健忘録 ]U  

      日常の暮らしのなかで体験した
     ド忘れ、モノ忘れ。
     それらを忘れないうちに書いています。

    そのつど記録しておかないと、忘却の虹の彼方へ、 
   永遠に思い出さないからです。

    モノ忘れするも、しないも、生きた証です。
★印は筆者    ☆印は人さまの話




★08年12月某日★忘年会におばさんが欠席した。出席を伝えていた人なのに。最初は場所が分からないのかなとみんなで心配していたが、同じ会場でやった昨年には来ていたという話も出て、結論は忘れたのかなあ、と。みんな身に覚えがあるつわものばかりなので、深く追及しない。

★08年12月某日★大麻をやると、無感動、無気力になると、新聞が伝えている。だとすれば、こちらの精神状態は、すでに大麻吸引者なみだな。大麻をやるまでもない。

★08年12月某日★奥さんと車で出掛けてはりましたな、とおじさんに声を掛けられた。車ですれ違いましたとおっしゃる。どこですか、いつですかと尋ねると、えーと、えーとの連続で、結局、いつどこか、わからなかった。苦笑いのうちに、この話題はうやむや。ご同輩がいて、心強い。

★08年12月某日★最寄りのスーパー銭湯に行った。サウナやジャグジーに身を預けて、ふっくら,いい気分になった。寿命が伸びたような、さっぱりした湯上り。さて、帰宅して、銭湯の名前を思い出そうとしたが、これが出てこない。桜の湯だったか、梅の湯だったか。なーんだ、記憶力の方は全然爽やかになっていないんだ。

★08年12月某日★たしか二日間、出会わなかったおばさんにプールで声を掛けられた。
「もう一月も会ってませんね、どうかしてましたか」と言われたのには仰天した。三日前、阪神タイガースの補強のことを話題にしゃべったはずなのに。おばさんはこちらよりもずっと記憶忘却の先輩なのかな。一瞬、こちらも三日前だったかどうか、怪しくなったから恐ろしい。

★08年12月某日★昨年頂いた年賀状を点検したら、覚えのないところから、年賀状をもらっていたのに気がついた。この人は、どういう関係だったかな、思案している自分がいる。なんだか、怖い話である。

★08年12月某日★09年版のウイルス対策ソフトの更新を試みたが、ダウンロードもインストールもうまくゆかない。昨年も一昨年も同じメーカーのソフトを導入したはずなのに、手順が身についていない。しかたなく、サポートセンターにメールを送り、SOSをお願いした。要するに実績を積む手法が、その場かぎりで身についていないのだ。

★08年12月某日★自宅の郵便番号とか、電話番号がすんなり出てこない。自宅宛に手紙をだすことも、電話を掛けることもない。もっともらしい書面に記入する機会も減ってしまったので、全然、出てこない。しかし、まったく忘れているわけではないらしく、似たような数字が出てくる。むろん、ミスっているので、ダメなんだが、妙は記憶感覚である。




★08年11月某日★年賀状、さて、昨年はどうやって作ったことか。

★08年11月某日★レンタルDVD屋からジョデイー・フォスターの「ブレイブ・ワン」を借りて来て、半ばまで見て、ふっと思った。この映画は、このあいだ借りてきて見た映画じゃないか。パートナーをチンピラ連中に殺されたジョデイー扮する女性がピストルを購入、私刑に走る。犯罪多発のNY、なにもしない警察への対抗手段。西部劇いらいのアメリカ映画が好きな状況映画であるが、主に黒人青年を片ぱっしから銃殺してゆくのが、インディアンを虐殺していった西部劇と重なる恐ろしい内容。それにしても簡単にタイトルを忘れてしまうので、二度借りの失態を演ずることになる。

★08年11月某日★HP作成ということで、いわゆるスタイルシートを学んでいるが、これを自前のHPに応用するアイデアが浮かばない。これでは学んでいる意味がない。どうしたものかな。





