2008年5月21日更新

プリンターのヘッドクリーニング > Top

 家庭用プリンタって、使用頻度は少ないのが現状なんではないでしょうか。最近はスキャナーやファックス機能が付加された複合機や、小型の写真プリント専用プリンタなどが出回ってますが、それでも毎日または毎週印刷を必要とされることは一般家庭では少ないでしょう。

 久し振りにプリンタを使用すると十中八九ヘッド詰まりに悩まされるものです。数回のヘッドクリーニング操作で大抵は直るものですが、いつしかユーティリティのヘッドクリーニングごときでは頑としてノズルにインクを通してくれなくなってしまいます。こうなってしまうとこのヘッドクリーニング操作は、ただのインクの無駄使いのユーティリティと化してしまいます。あとはメーカー送りで最良な方法で修理依頼するしかありません。結局ヘッド交換やメーカーのヘッドクリーニング料金を思うと、買い替えという選択肢も考えざるを得なくなります。

 そこで最後の手段。自己責任というリスクを背負って自分でヘッドノズルをクリーニングしてしまおうということです。今回はエプソンのPX-G920のヘッドを無理やりクリーニングしてみました。以下に今回やってみた方法を簡単に紹介しておきます。

ヘッドの取り外し

 インク交換はインク交換ボタンを押せば自動的に取り出せる位置にきて止まってくれます。この状態のままヘッドを外すことになるので、この位置で強引に電源プラグを抜きます。

G920のインクカバーへっへっへ(´∀`)あとはまな板の鯉だわ。

 インクをすべて外すとインクヘッドそのものがむき出しです。まずはインクカバーを外します。プラスチックの爪ではめ込んであるだけですが、うまく外さないと割れる恐れもあるのでここは慎重にコジながら外します。

インクヘッドの固定ネジ 右側にヘッドに繋がるフラットケーブルを隠すカバーがあるので、これも割れないよう、またはフラットケーブルを傷つけないように外しておきます。真上から見て両上と左下にヘッドを固定するプラスネジがあります。この3箇所のネジを外すとヘッドが抜き出せるはずです。

 このときもフラットケーブルと干渉するので慎重にゆっくりと取り出します。下側には、??ピコリットルというインクを滴下する繊細なヘッドが付いているのでむやみに引き出して、落としたり引っ掛けたりすると目も当てられません。

ヘッドとフラットケーブル うまく引き出せたらフラットケーブルを外します。このG920は上下に二枚のフラットケーブルが繋がれてるので、繋ぐ場所と向きを忘れないようにしておきます。

 この写真は引き出したヘッドを裏返したところです。真中の四角い部分がレオナルドダビンチの腕とも言うべき大事なヘッド部分です。平らに見えるけど、繊細な穴があいてるようです。

G920分解パーツ

ヘッドの洗浄

 さあて洗浄です。その前にちょっくらヘッドがどんな状態か見てみましょう…

汚れたヘッド

 な、な、な、なんなんですかこれは( ̄□ ̄;)!!___ダビンチの大事な腕がぁ…

 ヘッドのほぼ半分がタールと化したインクの塊でいっぱいです。そりゃあ、ヘッドクリーニングなんてユーティリティごときじゃ直せませんわ。このタールでいっぱいの部分担当のインクは【フォトブラック】【レッド】【ブルー】【グロスオプティマイザ】です。【イエロー】【マゼンタ】【シアン】【マットブラック】の担当部分は問題なさそうです、素人目ですが。確かにノズルチェックパターンはこのへんのカラーがスカスカでしたわ。

 で、どうやって掃除するか?…ヘッドを直接ゴシゴシなんて恐れ多くてできません。そこでなにかインクを溶解できそうなものをと考え付いたのは、無水エタノール。デジカメのイメージセンサー清掃用に買っておいたものだ。薬局などで簡単に入手できるものです。

無水エタノールにヘッドを浸す

 今回は無造作にも、お皿の上で無水エタノールに一時間ほど浸してみました。エタノールは見る見る変色していきます。タール化したインクが溶け出しているのが目に見えて分かります。エタノールから出したらしばらく乾くまで待って、プリンターにセットします。

 ここで「無造作に浸した」というのは、ヘッドが皿の底に接触してしまっているのが無造作だったかな、と。出来ればヘッドを宙に浮かしてエタノールに浸したほうが安全だし、タールが溶け出しやすいかもしれません。

プリンターのセッティング

 洗浄したヘッドをプリンタにセットしたらインクをセットし、インクカバーを閉じて電源を入れます。2・3回ユーティリティのヘッドクリーニングをしたら完了です。あとはノズルチェックパターンを印刷してクリーニング度合をみます。

 フォトブラック・レッド・ブルーのチェックパターンは正常に戻りました。もし、まだパターンに異常が見られるなら、再度エタノールによるクリーニングをしてみてもいいでしょう。浸す時間を増やせばいいかもしれません。

 ところでユーティリティのクリーニング動作を観察していると、どうもこのインクの排出専用のインク溜まりには、一回のクリーニング動作でそうとうの量のインクを染み込ませているようです。

インク溜まり

 組み上げる前に何らかの方法で染み込んでるインクを吸い出しておきたいものです。この右側のスポンジにはほとんどタールになったインクカスが確認できます。そもそもこのフォトブラック・レッド・ブルーというのはタール化しやすいのかもしれません。

最後に

 これでなんとかG920は復活を遂げました。フォトプリントを10枚程印刷してみましたが、インク詰まりがおきていた時のようなベタベタ感もなく、しっかりとした写真画質に仕上がりました。

 以前使用していたPM3300Cもよくインク詰まりをおこしていましたが、たいていユーティリティのクリーニングで直っていたものです。インクは標準的な【Y・M・C・BK】でしたから、G920に追加された【BK・R・BL・GL】というインク自体が特質なのかもしれません。

 

※ 最後に今回の作業は決して他に推奨するわけでもなく、潰れても元々と言う自己責任において行った過程をご紹介したしだいです。メーカーが非推奨とされることを行った場合、メーカーサポートも受けられなくなると言うことを付け加えておきたいと思います。

参考リンク ⇒ サポート | 修理サービス | エプソン

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