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●   『ちょっとサイエンス』   2002/11/7   No.100  
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●    発行者 Fujiken        不定期発行
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毎回、科学に関するテーマをとりあげて、雑学的な知識を送ります。
なるほど!と納得し、知ることの喜びを感じていただけたら幸いです。

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■今日のテーマ  「絶対時間・絶対空間」
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絶対時間とは、「絶対的な真の数学的な時間は、その本性に従って、一様に

外部の何ものにも無関係にそれ自ら流れていくものである。」というように

ニュートンは説明しています。これは、我々が時間は正の方向に一様に流れて

いるという当たり前のことを指しているように思えられるものですが、

アインシュタインの相対性理論が発表される少し前に、マッハという人が

「それは実用の価値のない無用な形而上学的な概念だ。」と批判し、温度計で

温度を測るのと同じように、地球の自転角や力の働いていない物体が通過する

距離というものを選んで使うことによって形而上学的なあいまいさは消滅する

と言っています。

さらに、「絶対空間は、それ自信の本性によって外部の何ものにも無関係に

いつも同一のまま静止いている。」というニュートンの絶対空間の概念に対し

マッハはそれは経験の中に決して現れることのない単なる空想の産物であり、

ニュートンが事実だけを研究するという彼の方針に反した行動だと批判します。

そして宇宙全体に充満している何らかの媒質(エーテル)が将来経験にかかれ

ば、絶対空間というあいまいな考えよりもずっと自然科学的な価値のあるもの

になると言っています。(エーテルは結局マイケルソン・モーレイの実験で否定

されました。)

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■ちょっとコメント■

アインシュタインが相対性理論を発表する少し前に、エルンスト・マッハと

いう人が、ニュートン力学の絶対性というものを排除し、経験主義・実証主義

操作主義・相対主義(これらをマッハ主義という)でマッハ力学という力学を

完成させていました。

絶対時間・絶対空間の否定はその中の一部であり、マッハ主義がアインシュタ

インの相対性理論に与えた影響は大きいというのは、多くの物理学者・哲学者

の指摘するところです。

私は、大学4年の時に「科学史」という研究室に入り、マッハを研究し、卒論

は、「相対性理論に与えたマッハの影響−マッハの科学的方法論(マッハ主義)

とは何か−」でした。

しかし、中学の理科の教師になってからしばらくして、中学生には相対性理論

の哲学的側面は合わず、ニュートン力学だけ教えればよいというと思うように

なりました。

この「ちょっとサイエンス」でも相対性理論、量子力学は、難解であるという

理由でテーマとして取り上げて来なかったのです。

しかし、「ちょっとサイエンス」100号記念として少しだけ触れようと思い

絶対時間と絶対空間のみ取り上げました。

読者も7000名を越え、中学生にもわかるような「ちょっとサイエンス」

を目指してこれからも頑張りますので、よろしくお願いします。

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