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● 『ちょっとサイエンス』 2003/3/11
No.118
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● 発行者 Fujiken 不定期発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。
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■今日のテーマ 「レンツの法則はあまのじゃく」
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コイルの中の磁界を変化させると、コイルに電圧が生じます。これを
「電磁誘導」といい、電磁誘導によって流れる電流を「誘導電流」といいます。
具体的に中学校で教えるときには、コイルに磁石を近づけたり、離したり、
または、磁石をコイルの中に入れたり、出したりして、検流計(ガルバノ
メーター)がどちらの向きに振れるか調べる実験をします。
このとき、磁石の動きと、誘導電流の向きの関係を表したものを、
「レンツの法則」といいます。レンツの法則の内容は
「誘導電流は、その電流によって生じる磁界が外から加えられた磁界の変化を
さまたげるような向きに流れる。」
というものです。
このままでは、中学生は何のことかよくわからないのが実体です。
そこで私は、コイルにN極が近づく時、離れる時、S極が近づく時、離れる時
の図を書きこんな風に教えています。
N(S)極が近づくとコイルに「あっちいけ」という磁界ができ、
N(S)極が遠ざかるとコイルに「こっちこい」という磁界ができる。
図がメールでは書けないので理解しにくいでしょうが、1例だけ説明すると
N極がコイルに近づくと「あっちいけ」という反応がおこり、近づけたコイル
の方にN極ができるのです。
そして、N極が遠ざかると「こっちこい」という反応がおこり、離したコイル
の方にS極ができるのです。
電磁誘導ってまるで「あものじゃく」ですね。
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■ちょっとコメント■
現在の電磁誘導では、磁石の動きによって電流の向きが変わるという点だけ
おさえておくことになっているので、「レンツの法則」は教えないでよいよう
になっています。
しかし、私はいつもこのようにして教えています。
「なぜ向きがかわるのか?」という問いかけに「レンツの法則」は答えを返し
てくれるのです。これって「理科の基本」だと思うのです。
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■読者のメールより■
前回の「電池の直列つなぎと並列つなぎ」についてメールを頂きました。
●「少伯」さんより
今回のちょっとサイエンスについてですが、電気を水にたとえるのは良く行われ
ることですが、私なら「ポリバケツ」または「ポリタンク」でたとえ話にします。
たとえ話ですので正確ではないですが「電流」を「水流」、「電圧」を「水圧」
のように対比して考えると分かりやすいと思います。
直列につないだ電池は、二つのバケツのうち一方の底に穴をあけ縦につなげた状
態に水を満たし、その底にドレーン(コック付排出口)のようなものがついてい
ると想像してみてください。
ドレーンから出る水はドレーンの開口部から水面までの高さに応じて(比例して)
多くなります。つまり、水面が高くなるほど水圧(電池で言うと電圧)が高くな
ります。また、コックを開いた時、水流(電池で言うと電流)も多くなります。
並列では、それぞれのバケツを横に並べただけと考えればいいです。つまり、水
圧は一つの時と変わりません。
テキストですので、うまく書けませんが、図で表したほうが納得しやすいと思い
ますので、書いてみました。
1.直列の場合
┃ ┃
┠────┨
┃ ┃
┃ ┃ 2.並列の場合
┃ ┃
┃ ┃
┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┠────┨ ┠────┨
┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
水←─〓 ┃ 水←〓 〓〓〓〓 ┃
┗━━━━┛ ┗━━━━┛ ┗━━━━┛
1.では2.の2倍の水深があるため、水圧(電圧)は2倍になりコックを開いた時
(電気を通した時)の水流(電流)も2倍になります。
2では、1より水圧(電圧)は低いですが、容量は同じなので水量が半分になる分
2倍長持ちすると考えます。(倍数は正確な表現ではないですが、中学生用なら
近似的に認められると考えています。)
●「S」さんより
ちょっと違うと思うので少し反論させていただきます。
同じ電圧,同じ電流であれば2倍長持ちをすることはなく,
全電池の持つエネルギー(ぼぼ電圧かける電流かける時間)は,おなじはず。
強いてあげるなら,電池の内部抵抗は,直列の場合は,単純に足し算,
並列の場合は,足し算分の掛け算になります。
わかりやすく説明すると,ひとつの電池の内部抵抗が1であるとしましょう。
直列の場合は,1+1=2
並列の場合は(1×1)/(1+1)=1/2
ということで内部抵抗は,1/4になります。(内部抵抗だけですよ)
それで長持ちするだけで,同じ条件(電圧・電流)なら長持ちはしません。
エネルギー保存則は、大切ですよ。
→Fujikenより
中学校レベルでは、内部抵抗は考えなくて良いと思います。
しかし、感覚的に分かりやすい、「少伯」さんのモデルと
実際の場合とでは、違いがあるという「S」さんのような意見があることを
知っていなければならないようです。
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