護摩壇山(1372m=05・03・26)

和歌山県の最高峰だが、高野竜神スカイライン脇にあって駐車場から約10分で登れて登れてしまう。登山の興味はまったく失われているが、それでも和歌山一ということで、登っていく人がいる。                        

  以前にも通りすがりに登ったことがある、たしか伯母子山からの帰途だったような気がした。今回は果無山脈へ行く途中に立ち寄った。春というのに積雪があって、山頂近くでは20センチくらい靴が沈んだ。真っ白の雪がよかった。そういう意味では、高い山には高い山なりの風趣がないわけではない。    

山頂にはトーテムポールのような細工物と庵が建っている。吹きさらしで展望もよくない。本当の山頂は、そこよりも数十メートル奥の無名の盛り上がりだという人がいた。そうかもしれない。 しかし、わざわざ近寄っているまでもない。あまりにもアクセスが簡単になった山には、畏敬の念まで薄くなってしまうかんじである。                                                   


    鳥見山 (735m・奈良県)

   


  新春を迎えた登山愛好者には特別な楽しみがある。干支にち
なんだ名の
山を捜して登る干支の山巡りである。                                

 
 
酉年の今年は、昨年の
申と違って山にこと欠か

ない。鳥海山(秋田・山形)、燕岳(長野)、鳳凰

山(山梨)、、、各地に散在する烏帽子岳(山)など

目白押しといってよい。                      

 関西では歴史と文化を誇る奈良県南部の鳥見山

が、日帰り山行に好適。 まずは榛原駅から旧宿

場町の家並みを数分歩き、菟田川沿いの古代神を祭

る墨坂神社に寄る。興味深いことに境内にある鳥

居が遥か北の鳥見山と真正面に向き合っている。

前方の右手に大和富士の異名を持つ優美な額井

岳。その稜線を左に香酔山、貝ケ平山を経て再び

盛り返しているのが目指す鳥見山だ。

町並みを抜け山に向かう。舗装された林道を嫌

って地道をとるが、すぐ林道に合流、やがて中腹

の鳥見山公園に着く。

休憩所にある扁額によると、この山の伝承は歴

史を一挙にさかのぼる。日本書紀に伝説の天皇、

神武帝が当地で皇祖を祭ったという記述があると

いう。

それにちなんで木立の

かに「鳥見山中霊▼跡」

(とみやまなかまつりの

にわあと)と称する大き

な石碑。鯉が泳ぐ勾玉池、
そして朱塗りの鳥居は墨

坂神社の分社、鳥見社と
いった、なにやら神さび

た雰囲気。

二箇所ある展望台はじ

南向きの斜面から大和

盆地を見下ろす眺望は圧

巻。山水画をパノラマふ

うに見るようだ。

この時期、登る途中の地道に霜が降りていたが

冷え込んだ朝は町並みや山谷の狭間に雲海のよう

に幻想的な白い霧が立ち込めていたのだ。

遠く盆地をはさんで遠望できる大和三山や金剛

葛城山系、あるいは大峰山へと続く吉野の山並み

が、大海原に浮かぶ大小さまざまな島のよう。居

合わせたカメラファンがシャッターチャンスに一

喜一憂していた。この朝霧は見逃せない。

 公園から頂上に向かう山道の道標に万葉歌人、

山部赤人の墓所五`とか長谷寺六`などとある。

静かな林で突然、カケスの羽音に驚かされる。

 山頂に着いたと思ったら、これが前山。いった

ん深く下って登り返した。このV字型の稜線が遠目

には鳥が翼を広げたように見えて、山名の由来に

なったらしい。

再度の高みに半ば埋没した四等三角点の標石を

見つけた。山頂は杉林のなかで視界は望めない。

 公園管理事務所の男性は「昔は大雪が降ったが、

近年はすぐ溶けるベタ雪ばかり。真冬でも登山は

大丈夫でしょう」と話す。

 「飛翔」の干支に思いをこめた新春山行、朝霧

の美景がいつまでも後を引いた。

(文・写真 藤田健次郎)

