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●   『ちょっとサイエンス』  2004/9/21   No.200  
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●    発行者 Fujiken      毎週火曜日発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。

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■今日のテーマ  「科学史『生命の探究』」
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古代の人々は魂を生命の源であると考えていました。

古代エジプトでは、死とは魂と肉体が分離することであり、魂は永遠のものと
信じられていました。

魂は帰るべき肉体があれば、一体化して永遠に生き続けることができるのです。
そこで遺体を完全に保存するためのミイラがつくられたのです。

ギリシャのアリストテレスは、様々な生物の観察を行い「生物学の祖」ともよ
ばれています。彼は、50種の動物を解剖し、300種の動物を分類しました。
(この時、クジラをほ乳類に近いものと位置づけています。)
しかし、アリストテレスも霊魂を用いて、生物と無生物を分類しています。

霊魂を用いて生命活動を説明することは、17世紀まで続きました。

1500年ごろ、レオナルド・ダ・ビンチは精密な人体解剖図を作成し、
1590年ごろ、ヤンセン父子が顕微鏡を発明し、新しい生命の探究が始まりました。

1628年、イギリスのハーベイは「血液循環説」を発表しました。
血液が心臓のポンプ作用によって体中を循環しているというもので、
動物の体のはたらきについて初めてなされた合理的な説明でありました。

1600年代に入ると、偉大な顕微鏡観察者が何人も現れ、生命の本質につい
ての概念は革命的に変化しました。

オランダのレーウェンフク(1632〜1723)は200倍以上に拡大できる精巧な
レンズをつくり、顕微鏡を広く普及させました。
はじめて動物の精子や微生物の研究をしたのがレーウェンフクです。

イギリスのロバート・フック(1635〜1703)が1665年に著した『顕微鏡図譜』
には、鉱物、植物、動物のみごとな図が納められています。
なかでもコルクの構造図は重要で、有名です。
彼は、細胞壁がつくる小さな無数の部屋を「cell」と名付けました。
それはのちに、「細胞」を意味する語となりました。

細胞があらゆる生物に共通した基本構造であることが分かったのは、19
世紀に入ってからであり、1838年にシュライデンが植物の細胞説を提唱し、
1839年にシュワンが動物の細胞説を提唱しました。

生命観を大きく変化させたもう一つ事件は「進化」の概念の登場です。
それまでは、種は固定されたもので種の形質は決して変化しないとされて
いました。
しかし、何人かの博物学者は生物の進化を予感していました。

スウェーデンのリンネ(1707〜1778)は多数の生物の分類を行って、
二名法を導入し、生物を属と種に配列しました。
彼はある種を他の種から区別するのがたいへん困難なことを知り、一つの属の
すべての種は最初は一つの種を形成していたと結論づけたのです。

イギリスのダーウィン(1809〜1882)の『種の起源』は1859年に発表されました。
ダーウィンは1831年に海軍の測量艦ビーグル号に乗り込み南半球を航海しました。
これは、彼にとって重大な航海でした。
なかでもガラパゴス諸島の生物は彼に大きなインパクトを与えました。
この地域にのみ生息するフィンチは多様で14種類も存在しました。
彼はこの鳥は昔大陸から渡ってきて、すむ環境に合わせて口ばしなどに変化を
起こし14種類に分化したと考えました。

彼の「進化論」が発表されると、賛否両論を含む大きな反響が巻きおこりました。
とくに宗教界の反対は強く「人間の祖先をサルだなどというのは聖書の教えに
そむき、神をけがすおそろしい罪である。」と責め立てました。

ダーウィンは進化の素材となる変異の原因が説明できないと語っていました。
しかし、その遺伝の法則は1865年にオーストリアのメンデル(1822〜1884)が
発表していたのです。
発表された当時、メンデルの遺伝の法則は注目されず、再発見されたのはそれ
から30年あまりたった1900年、メンデルの死後のことでした。

一方生物の自然発生の可能性については、17世紀以来実験的な討論が多数
なされてきました。

1861年、フランスのパスツール(1822〜1895)は、「スワンの首のフラスコ」
を用いた有名な実験を行って生物の「自然発生説」を完全に否定しました。

「すべての生物は生物によってつくられる。」と結論づけたのです。
しかし、進化論によれば、生物進化の過程を逆にたどると、地球上における
最も原始的な生物に行き着きます。
では、最初の生命はどのように生じたのでしょうか。

その後、ソ連のオパーリンが1937年「生命起源説」を発表し、原始地球の状態を
想定し、原始生命体を構成する有機物がどのような過程で生じたかについて述べ、
現在も生命の起源についての研究が進んでいます。

1950年ごろになると生命現象の基本が分子レベルで理解されるようになりました。
1944年アメリカのエイベリらは遺伝をつかさどる物質がDNA(デオキシリボ
核酸)であることを発見しました。
当時、遺伝物質はタンパク質であるとの考えが根強く、その考えが認められる
には多少時間がかかりました。

1953年ワトソンとクリックがDNAが二重らせん構造であることを発見しました。
これは、遺伝物質の複製機能と、遺伝情報の保持、その発現のしくみが説明
できる画期的な発見でした。
これを境にし、遺伝学はメンデルの染色体レベルから分子レベルへと移行しました。

分子生物学の登場は新しい技術であるバイオテクノロジーを生み出しました。
これによって従来の科学的な生命観は大幅に変ぼうし、生命現象を物理学や
化学と共通の用語で説明し理解することが可能となりました。
生物学はこれからも飛躍的な発展をとげるでしょう。

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紀元前 B.C.350ごろ アリストテレス 生物学の祖

0〜1600
    1500ごろ レオナルド・ダ・ビンチ 人体解剖図を作成

    1590ごろ ヤンセン父子 顕微鏡の発明

1601〜1800
    1628   ハーベイ 血液循環説を発表

    1665   ロバート・フック コルク切片による細胞を発見

    1673   レーウェンフク 精子の発見、微生物の研究

    1735   リンネ 「自然の体系」をあらわし
              生物の二名法(属・種)を提唱

1801〜1900
    1859   ダーウィン 「種の起源」をあらわし、進化論を提唱

    1861   パスツール 生物の自然発生説を否定

    1865   メンデル  遺伝の法則を発見

1901〜
    1937   オパ−リン 生命起源説を発表

    1944   エイベリ  遺伝物質がDNAであることを発見

    1953   ワトソン、クリック DNAの二重らせん構造を解明

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(参照 科学雑誌「ニュートン」)

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■ちょっとコメント■

「ちょっとサイエンス」の創刊は2000年9月29日で、早いもので、もう

まる4年経つことになります。そして、今日No.200号に達しました。

最初は読者が1500名から始まり、途中でウィクリーマグマグで紹介され,

一気に4000名になり、さらにまた1年後ウィクリーマグマグで紹介され

一気に7000名になり、徐々に読者が増え、1ヶ月ほど前にマグマグのトップ

ページの「メルマガ定食」の「ものしりセット」に採用されて、また徐々に

読者が増え、9月18日現在10400名の読者になりました。

これも、読者から送られるメールによって励まされ、刺激を受けることによって

続けられたものだと思っています。

私の日課はメールチェックをし、読者からのメールが来ていないか調べ、

終末は「ちょっとサイエンス」の記事を書き、配信予約することが楽しみに

なっています。

どこにいくのでも、「ちょっとサイエンス」のテーマはないだろうかと考え

ているのが、この「ちょっとサイエンス」を続けてこられた秘けつだと思います。

これから、5年目に入りますが、ますます頑張って「ちょっと面白く」

「ちょっとためになる」「ちょっとサイエンス」をよろしくお願いいたします。

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