★08年10月某日★きのう、結局、何時ごろに寝たのか。わからない。十時には布団のなかにいた。若干本を読んだ。但し、ウイスキーを飲みながらであるから、読んだ本の内容はぜんぜん記憶にないが、いつ眠ってしまったのか、それも定かでない。いよいよ酔生夢死の境地になってきた。

★08年10月某日★ネットや家電量販店でカードで商品を買う。一ヶ月かそこらで利用代金明細書が来る。これが、なんの買い物をしたものか、とっさに出てこない。むろん記憶の引き出しからである。金額をみて、えーと、ナンだったかな。思い出せない。なんでも買うタチでないので、数知れているのに!!。

★08年10月某日★知人が「ロト6」という宝クジを買うという。そんな宝クジは知らない。聴けば、毎週、くじがあって、その抽選番号は毎週、新聞に載っているという。それで金曜日朝の新聞をみたら、ちゃんと載っていた。新聞はけっこう丁寧に見るのだが、気がつかなかった。関心がないことは、目の前にあっても、気がつかないのだ。一事が万事だ。気づかぬkとがいっぱいあるにちがいない。あーあ、という感じ。

★08年10月某日★同窓会の案内が来た。中学の同窓会である。お世話をしてくれているハガキの差出人の名前がわからない。名簿を見ても、面影は濃霧の彼方である。当時は一クラス50人はいたはずだが、くっきり輪郭が浮かぶ同級生はいない。こうなると、同窓会の出席する意味があるのか、どうか。

★08年10月某日★本を読んだあと、次にパソコンのあの記事修正をしなくては、、、などと段取りを頭で考えているが、その頭が、その段取りをすっかり忘れている。見事というほかはない。当面のことが、こうだから、中期的、長期的な計画なんかできるわけがないな、思う。

★08年10月某日★クリント・イーストウッドはいまやアメリカ映画の巨匠だが、若いころ、あの「ローハイド」の常連であったことは失念していた。マカロニ・ウエスタンばかりが、彼の前身ではなかったのだ。

★08年10月某日★熱帯魚屋に行くと、26万円とい高額の魚が売られている。珍しいタイプのアロアナである。この手の魚が取引されていいのかどうか。ワシントン条約に触れるのではないか。しかし、取引禁止、保護されるべき種の名前を忘れてしまった。残っているのは、「、、ではなかったかなあ、どうかなあ」という曖昧な感覚である。こうなると、自信のあるモノ言いができない。トシとともに、明快な会話ができなくなるのは、この感覚のせいであろう。

★08年10月某日★ホームページの勉強会でCSSとスタイルシートは、同じものではないが、いまでは同じように使われていると先生の弁。そのことは覚えているが、どこがどう違う点なのか、その点はすっかり忘れてしまった。二週間足らずで「完忘」である。これは完全に忘れているという造語である。ど忘れは「寸忘」、記憶喪失は「失忘」といえるな。

★08年10月某日★アソウ首相が過去の戦争観を記者団から問われて、大東亜戦争といったという。彼は68歳だから、幼少から日常的に使っていた用語ではないはず。あの第二次世界大戦のなかで日本が関与した部分については日米戦争、太平洋戦争、またアジアでの侵略戦争を踏まえてアジア太平洋戦争と呼ぶのが妥当。彼が大東亜戦争などという当時の軍部政権が呼称したような用語を意図的に使ったとしたら、問題である。大東亜戦争という言い方は侵略戦争をごまかすものであった。こういうのは政治的モノ忘れかな。



★08年9月某日★郵便局で書類にきょうの日付欄がある。いざ書き込むとして、な、なんと日がでてこない 。年と月は出るが、日はどうだったか。局内の壁を見回してもカレンダーがない。あのダサい日めくりカレンダーという奴は,役に立っていだのだ。痛感した。