   は田へんに寺

鳥見山の読みは 「とりみやま」と

「とみやま」の二種類ある。地元では

公園名は後者、山は前者を使っている。

ガイド

大阪・上本町駅から近鉄大阪線榛原駅まで約五

十分。墨坂神社に立ち寄るなら駅南側商店街へ。

山に直行なら駅北側から新興住宅地へ。町角に「

鳥見山公園」への道標が行き届く。約一時間で公

園着。春はツツジ、秋は紅葉の名所。山頂にはあ

と半時間登る。

登頂後、人気があるのは東海自然歩道を初瀬ダ

ム(まほろば湖)を経て西国三十三ケ所観音霊場

第八番札所、長谷寺まで歩くコース(約八キロ)。

登山情報問い合わせ 榛原町公園課電0745・

82・2413



 岩湧山 (大阪府) 897m

 大阪では珍しくオシドリが群れて越冬する河内

長野市の滝畑ダム湖。その湖畔から山陵に視線を

上げると、唯一、なぜか白い山頂が望めるのが岩

湧山。





















 金剛生駒紀泉国定公園・内の雄峰。でっかい山体    

と大阪湾を望める展望のよさが抜群の山である。

なかでも、秋から野焼きの三月中旬まで山頂部

を覆いつくすススキ(茅)の銀穂は目を奪う壮観、

風に揺れる穂先の波は実に美しい。

 ダム湖南端のトイレ横から縦走路「ダイヤモン

ド・トレイル」を登る。はじめは杉の植林帯。丸

太や石積みの階段状の道。急な斜面を何度も九十九

折して高度をあげていくが、せせらぎの音が耳を

離れない。ダムに注ぐ光滝の清流の音がいつまで

も追いかけてくる。

やがて植林帯から冬枯れのクヌギやコナラの雑

木林に樹相が変わる。黄葉や褐葉した落ち葉が山

道を敷きつめて山靴の下で乾いた音を立てる。シ

ジュウガラが餌を求めて枝を渡り、ピ、ピッとさ

えずっている。陽だまりのハイキングにもってこ

いの静かな山域の風情。

急に視界が大きく開けて伐採地の斜面に出る。

深い千石谷を挟んで雄大な南葛城山が立ちはだか

るように迫ってくる。

高圧線の鉄塔下をくぐり、再び杉の植林帯。昼

なお暗い密植林を抜けると、ようやくススキの穂

が波打つ山頂直下に立つ。

背丈をゆうに越すススキの群生がおわんを伏せ

たような斜面を埋めつくす。湖畔から山頂が白く

見えたわけは、このススキの穂波のせいなのだ。

この山頂部のススキの群生地(約八f)は、滝

畑地区の人々の区有地で、「キトラ」と呼び習わし

ていると山頂の案内板にある。

平地のススキと異なり、ご当地のは、細くて、し

なやかな柔軟性に富む。文化庁からも全国有数の

良質なススキと太鼓判を押されているといわれて

おり、重文クラスの神社、建物の屋根葺きの貴重な

資源となってきた。

往時、さかんな需要があ

ったときに搬送に活躍

した索道(ケーブル)跡を

左手に見ながら、スス

キに囲まれた迷路のような

道をたどり、西峰の山

頂の広場へ。中央に大理石

台の大きな方位盤。

本来の頂上は樹林のなか

の東峰だが、登山者は

展望がきく西峰の広場でく

つろいでいる。よく澄

んだ晴天に恵まれたら、六

甲山系や淡路島、明石

大橋も眺められる。

都市近郊の低山だが、昨年の暮れに降雪があり、縦走路では氷点下にな

るので、冬季は軽アイゼン
と防寒着が欠かせない。

昨秋、中高年登山者に人気の登山家、岩崎元郎さんが「新百名山」にリ

ストアップした。改めて
登山者の話題を集める山になりそうだ。

(文・写真 藤田健次郎)



ガイド

 登山最寄りの駅は南海紀見峠駅か、近鉄・南海

合流の河内長野駅からバスで終点、滝畑ダム下車

のどちらかが一般的。

滝畑コースなら山頂まで2時間弱。頂上にトイ

レ、山小屋はない。山頂先の「急坂の道」を下れ

ば重文多宝塔が建つ岩湧寺や自然観察の拠点、四

季彩館(0721635986月休)。緩い「いわわ

きの道」を登り返して紀見峠駅まで(約7`b)

歩くのも、長い林道(5・5`b)伝い、滝畑に

戻るのも一興。足の問い合わせ・南海バス河内長

野営業所072153.90

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