(社会福祉法人)鉄道身障者協会発行の「リハビリテーション」第422号より
「覚障害者の生活に便利なグッスの紹介」
●はじめに
私は幼稚園の4歳頃に高熱が原因で失聴しました。小学校は難聴学級に通い、中学校と高校の時は普通学校通いで、ろう学校にある聴覚障害児言語訓練教室で言葉の厳しい訓練の教育を受けました。その頃まだ聴覚障害者を正しく理解する人は環境的には難しく、聞こえない理由だけで信用が低く、偏見的でした。 そういう意味では補聴器以外に聴覚障害者の便利な生活用具はあまり知りませんでした。実際、無かったというのが正しいでしょう。
3月号で岩淵氏が情報別で示されているのでわかると思いますが、最近はいろいろな機器がありとても便利になってきました。私はそのなかで一つ、給付品目「聴覚障害者用屋内信号装置」についてお話したいと思います。
●聞こえないから目で見て安心
今現在、私は福祉機器の会社を経営しておりますが、私の所に「来客を知るための良い機器はないか?」と同じように困っておられる聴覚障害者の方がよく相談に来られます。それまで個人でハダカ電球などを使い、手作りで特別に工夫したりして苦労されていたり、一方、業者に注文しても特別工事費用が高くなるため、仕方なく、某メーカーの手持ちランプで我慢して諦める人もおられ、もっと良い機器を求めて相談に来られるのです。
そこで私は今話題なっている松下寿電子工業株式会社から発売の玄関テレビホン「カラー見え太=写真1=」と「回転灯=写真2=」(製造元・パトライト社)または「光るチャイム=写真3=」(製造元・松下電工株式会社)とのセットを日常生活用具の「聴覚障害者用屋内信号装置」の対象品として推薦しております。
一昨年の10月に発売された「カラー見え太・HA-S60B-T 本体セット標準価格:74,800円」は聴覚障害者や高年齢者などのニーズに適し、日常生活用具の支給限度額内で買えますし、また、3台以上の「回転灯」や「光るチャイム」の増設が出来ます。これは、従来のカメラ付きドアチャイムの「音」にかわって「光」で来客を知り、カラーモニターで訪問者の顔を確認できる、というものです。健聴者のように声で相手を確認出来ない聴覚障害者にはとても便利なものです。
●今までの苦労
これまで家族や聴覚障害者同士が在宅か、留守かを確認する為、振動で知らせようと大きな音がする物を叩いたり、窓から中を覗いて確認しようとして強盗まがいな大げさな事になったりと、近所に迷惑をかけた経験のある方も少なくないと思います。事実、私も何度か経験があります。その昔、来訪者は補聴器で確認する環境しかありませんでした。たまに補聴器をつけない日もありますので、その時に宅配便や郵便物が届いても誰も出ないので、留守に間違われて荷物を受け取ることが遅れたことも多々あります。
また、最近では押し売りや強盗に襲われそうな不安感から防犯意識が高まる一方、聴覚障害者の日常生活の不便さを解決してくれる福祉機器が少なかったので、この商品を私もお客様も大変喜んでおります。
実際取り付けに伺ってみて聴覚障害の方々の住宅には音の鳴る玄関チャイムを改造したものが多く(例えば屋内にハダカ電球の光と回転灯などで知らせるような仕組みや配線構築の違いなど)そのような改造ものから「カラー見え太」に取り替えるにはちょっと大変な作業で苦労しました。でもその後、お客さまから喜びの声が寄せられ、「苦労した甲斐があった」とこちらも喜んでおります。
●喜びの声
一部紹介しますと
大阪市淀川区・女性Aさん(60歳)「家の中に居たら宅便や郵便屋さんが留守と勘違いしてすぐ帰ることがよくありました。玄関テレビホン「見え太」と「光るチャイム」のセットを設置したお陰で安心しました。」
兵庫県川西市在・女性Bさん(58歳)「家の中にいると来客が誰か分からないので、悪質な押し売りでも簡単にドア開けることがあってコミュニケーションがうまく行かずに被害にあった経験がある。玄関テレビホン「見え太」と「光るチャイム」のセットを給付してもらえて嬉しい。」
などなど...。
しかし、最後に付け加えておきますが、この「見え太」セットの給付をすべての市町村の福祉課が認めているわけではない状況ですので一度、地域の福祉課窓口に相談してください。尚、当社は近畿地区の取り付けは可能ですが、その他につきましても近くの福祉課にお尋ねください。
●もっと手軽なもの
一方で、「聴覚障害者用屋内信号装置」の給付対象でない方や、高齢者の方が自費で購入される為、安価なものがご希望なら「電話ですよ!」(株式会社パトライト)のシリーズがお奨めです。今現在取り付けてあるドアチャイムの音や電話のベルの音をマイクで感知して回転灯や表示灯で知らせるものです。
価格も7,900円〜22,800円とお手頃で配線工事は一切不要。
「電話ですよ!DH−02」はワイヤレスなので、離れた別の部屋や2階に居ても、受信機である回転灯を近くのコンセントに差しておけばマイクで感知した音を送信機から屋内配線を伝ってきて回転灯が回る仕組みになっています。但し、改築や増築などをされた建物で屋内配線内が同一でない場合は作動しませんので注意が必要です。
●今後の要望
視覚と聴覚の二重障害を持つ方には、便利な生活用具がまだ少ない状況です。聞こえないうえ目で知ることも出来ない生活を強いられており、日常生活を円滑にするためには良い機器が絶対不可欠です。来客インターホンに無線などでキャッチできる、タバコの箱ぐらいのコンパクトな携帯振動や腕時計タイプの振動があれば来客を知ることが出来ます。このような機器を、メーカーが早期に開発されることを願いたいと思います。
最近は盲ろう者という障害者が増えてありますが、ご存じでしょうか?聞こえなくても目でいろいろと感知できていた聴覚障害者が段々と頼りの視力も低下してしまい、いわゆる重複障害になります。
お問い合わせは
福祉申請で給付や購入などは
フリーウィルの池宮城(FAX06−6889−2530)まで。
玄関テレビホン「カラー見え太」に関するお問い合わせは
松下寿電子工業株式会社坂出事業部 商務課 (香川様)
電話0877−49−2402
FAX0877−49−2442
までお願いいたします。
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