★08年9月某日★あのですね、インプラントの治療はですね、と歯の治療中という70代男性が訊いて来る。またかいな、と思ったところ、男性の妻が、その話、こちらさんに、このあいだも聞きましたやろ。やんわり水を差す。おかげで、何度目かの同じ話をしなくて済んだ。

★08年9月某日★メタボ健診の通知がきた話から、相撲取りは引退するや、たちまち痩せるね、という話の飛び、それから貴乃花はいまや糖尿病患者のように痩せたね、という話になり、続いて,貴乃花と婚約したことから一時国民的話題にもなった美人女優の話の飛ぶ。あの女優は婚約破棄のあと急速に痩せたが、最近のお茶のコマーシャルなんか見れば、ふっくらといい女に戻っているね、という話になった。ところで、アノ女優さんはなんて名前だったかなという段になって、居わせた数人の男女、だれも黙して語らず。ややあって、あのノドまで出ているんやけど、という女性の悲鳴あり。これでどっと笑いが起きたが、やはり名前を言いだす人がいなかったが、しばらくしてやっとオバサンが言った。宮沢リエ。ああ、そうや、そうや。ああ、しんどやな。トシ寄りの話は。

★08年9月某日★中学の同窓と名乗る男性から住所、電話番号の確認の電話があった。まだ、生きているか、どうかの確認の感じだった。近く同窓会を開きたい、その世話をしているという。ご苦労さんとお礼を言っておいた。男性の名前に覚えがあったが、顔を思い出せなかった。思えば、中学の同窓会には一度も出席したことがない。クラスメートよりも、いやな担任の顔を見たくないというような気分が強かったから。

★08年9月某日★虫歯で特別な治療をしたことを、よそのおばさんに話したら、出合うたびに「歯の具合はどうですか」と訊かれる。一昨日も昨日も、である。歯の具合はそんなにめまぐるしく変化しない。おばさんがきっと親切で訊いてくれるのだろうが、ひょっとしたら、訊いたことをいつも忘れているのかもしれない。

★08年9月某日★同年輩の人と数日後、あるいは二三日後に出合うと、前に合ったときと同じ話題を話していること気付く。時局の話題だったり、歯の治療のこととか、タイガースの野球の話とか。同じことばっかりである。飽きもしないで、というよりも前に話したことを忘れているのである。際限のないループ現象である。

★08年9月某日★アレを調べておこう、アノアノの件どうなったかな。ふだんにやらなければならないことが、ときどき頭の中に浮かぶけれど、ほんの瞬時に忘れしまう。布団に潜って眠る寸前に思い出したりしても、もう面倒臭くて片付ける気にならない。かくして、何事も解決することがない。



★08年8月某日★友人が外国の山に登ってきたと報告してくれた。苦労して登った懐かしい山名に心が動いた。あれは、いつのことだったのか。思い出せないままに、調べてみたら、なんと11年前の夏だった。二三年まえのことのようにも、十数年まのことのようにも思えた。きっちり具体的な歳月の経過をつかめなくなっているな。

★08年8月某日★五輪を見る機会は、そう多くないトシになった。好きな陸上競技の最高水準を見られるチャンスなので、この際、液晶の大型TVを買いたいと思うが、29型の現品がすこしも劣化していないので、迷う。モッタイナイ、省資源、エコ、リサイクル、、、。昨今の環境からみのキーワードもプレッシャーだ。一体、現品は何年前にどこで買ったのか、それすら思い起こせない。

★08年8月某日★ズボンのポケットがクチャクチャ。気持が悪い。紙につつんだガムが溶けていた。捨てるのを忘れていた。

★08年8月某日★本にしろ、レンタルDVDにしろ、読みたい観たいと思って出向いても、タイトルを忘れている。メモなしには、必要なものも手に入らない。

★08年8月某日★もう八月だ。昨年のいまは、何をしていたか。思い出せない。一昨年のいま、何をしていたのか。なにも記憶に残っていない。わずかこの一、二年のことでさえも、気持ちは往時茫々である。かすりもしない。



