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●    『ちょっとサイエンス』      2000/12/29 No.15  
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●     発行者 Fujiken         毎週金曜日発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。
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■今日のテーマ  「朝永振一郎のくりこみ理論」
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朝永氏は、第三高等学校の同級生である湯川秀樹氏と共に京都帝国大学理学部
物理学科に入学し、卒業後は大学に残って理論物理学や量子力学の研究を行っ
ていました。

1931年朝永氏は理化学研究所の仁科芳雄研究室に参加し、当時発見された
ばかりの中性子や陽電子、核力、宇宙線などの研究を手がけます。

1937年にドイツへ留学し、ハイゼンベルグに師事、原子核理論の研究を
行いました。

帰国後は場の量子論の相対性論的定式化や「超多時間理論」さらに「くりこみ
理論」の研究を進め、1947年に発表しました。

この業績によって朝永氏は世界に知られるようになり、
1965年ノーベル物理学賞を受けています。

●超多時間理論

場の量子論において相対性理論の要求を完全に満足する理論形式。
1932年ディラックが提唱した多時間理論(相互作用している電子一つ一つ
の独立な時間を与える)が電子の生成、消滅を含まない欠点をもつのを改め
時空間内の一点一点に時間を与えて基礎方程式を立てたもの。

●くりこみ理論

量子電磁力学において、電子と電磁場の相互作用を量子論的に扱うと、電子
自信がつくる場の反作用により電子の質量や電荷の値が無限大になってしまう。
そこで理論から得られる質量と電荷の値を実験値と置き換えるとすべての
物理量に有限値を与えることができる。
この方法をくりこみ理論という。

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■ちょっとコメント■

朝永氏は、いつ勉強するのかという質問に
「早寝するので夜中に目が覚めるから天井を見つめながら考える。」
と語ったと言われています。

ドイツ滞在中の日記「量子力学と私」(岩波文庫)には

1938年11月17日
朝からいんうつな気分。湯川から第4の論文が来る。坂田、小林、武谷と
四人の共同のである。これを見てまたゆううつになる。そしてこんなことを
何回くり返しているかと思う。それから計算にかかるがうまくいかない。
渡辺が来て学校へ来ないが病気ではないかという。(中略)
やはり実験とは合わない(後略)

と、実に赤裸々に思いのままを書いています。

ノーベル賞受賞の理論を説明するのはむずかしいですね。
特に量子論や相対性理論に関することなので、正直言って私自身もばく然と
しかわかっていません。
どもそれでいいんじゃないでしょうか・・(納得)。

さて、次回は No.16「江崎ダイオード」をお届けします。

今年はこれで終わりですね。

それでは、皆さん良いお年をお迎え下さい。

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■読者からのメールより■

●「山口@モバイル放送(株)」さんより

12月22日付けメルマガNo.14「湯川秀樹の中間子論」のなかで、

「中間子には2種類あり、そのうち重くて寿命の短い方が核力と関係し、
 軽くて寿命の長い方が宇宙線と関係していることもわかりました。」

とありますが、歴史的記述としては当時はそのように捉えられていたのは
事実です(二中間子論等)が、現在では、軽くて寿命の長い粒子は中間子
ではなく、レプトン(Lepton)と呼ばれる軽粒子の一種であり、
電子の仲間であることが分かっています。
ご参考迄。

→Fujikenより

素粒子論については、昔の知識しかありませんでした。
今は、もっと詳しく分かっているのですね。

改めて調べてみると、湯川秀樹が予言し、発見されたのはπ中間子で、
現在はK中間子など20種以上の中間子があるようです。

さらに、素粒子のうち、強い相互作用を行うものをハドロンといい、
ハドロンは半整数スピンのバリオンと、整数スピンの中間子とがあります。

また、レプトンとは強い相互作用に関係しない半整数スピンをもつ素粒子
のことで軽粒子ともいいます。
電子・ミュー粒子・タウ粒子と三種のニュートリノがあります。

素粒子論は難しいですね。もっと勉強していつかテーマとしてとりあげて
みたいとおもっています。

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