったメールが相対性理論に関する質問なので、私の分かる範囲で
メールで回答しました。以下がその返事です。

メールの質問について回答します。

まず、アインシュタインの相対性理論から光速に近い速さで運動すると時計の

進み方が遅れることが示されました。

ですから、ロケットに乗った人は7秒短く過ごしたということだと思います。

光速に近い速さで運動している物体を静止しているところから見たときに

時計が遅れるのです。

では、なぜ光速に近い速さで運動すると時計が遅れるのでしょうか?

まず、アインシュタインの相対性理論は「光速度不変の定理」から

始まりました。

いろいろな人が物体が運動しているときにその物体から出た光の速さは

変わるはずだ(ニュートン力学の速度の和、差より)と考えて

いろいろ工夫して地球の自転や公転の速さを利用した光速の変化を

見いだそうとしたのですが、結局誰も見いだすことが出来ませんでした。

(マイケルソン・モーレーの実験が有名です。)

そこで、アインシュタインは、それは、光の速さは光を出している物体が

運動しているしていないに関わらず、一定であるという「光速度不変の

定理」を根底にすえて相対性理論を作っていったのです。

ニュートン力学からしたらおかしな定理ですから、ニュートン力学とは

異なる色々な現象が相対性理論では起こってきます。

まず、時間ですが、ニュートン力学では時間はどこでも一様に流れている

という「絶対時間」を採用していたのです。

しかし、アインシュタインは時間は定義しなければならないとしたのです。

そして、今、アインシュタインの時間定義の分かりやすい説明があります。

アインシュタインの時間の定義の理解しやすい方法とは、

まず、光速が一定なのだから光を使った光時計を用いるのです。

それは、下のようになります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ↓↑
 ↓↑
 ↓↑
 ↓↑
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
静止している物体の中で光を鏡で往復させて、一往復した時間を時間の

単位とします。

すると、その静止している場所からロケットのような動く物体の中の

光の様子を見ると、下のようになります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
* * *
* * * *
* * * *
*  *
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斜めの線が出なくてわかりにくいかも知れませんが

要するに、静止している場所から運動物体の光時計の光の軌跡は

V字型になるのです。

すると、光速度一定ですから一往復する時間は多くかかりますよね。

よって光時計から静止している所の時間より運動している物体の時間は

遅れるということになるのです。

時間の遅れは、光の速さに近くなった時に顕著に現れてきます。

逆に言えば、運動している物体の速さが光速に近くなければ差があまり

でない、ロケット旅行の7秒というのはその範囲の話だと思います。

ですから、光の速さに近くなければニュートン力学で十分対応できるのです。

北極と赤道、太陽と地球の時間の差はニュートン力学の範囲で考えて良いと

思います。

何が止まっているか、何が動いているかの定義は難しいですよね。

アインシュタインも初めは2つの物体の相対的な運動として理論を

考えたので「特殊相対性理論」と呼ばれています。

そして、どんな場所でも使える相対性理論を作り「一般相対性理論」と

呼ばれています。一般相対性理論は重力が大きく影響しさらに、空間を

時間を入れた4次元時空として、各点に時間を定義するリーマン幾何学を

用いました。(特殊相対性理論でも4次元時空の考えが用いられています)

特殊相対性理論だけでは、どちらが動いて、どちらが止まっていても

成り立つので、タイムトラベルは説明出来ませんが、一般相対性理論を

用いると、地球から飛び立つロケットの時間の遅れは証明されました。

よく聞かれる「浦島効果」というのも、特殊相対性理論だけでは、説明が

できないのですが、重力や加速度を大きく考慮に入れた一般相対性理論に

よって証明されたのです。

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■ちょっとコメント■

私は、大学時代、科学史の研究室に入り、「相対性理論に与えたマッハの影響」

という卒業論文を書きました。

もう20数年前です。その頃は「光時計による時間の遅れ」という説明が、

まだ定着していなかったので、当時は相対性理論を理解するのに大変苦労しま

した。

相対性理論に関しては原文や論文を読んだのではなく、科学雑誌や本を何冊か

読んで勉強しました。

私の説明でおかしな所があったら、ご指摘下さい。

また、補足説明などもありましたらメールでお寄せ下さい。

メールはこちら→ fujiken@mvb.biglobe.ne.jp

最後に「まぼろし」さんからの返事を載せておきます。

●「まぼろし」さんからの返事

回答ありがとうございます。難しいですが分かった気がします。
時間を光で定義すると、そのように動いているものの光は、鏡に当たって戻る
光の軌跡はV字型になり、その分だけ光の一往復が遅れるということですね。
そして一秒(時間)の幅が広まって結果的に7秒短くなったのですね。

物理面(ベクトル関係)から質問をしようかと思ったのですが、「光速度不変」
ということで解決しました。なぜ不変なのかは難しそうなのでやめておきます。
 
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■「読者からのメール」より■

地球の窒素の起源について「C+O→2N」という核反応を提言された福原さん
からのメールが届きました。

●「福原」さんより

福原です。簡単に国際会議の報告をしておきます。発表は大成功で多くの人たち
の興味をひきました。Scientific America に紹介したい
言って下さった教授もいました。

招待講演をしたノーベル賞受賞者は新しい研究に世界は保守的で多くの妨害が
あることを過去の沢山の例をひきながら紹介し、皆を励まされました。

各国には変わった人が沢山います。
彼らはすごいエネルギーを持っていました。一部同じことを考えていた人
もいました。私は大きな影響を受け、今後時間を惜しみ、些細なこと
には気にせず大道を歩みたいと心に誓いました。
なお、HPは完成したみたいです。

→Fujikenより

福原さんの提言は画期的な発想です。

しかし、いつの日か「C+O→2N」という核反応が認められ、世界に広まる

日がくるかもしれないと私は思っています。

なお、福原さんの論文の和訳が下記のホームページの「CD出版」という所に

載っていますので、興味のある方はご一読下さい。

HPアドレスはこちら→  http://www.cosmic-power.com/

●「イワシゲ」さんより 「ちょっとサイエンス」の感想

はじめまして。イワシゲと申します。
登録して初めての号が「金星の見える期間の訂正」でした。
バックナンバーで確認したのですが
次の日にすぐ訂正されてましたね。

素直で丁寧な対応に「いいメルマガだなぁ〜」
と感心しました。Fujiken さまのお人柄が出ていて
すっかりファンになってしまいました。

僕には三歳の息子がいますが
最近、虫に詳しくなって「ナナフシが好き!」
なんて言ったりしております。(ーー;)
「山小屋の出来事」
http://plaza.rakuten.co.jp/taifu123/diary/200408140000/


他にも機械や自然や星までも興味をもつだろうと思ったら
僕の知識では到底答えられそうもないと気がつきました。

『ちょっとサイエンス』でちょっとずつ知識を
増やし、子どもと自然を五感で楽しめるように
なりたいと思ってます。

→Fujikenより

イワシゲさんありがとうございます。

これからもよろしくお願いいたします。

「ナナフシ」は都会では見られませんよね。

やはり、自然の中で暮らす事によって得られる経験だと思います。

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(補足)17章から20章まで書き直し、なぜMが死んでしまうのか、
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