★08年7月某日★机上の書類をひっくり返していたら、今年度の自動車税の請求書が見つかった。納付期限をすでに一ヶ月以上過ぎている。最寄りのコンビニに持ってゆくと、延滞金が発生しているので、扱えないという。面倒なことに税事務所へ行くハメに。いまいましいことである。

★08年7月某日★パソコンのデスクトップにあるアイコン。何に使うのか、ぜんぜんわからないものがある。しかるべき手順でインストールしたのに、その導入の事情が思い出せない。

★08年7月某日★G8が北海道で開かれる。カナダとEUの首脳の名前が思い浮かばない。世事に疎くなった。社会的関心が失せるのは、認知症症候群の一つだろうな。

★08年7月某日★プールやジムで汗を流したあと、シャワーを使う。頭だけは石鹸をつかってごしごし洗う。かゆいからだ。その石鹸函を持ち帰るのを忘れた、と思った。帰宅してリュックの中身を出して、洗濯機行きと洗面台置きと分ける。そのとき石鹸函がなかった。とうとう石鹸までわすれるようになったか。ところが翌日、運動靴を袋から出したさい、石鹸は靴の中から出てきた。なーんだ。そんなところに隠れていたのか。しかし、この間、なぜ運動靴の中なのか、なんにも心あたりがない。もう、上の空で生きている感じだな。




★08年6月某日★二月の某大病院で胃腸のエコー検査をする予約をすっかりすっぽかして
いたことに気がついた。四ヶ月も経っている。机の上の書類を片付けていたら、予約関係のペーパーが出てきた。診察前日の心得か。むなしいね。ああ、どうしょう、どうしょう。なんでこんな重要な予約を忘れていたのか、ウーム。

★08年6月某日★ロッカーのキーを抜き忘れていた。持って来てくれた青年が笑っていたが、しょっちゅうなので、呆れられているし、哀れんでいられるような気もする。年寄りのひがみ
かな。

★08年6月某日★昔の米映画「慕情」のヒロイン、看護婦(当時の呼称)、ジェニファー・ジョーンズは中国人と白人との混血女性でという役柄設定だったのか。映画の本を読んでいて、今知った。なんども映画を見ていたのに、ぜんぜん記憶にない。

★08年6月某日★「ジューン・ブライド」が欧米で、なぜ好まれるか。昔聞きかじったような気がしたが、思い出せない。あるいは、聞きかじらなかったかもしれない。定かでない。

★08年6月某日★ドナー・F・フェラーズ准将という名前は初耳のような気がする。例のマ元帥の軍事秘書官で、対日占領政策で重要な指南役だったいう。そんな人物の名前が初耳なのかどうか、それがはっきりしない。GHQで辣腕をふるった連中の名前なんか、ちょっとは知っていたのにね。

★08年6月某日★ネットのいろいろなサイトに登録するが、思いつきでパスワードやIDを書き込んでいるので、ぜんぜん覚えていない。いつも「忘れた」項目からやり直しなので、面倒な話だ。定番を決めておくといいのかもしれないが、、、。




★08年5月某日★夜半、目覚めたとき、夕食の献立を思いだそうとするが、,そのつど、これが容易でない。そんなに品数が多くないのに、なぜかまるごと思い出せない。必ず一品が残る。箸をつけた順番、もしくはお膳の位置関係を記憶の皿に並べてみるが、思い出せないものがある。食べてから半日もたっていないのだから、悲惨だ。

★08年5月某日★こちらがお世話になったばかりの、ワケありの人の名前をあっさり忘れていて、赤面する。相手が親しくこちらの名前を呼んでくださっているのに、お返しの返事が出てこないとは、ね。忘却癖は対人関係を悪化させる。

