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● 『ちょっとサイエンス』 2004/10/5
No.202
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● 発行者 Fujiken 毎週火曜日発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。
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■今日のテーマ 「秋の鳴く虫」
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9月から10月にかけて、早いところでは8月下旬から、だんだん涼しくなる
と、日が沈んだ頃から暗い草むらから、いろいろな虫の鳴き声が聞こえてきま
す。一番多いのはコオロギの仲間でしょう。
体の大きいエンマコオロギが「コロコロリーリー」と鳴き、
ツヅレサセコオロギが「リーリーリー」と鳴き、
顔が三角形の形をしたミツカドコオロギも鳴いています。
そして、秋の代表的な鳴く虫と言えば、「リーンリーン」と鳴くスズムシと
「チンチロリン」と鳴くマツムシでしょう。
童話「アリとキリギリス」で有名なキリギリスも「ギースチョン、ギースチョン」
と鳴きます。
少し山などの林にはいると、低木の上に住むクサヒバリが透き通るような声で
「シーシー」と鳴いています。ラフカディオハーン(小泉八雲)は、この虫に
ひかれて「草雲雀」という作品を書いています。
鳴く虫の鳴き方は、片方の前ばねにヤスリのような部分があり、他方の前ばね
の硬い部分をこすりつけて音を出しているのです。また、足をはねにこすり
つけて発音するものもいるそうです。
鳴く虫と言っても鳴くのはオスだけで、その目的はメスを誘うためのもの、
なわばりなき、けんかなきなどがあるそうです。
そして、意外なことに鳴く虫の耳は前足の関節の近くのすねについているの
です。知っていましたか?
(「標準原色図鑑全集2 昆虫」(保育社)参照 )
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■ちょっとコメント■
今から15年ほど前でしょうか、市の研究会で10月の夕方5時頃から緑地
公園に集まって鳴く虫を実際に観察したことがあります。
その時初めて、耳が足についていることを知り驚いたことを思い出します。
いろいろな虫の鳴き声を聴きながら緑地を歩いていると、とても大きな声で
「ガシャガシャ、ガシャガシャ」と鳴いているではないですか!
近づいて草をかき分けて中を見てみると、大きなクツワムシでした。
体格、鳴き声とも大きく鳴く虫の王者と呼ばれています。
私が小学生の頃、隣の空き地で木や草を集めて隠れ小屋を作って遊んでいた
とき、エンマコオロギを見つけ、家に持って帰ってかごの中に土を入れキュウリ
を入れて観察していると、いつの日か、メスが産卵管を土にさしこんで、小さな
白い卵を産んでいるのを観たのを思い出します。
よくスズムシを人からもらうことがありますが、よく聞いてみると、やはりエサ
にはタンパク質も必要だとのことでした。タンパク質がないと共食いをするらし
いです。(私は共食いを観たことはありません。)そして、何度も何度も同じ
親からの子を育てるとだんだん鳴かない虫が出てきたり、体が弱い虫が出てくる
そうです。劣性遺伝の現れなんでしょうね・・・。
最後に恥ずかしい話ですが、先生に成りたての頃、「セミはどうやって鳴くの?」
と生徒に聞かれ、「はねとはねをこすりあわせてるんじゃないか。」と答えて、
後で調べたら、セミは胸の所にふるえている板のようなものがあり、そこから
音がでているのに気づき、あとで訂正したこともありました。
今日はなつかしい想い出話がいっぱいでした。
なぜか心が安らぎ、またまた心おどるひととき・・・。
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■「読者からのメール」より■
●「穴倉」様より メンデルの法則に関して
高校で生物を教えています宍倉と言います。いつも楽しく拝見しております。
メンデルの法則の話ですが、私が読んだ伝記によると、メンデルがエンドウ畑で
なんとなく観察していると、白い花と紫の花が咲いていて、白い花のほうが多い。
数を数えてみたらちょうど3倍であった。広い畑のどの畝で数えてみても、
やっぱり約3倍であったところから、生物の形質には何らかの法則性があるのでは
と閃いたということです。
つまり答えを知っていたと言うよりも、3:1になると言うところから研究が始
まっているのです。その理由を解明するために、遺伝子と言う存在を仮定し、
さらにそれが2つ1組で構成され、両親から1つずつもらえば3:1になるという
ことを考えたのだと言うことです。但し、中には3:1にならない形質もあり
(連鎖していたと思われるもの)、それは敢えて研究から除外していたところも
あったようです。
しかし、当時の生物学者たちは、一介の修道院の教師の言うことなどにはまともに
耳を貸さず、さらに、当時の生物学が観察中心の博物学の域を出ておらず、生物は
数字や記号で説明できるものではないと、一蹴してしまったということです。
生物学者たちに数学的発想が全く出来なかったと言うことです。
(集英社「栄光なき天才たち」第2巻より)
→Fujikenより
うなずける話ですね。
3:1を知っていたというか予想していたと言うことですね。
メールありがとうございました。
●「小笠原」様より ちょっとサイエンスのバックナンバーについて
サイエンスのメルマガを探し出し、バックナンバーを最初から見始めた読者の
小笠原です。
バックナンバーNo.7(2000,11,05)の単位についてですが、
キロの k が大文字の K になっていました。 SI単位系では、大文字と小文字を
ハッキリ使い分けています。(例:M=メガ、m=ミリ)
キロは小文字が正しかったと記憶しています。 些細なことでスミマセン。
これだけの情報をまとめるのは、たいへんなことだと、敬意を表します。
(文献が手元にない海外の職場にて)
→Fujikenより
No.7のkはすぐに訂正します。
ご指摘ありがとうございます。それも海外で読んで下さっているなんて
うれしいですね!
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