僕が、生保業界に飛び込んで間もなくの事でした。
兼ねてより、親しくしていた友人に挨拶に行きました。
その友人は、少し意外な顔をしながらも、笑いながら
「付き合いだよ。」と、一番安いタイプの保険に加入してくれました。
死亡保障1,000万円と 短期入院保障のついたものでした。
まだ、子供ができて間もなくで これからという家庭でしたので
本来なら、生活保障のための保険提案をするべきなのですが
その友人は、保険嫌いという事を 僕も知っていたため
そんなに真剣に、保障の話など しなかったのを覚えています。
実際、まさか 友人が死ぬ訳はないと その時に感じていたのは事実です。
しかし、その2ヵ月後の深夜・・・
僕は、一本の電話で 大きな間違いをした事を知るのです。
その友人が、事故で他界したとの知らせでした。
僕は、信じられないままに 友人宅を訪ねました。
奥さんは 気丈に振舞っていましたが 深く沈んだ悲しみが伝わってきます。
通夜と葬儀を終え、僕は 保険金給付の手続きに入ったのですが
どうしても、気持ちが沈んでいくのです。
友人が死んだ事よりも 自分のした仕事が 本当に その家族の事を
考えていたのか・・・
遠慮ばかりして 本当に 大事な事を言えなかった自分に後悔の念が込み上げると共に
いろんな思いが交錯していました。
そんな中、保険金給付の知らせを持って その友人宅へ伺いました。
奥さんは、僕の顔を見るなり 安心したのか 涙を流しながら
僕に「ありがとう。あなたが保険屋さんでよかったです。 主人は 保険が
嫌いだったから・・・。あなたが 保険屋さんしてくれてたから
あんなに嫌な保険にも入ってくれたから 私達 このお金受け取れます。
このお金は大事に子供の為に使います。 ありがとう・・・・。」
泣きながら話す 奥さんを見て 僕も涙が溢れて来るのを感じました。
言葉も失い、その帰りの車の中で 涙が溢れて止まらないのです。
自分のした仕事は 間違っていた・・・。
もっと細かく、ライフプランをたてて 必要補償額を提示して
無理にでも説得してあげられなかった事・・・ 
ものすごく 大きな後悔につながりました。
結果的に、その妻子は 奥さんの故郷に帰り暮らしていると聞きます。
僕は、友人の家庭を守りきれなかったのです。
保険契約の一人目は 同時に 保険金給付の最初の人になったのです。
この出来事が、今も心の中に刻み込まれています。
正しい仕事を正しく行う・・・・
使命感を忘れさせない出来事になったのです。

友人の死