★08年5月某日★雨の日、スーパー銭湯に行った。受付で下駄箱の鍵と交換に脱衣箱の鍵を渡してくれるやり方。つまり、下駄箱の数しか客は入れないのだ。帰途は、その逆で下駄箱の鍵を戻してくれる。ところがポケットのもう一つの鍵。ありゃ、コリャなんだ。とっさにわからず、受付のオバサンに訊く。「そりゃ、カサ置きの鍵でんねん」。そうか、カサ持ってきてたもんね。すっかり忘れている。

★08年5月某日★昔みた映画「ドライビング・ミス・デイジー」はよかった。感動した。偏屈・因業・意地悪・ひがみ、ねたい・そねみの権化になった白人老女が、黒人運転手としだいに心を開いていく作品。アカデミー賞作品賞を取ったもので、最近ずっとあの主演女優はだれだったか、思い出そうとして、どうしても思い出せなった。ビデオ屋で探したが、地味な作品なので置いていなかったが、ようやく見つけて再会した。あの女優はジェシカ・タンディだった。「フライド・グリーン・ポテト」のおばさん役でもあった。感動したことまで忘れている。老いとは悲しい性やな。

★08年5月某日★住んでいるところの管理組合総会があった。かつて運営にあれこれ思案した一人だったが、いまでは議事にかかわることはほとんど忘れていた。立場を退けば、ラクになるのか、無関心になるのか。ただ忘れっぽいだけなのか。問題なく,後者であると痛感した。

★08年5月某日★映画「一番美しく」。黒澤明監督の昭和19年の作品。情報局選定国民映画のお墨つきなので、あのクロサワはどんな戦意高揚の映画を作ったのか、興味があったが、時の戦争推進政府に迎合的でない映画を巧みに作っていて、感心した。女子挺身隊員の寮母役があとで分かったが、入江たか子。美人女優ということで名前も顔立ちも知っているつもりだったが、まったく気づかなかった。解説者の話では,制作時、入江たか子は33歳とか。それにしてはオバサン顔だ、役どころのせいかな。この分では、そのうち原節子も田中絹代の顔も忘れてしまいそう。

★08年5月某日★知人が死んだ。彼は後輩のつもりだったが、年齢は同じであることを初めて知った。ウーン。

☆08年5月某日☆七十代後半の女性の話。八十代初めの姉が、針箱を嫁が隠した、あるいは盗ったというようになった。こんな話は認知症のつきものなので、いよいよ始まったかと思っているとのこと。ただ、別居している姉の暮らしなので、詳しくは知らないが、姉が針箱なんか持っていたかどうか、記憶にない。針箱から財布に変わり、嫁が盗ったというようなことになれば、もう完全な認知症かなとも言う。認知症について、このくらいの知識はふつうのものになったが、そこから先の手立てについては、だれも妙案を持たない。嘆息するばかりである。



★08年4月某日★映画「バッテリー」を見る。モノわかりのいい爺さん役の俳優の名前がわからない。話し方や所作までなんども見た映画やドラマで知っていたはずなのに。エンディングのロールでやっとわかった。菅原文太だった。なんてことだっちゅうね。

★08年4月某日★児童文学者の坪田譲治は鰻が好きだった。ターミナル駅ビルの鰻屋に鰻を食べに行く途中、最寄の駅でイレ歯を忘れたことに気づいた。自宅に引き返し、イレ歯をはめて、再び駅に戻ったとき、財布を忘れたことに気がついた、、、、、こんなエピソードが山口瞳の『江分利満氏の優雅なサヨナラ』に書かれてある。そうゆう山口瞳自身も通院帰りに、あんこう鍋を食おうと奥さんと出掛けて、電車のなかでイレ歯をわすれたことに気付く。どうしたか。すっかり消沈して帰宅する。口の中に納めるものさえ、忘れる。恐ろしいことだな。

