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● 『ちょっとサイエンス』 2001/1/5
No.16
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● 発行者 Fujiken 毎週金曜日発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。
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■今日のテーマ 「江崎ダイオード」
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江崎氏は1925年大阪府に生まれ、東京大学理学部物理学科を卒業しました。
東京通信工業(現在のソニー)で研究を続け、ノーベル賞受賞時は、アメリカ
のコンピューターメーカーIBMの研究員でした。現在は筑波大学の学長です。
1947年に真空管に変わってトランジスタがアメリカのショックレー博士等
により発明されました。しかし、トランジスタの材料であるゲルマニウムやシ
リコンの純度を上げることに技術者たちは大変な苦労をしました。
1957年、江崎玲於奈博士は不純物を多く加えることで新しい現象が起こる
ことに注目し、それがトンネル効果とよばれるものであることを確かめ、その
現象を利用した「エサキダイオード」を作り上げました。
当時、誰からも注目されませんでしたが、やがて半導体分野ではトランジスタ
以来のもっとも偉大かつ革命的な発明である評価されるようになりました。
1973年、江崎博士はこの発明によって我が国で3人目のノーベル物理学賞
を受けられました。現在のコンピュータの核であるLSI(大規模集積回路)
が開発されるまでの永い間、トランジスタやダイオードそしてIC(集積回路)
が相次いで発明されましたが、これらの科学技術の基盤となる発明だったので
す。
●トンネル効果
原子核内の核子(陽子・中性子)は強い核力を受けて核内に閉じこめられてい
ます。これは核子の場のポテンシャルが壁のように取り巻いているためと解釈
できます。
古典力学によれば核子の運動エネルギーのレベルがポテンシャルの壁より低け
れば核子は絶対に外へ出られません。
しかし、量子力学によれば核子の運動エネルギーのレベルが壁の高さより低く
ても核子が外へ脱出する確率がわずかながら存在し、その確率はポテンシャル
の壁の形から計算できます。
核子が壁を貫通する意味でこの現象をトンネル効果といいます。
●エサキダイオード
トンネル効果を応用したPN接合ダイオード。
増幅、発振、検波などに用いられ、スイッチングが高速なので、超高速パルス
回路、論理回路、記憶回路などに使用される。
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■ちょっとコメント■
日本の大学を出た後、日本で研究を続けるのはもの足りず、アメリカなどに行
って研究する人が多くなり「頭脳流出」と言われています。
江崎博士がその一人で、ノーベル賞受賞をきっかけに、国内で十分な研究がで
きる条件を整えるべきだという意見が増えました。
今年第1回目は、ノーベル賞受賞者シリーズその3から始まりました。
どうしてもむずかしい内容になってしまいごめんなさい。
今年も「ちょっとサイエンス」をどうかよろしくお願いします。
さて次回は、No.17「福井謙一のフロンティア軌道理論」をお届けします。
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