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● 『ちょっとサイエンス』 2003/4/8
No.122
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● 発行者 Fujiken 不定期発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。
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■今日のテーマ 「光電効果」
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真空中で金属面に波長の短い光、例えば紫外線、X線、γ(ガンマ)線などを
当てると、金属の表面から電子が飛び出します。この現象を「光電効果」とい
い、飛び出す電子を「光電子」といいます。
光電効果によって生じる光電子の数や運動エネルギーを調べると、あてる光の
強さや振動数と、金属の種類によって異なり、次のような特徴があります。
1,光電子を出すことの出来る最小の振動数(または波長)は金属の種類によ
って決まっていて、それ以下の振動数の光では、どんなに強い光を照射し
ても光電子は生じない。
2,金属面を照らす光の強さ(照度)に比例した数の光電子(電流の強さ)が
生じる。
3,光電子のもつ運動エネルギーは、光の強さに関係なく、照らす光の振動数
と金属の種類によって定まり、振動数が大きいほど(波長が短いほど)、
運動エネルギーの最大値が大きくなる。
この「光電効果」の現象について、アインシュタインは1905年プランクの
量子説を取り入れ、光は波動性をもった粒子であるとして「光量子」(または
光子)というものを考えて説明しました。
光量子は、その振動数(ν)(ニュー)にプランク定数hをかけた、hνのエネ
ルギーを持っている。
金属内から光電子が外に出るには、金属の種類によって決まっている仕事Wが
必要だから、飛び出した光電子の運動エネルギーは
2分の1×m×Vの2乗=hν−W
となり、光電効果を起こすためにはhν>Wになるような振動数ν以上の光を
あてなければならないということになります。
「光の本質は何か」という問題は、物理学の発展とともに、いろいろと論じら
れてきました。
はじめは、ホイヘンスの波動説(1678)とニュートンの粒子説(1704)が対立して
いましたが、その後、波動に特有な性質として、干渉、回折の現象を示すヤング
の実験(1801)が行われ、偏光現象から横波であることがわかり、さらに、光が
電磁波であるというマクウェルの理論(1864)などから、光が波動であることは
確定したように思われましたが、ハルバックスによる光電効果の発見(1888)以来
光が波動説では説明できないところから、アインシュタインの光量子説(1905)
が生まれ、再び光の粒子説がとりあげられるようになりました。
現在では「光は波動性と粒子性をともにもつものである」と考えられるように
なっています。
(解明 新物理学 文英堂 参照)
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■ちょっとコメント■
光電効果では、光量子がhνというエネルギーを持ち、それが、光電子が金属
から飛び出す仕事Wを越えるνでなければならないということと、連続した波
のエネルギーではなく、必ずh(プランク定数)をかけた、かたまり(粒子)
とするエネルギーとして考えるところがポイントだと思います。
アインシュタインはこの「光電効果の光量子説」でノーベル賞をとったのです。
同時に発表した、いわゆる「特殊相対性理論」や「ブラウン運動について」で
はありませんでした。相対性理論はまだ世界を納得させられるような状況では
なかったと聞いています。
光の波動説と粒子説を簡単にまとめてしまいましたが、これは改めて「テーマ」
にしてもよい大きな問題です。
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■読者のメールより■ 前回のコピー機のしくみにおけるコロナ放電と
光電効果について
●「プレイリー」さんより
コロナ放電とは、いわば電荷の「ふりかけ」です。高電圧により電荷をドラム
表面に一様に振りかけて、いわんば電荷の「ころも」を着せるのです。で、そ
こに光を与えて、電荷を発生させて、ころもの一部を吹き飛ばします。光の粒
子よる個別攻撃ですね。残った電荷が文字なり図形なりの形になっていますか
ら、そこにトナーを付着させるのです。
●「山下」さんより
コロナ放電によって放電電流が流れ。電子が感光体にたくさん集まるのでしょ
うね。そこに光があたると、あたった部分にある電子が光のエネルギーを受け
取って感光体から飛び出すのが光電効果なのでしょうね。
→Fujikenより
お二人の説明はほぼ同じだと思います。
コロナ放電で帯電、光電効果で感光体に像を造るということのようですね。
他にも詳しい説明をくれた大学生のAさんなど、いろいろな情報ありがとうご
ざいました。
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