★08年4月某日★奈良・桜井の「海石榴市」が、読めなかった。そんなはずではなかった。日本史なり、藤原京なり、小野妹子なり、どっかで引っかかって、これまでに覚えた読み方であったのに。情けない。海石榴をツバキなどと読むのが、オカシイ。由来はなんだ。

★08年4月某日★夜中に腹痛で目が覚めた。ちかごろ珍しい。なにが悪かったのか。一日食べたものを思い出そうとしたが、出てこない。しかし、出てこないふがいなさには気がついている。少なくとも夕飯は三種以上のお惣菜があった。昼飯はこれも三種はあった。朝飯は、これは牛乳、コーヒー、バナナとオレンジ少量だった。食ったものが浮上しないようでは、食あたりの究明はできない。

★08年4月某日★昨夜の夕飯の献立をすらすらと思い出せなくなって、もう長いが、このごろでは、夕飯時に見たTV番組や、そのあと楽しんだ映画のビデオの中身さえ忘れている。ひどいな、これって。わが記憶力が壊滅状態になってきた。地球温暖化問題も、核兵器の拡散問題も、緊喫の問題であるけれど、解体化しつつあるわが身も切迫した非常事態であるな。

★08年4月某日★jジムのカードをまたまた忘れた。もう、自分でも呆れる。自己嫌悪に陥る。自己嫌悪なんて、にきび盛りのような気分にもうっとしい。ジムに行く、カードが必要、携帯しているか、どうか。その一連の(というほどでもない)動作を、出かける前に、なぜ忘れてしまうのか。悲しい春やな。

★08年4月某日★ある団体の敷地内は桜の名所である。団体のメンバー優先のあと一般開放が{17日}からと看板にあった。それを{14日}に見たのに、ああ、もう開放期間が終わって立ち入り禁止のヘイができていると勘違いした。勘違いのもとは、看板を見た日が「14日」でなく、「18日」と思い込んでいたからだ。単純な思い違いに気づかない。それが情けない。

★08年4月某日★ふと思い立って、かつて勤めた会社の先輩たちの名前を順不同で次々に思い浮かべようと努力してみた。約45年くらい前に会社勤めをはじめ、各地、各部署を転々としたが、昔のころの人物の方がよく覚えていた。これは予想とおりだった。しかし、顔と名前が一致しないというか、顔がぼんやりの人が少なからずいた。信頼できた先輩も馬鹿だった先輩も、その差がない。不思議なものだ。

★08年4月某日★記憶力の忘却とやはり関係していると思うのだが、朝、新聞を実に雑に読み流している。つまるところ、世の中のことでも、どうでもいいじゃないか、という気分で眺める姿勢が強まってきた。世事に無関心になりつつあるのは、危険信号である。認知症へまっしぐら、だ。

★08年4月某日★マツザカがよかった。いきなりそう声を掛けられた。とっさにマツザカとはなんだと混乱した。もちろんレッドソックスの松坂のことだが、すぐに反応できなくなっている。プールでの憂鬱な経験。

★08年4月某日★「ホームページの創り方」を習っている。いま公開している状態よりも見栄えのいいカッコいいものを作りたいと思っているからだが、熱心に教えてくれるインストラクターに申し訳ないが、ほとんどテクニックが身についていない。メモを取るが、そのメモを後で見ると、理解できない。いよいよ泥沼に落ち込んできた。



★08年3月某日★「早春賦」という、いい歌がある。ボニー・ジャックスのアルバムで聴いた。春は名のみの風の寒さよ、、、という、あれだ。春の陽光が明るくなってくると、歌いだす名歌であるが、なんと、最初の歌い出ししか思い出せない。若いころ、よく口ずさんだものなのに。
歌まで忘れるか。ただ、楽曲は記憶にあったな。詞よりも曲か。


人名、地名などを思い出せないのは、もうやむなしとあきらめた。しかし、それも昔から知っている人名、地名のつもりでいたら、最近、知り合った人たちの名前も出てこない。これは困る。声を掛けられない。

★08年3月某日★出先で聞いた、いい話をメモすることがある。最近は高齢者の嘆息というか、感懐というか、ああトシとったな。そういう口吻を聴くと、メモして忘れまいと思うのだが、
それを聴いているときだけ、そう思っていて、帰宅するや、まったく覚えていない。聴いた話の内容ではなくて、メモすることを忘れている。

★08年3月某日★ああ、いよいよ焼きが回ってきたな、とつくづく思う。この欄は月ごとに区切っているのだが、月代わりしても、新しい月を起こすことを忘れている。上旬も終わろうとして
気付いている始末だ。



★08年2月某日★知人あてにハガキを書いた。書いて引き出しに入れたら、それっきり忘れていた。文言に時期を逸した言葉があり、ご無沙汰を詫びて、別のハガキを書いた。それが三日も机上にある。外出の際、投函すればいいと思っているが、そのつど持ち出すことを忘れている。もう忘れないように手のひらにマジックで書いておくか。

★08年2月某日★カポーティの「冷血」を昔読んだ。そのカポーティをモデルにした映画を見たので、改めて「冷血」を読んでいるが、見事に中身を忘れている。まったく初見の本と同じである。これほど明解に忘れているとなると、読書の効用という意味では愕然とする。要するに、ぜんぜん役に立っていないか、身についていないわけだ。ノンフィクション・ノベルの金字塔と言われた作品だったのにね。

★08年2月某日★プールのロッカーで脱衣する。それはよい。で、忘れたころに係り員が、これはお宅のロッカーのキーでしょう、といってくる。キーを抜くのを忘れている。もはや再三再四である。度重なるのである。これは単に注意力散漫とは言えない。完全に痴呆であるな。

★08年2月某日★久しぶりに友人と飲んだ。飲んで共通の友達の友達の話をしたが、話の流れがしょっちゅうストップする。なぜか、友人の名前が出てこないからだ。二,三人を続けて俎上にのせるときは、なおさらだ。これでは快適な会話にならないか。

★08年2月某日★「ボケ」と「寝たきり」とどっちがいいか。こんな二者択一を老人に向けると、果たして九割が「ボケ}を選ぶそうだ。その筋の専門家の本(老人介護 常識の誤り・三好春樹・新潮社)にある。ボケ派は、選んだ理由をこういう。「ボケてしまえば周囲は迷惑だろうが、本人は知らないで済む」。果ては「早いもの勝ちや」とも。「寝たきり」は人気がないが、この専門家はこういう。ボケたら三年で寝たきりになるし、寝たきりは三年たてばボケる。つまり終わりは同じなんだ。だとすると、一番?いいのはボケて三年以内に死ぬことだな。

★08年2月某日★ウガンダという国がアフリカのある。アミン大統領が、ほしいままに悪辣非情な暴虐を限りを尽くして、国民を絶望の淵に落とした。反体制というようなちゃんとしたものでなくて、気に入らないという理由だけで約50万人は虐殺されたという。「ラストキング オブ スコットランド」という映画が、それを描いている。ルワンダという国がある。部族争いが熾烈を極め、大虐殺が続いた。そのルワンダを舞台にした映画が昨年から相次ぐ。「ホテル・ルワンダ」「ルワンダの涙」。中身はこんがらがって、覚えきれないが、殺し合いの内戦、大虐殺、、凄まじい実態が目を奪うが、アフリカの国の悲劇はほとんど欧米先進国が、これらの国をいいように搾取し、いいとこ取りしたあと、放り出しているために生じている。その無責任を追及しているような気がするし、いや、そういう実態もエンタメにしようとしているような気もする。

★08年2月某日★体操のジムに行く。受付で会員カードを見せる。これをしょっちゅう忘れている。忘れると、住所氏名を別紙に書かされる。受付さんは、たいてい「またぁ」という顔をする。面目ないな。



★08年1月某日★年賀状をいただいた人のうち、二通に差出人の名前がなかった。誰だったか、あれこれ推理するが、分からない。こっちの脳力も自慢できる状況ではないので、やむなし、だ。お互いさまであろう。

★08年1月某日★モノ忘れのダブルパンチ。おおいに深く落ち込む。まあ、読んでください。

 あまり普段,用事がない銀行へ行った。駐車場に車をとめてからATMへ。通帳とカードを使って、振り込むのだが、暗証番号が出てこない。これだと思った番号を入力したら、間違いですとの案内。しばし考えて、これぞと思う番号を再入力したが、これもダメ。振り返ると、列が並ぶ。気弱なので、やむなく離れる。出直すべしだ。ついで、車の駐車券にフリーパスの入力をしてもらおうと、駐車券を探すがない。ポケット中を探しまわすが、ない。困った。駐車場から出られない。まさかと短い距離の路上を探査しつつ歩いたが、ない。銀行係り員になんとかならないかと言うと、金儲けにつながらないことには、冷淡だ。親身でない。印刷された紙片をくれて、駐車場を管理している会社に自分で連絡、処置しろという。
 
  (電話を当該の管理会社に入れて、しかるべき方法で、駐車券を使わずに駐車場
   の遮断機を突破できた。しかるべき方法は、残念ながら、ちょっとマネされる困る
   ので、公開をはばかります)

★08年1月某日★新年の挨拶をかわして、横に座り、しばらく雑談した。雑談しながら、この人の名前を思い出そうとして、わが脳幹を急速回転させたつもりだが、浮かび上がらなかった。いよいよ空気アタマになってきた。スカスカで風通しがよくなっているのだ。

★08年1月某日★受付のおばさんに車のキーを渡した。おばさんは、「なにっ、これ」という顔をしたので気がついた。渡すのはロッカーのキーだった。

★08年1月某日★モノの本によると、加齢と記憶力衰退は関係があるという。わが身に照らしても、それはわかる。ただ、記憶力の減退と思っていたことのなかには、注意力の散漫が進んでいるからだとして、眼鏡を置いた場所やキーの置き忘れなどを例に挙げている。これらは、純粋に記憶力というよりも、通常やってないようなやり方で、眼鏡やキーを置いたりするため、どこにあるか分からなくなる。必ずしも記憶力にかかわることではなく、不注意のせいらしい。もっとも、堂々巡りになるが、注意力が散漫になるのは加齢によるのだ。つまり、
加齢と注意力不足と記憶力減退は、みな仲間同士なんだな。

★08年1月某日★Ipodを手にしたとき、嬉しくて次々と音楽CDからコピーを取り込んだ。勢いづいて動画もYOUTUBEなどから取り込んでみた。あれから三ヶ月。いまとなっては、どうしても動画が取り込めない。どうなっているのだろうな、我が脳力は?!IT関係のソフトの操作やパスワードの忘れ方がひどいな。

★08年1月某日★初日の出を拝みに行った。分厚い雲が居座って、見えなかった。昨年もそうだった。その前年か、さらに前々年かに、ご来光を見た。見事な自然のスペクタルに大いに感動した思いが残っているが、いつだった判然としない。あれほど感激したはずなのに。

★08年1月某日★さて、この記録をアトランダムにつけ始めて十二年目に入る。最初のころの記述を読み比べると、予想通り、そうとう深く広く記憶力減退が進行していることに気付く。

いま売れっ子の脳科学者、茂木健一郎さんが大晦日のラジオで言っていた。脳の能力は無限である。九十歳になっても、なお成長している。脳の力を信じなさい。本当かな。そんなことがあるのかな。生命体は刻々と衰退しているのではないのかな。

今年は、何を、どう忘れるか。大きな不安とちょっとだけ楽しみである。そう思わなくては、やってられない。