2001/04/17改定
森林バイオマス燃焼熱量
含水率
森林バイオマスの燃焼熱量は含水率によって変わってきます。
含水率を計るには、資料を実験用乾燥器に入れて重さが変わらなくなるまで乾燥させます。この乾燥後の重さを絶乾重量と呼びます。その乾燥前と乾燥後の資料の重さから 含水率=((乾燥前重量−乾燥後重量)/乾燥後重量)×100(%)
と計算します。分母を乾燥前重量にする場合もあります。ここでは前者を用いています。含水率は樹木の枝、葉、幹の部位によって異なりますし、季節によっても変化します。全体としては大体100%
前後の値を示しますが、枝葉やスギの根元では130%くらいになる場合もあります。幹の部分は少し少なめです。バイオマス量を計測する場合には、その都度資料をとって含水率を測っておくことが必要です。
絶乾重量
樹木の絶乾重量は分母に乾燥後重量を用いた含水率で次のように計算する。
樹木の絶乾重量=樹木の生重量×100/(100+含水率)
木材の燃焼熱量
木材の燃焼熱量は樹種によって少し違ってきますが、スウェーデン農科大学のスンドベリィ教授(故人)のまとめたところによると19.2MJ/絶乾kgfを用いるとよいということです。なお、気温25℃のとき水の蒸発熱は2.45MJ/kgfです。ですから、木材の燃焼熱量は生重量に対しては
(19.2×100-2.45×含水率)/(100+含水率) MJ/生kgf、絶乾重量に対しては 19.2-2.45×含水率/100
MJ/絶乾kgf で求められます。グラフにすると下のようになります。
MJ(メガジュール)=10の6乗J です。
J(ジュール)=Nm(ニュートンメートル)の仕事量
W(ワット)=J/s(1秒間に1ジュールの速さで仕事をするエネルキー)
接頭語は
k (キロ) 1,000
M (メガ) 1,000,000
G (ギガ) 1,000,000,000
T (テラ) 1,000,000,000,000
P (ペタ) 1,000,000,000,000,000
E (エクサ) 10の18乗
となります。
原油換算トン(TOE)=4.186×10の10乗
工学系の計算方法
木材の元素分析結果から発熱量を計算する方法があります。高発熱量(水蒸気の凝縮熱を含めた値)をHh、低発熱量(凝縮熱を含めない)をHlとして、
Hh=32,800c+141,800(h−o/8)+9,300s (kJ/kgf)、 Hl=Hh−2,500(9h+w) (kJ/kgf)
ここでc,h,o,s,wは木材中のそれぞれ炭素,水素,酸素,硫黄、水分の割合です。c=0.4266,h=0.0522,o=0.3660,s=0.00,w=0.15のような数値です。これは含水率でことなりますが。上のスンドベリィの用いているものとずいぶんと値が違うのが気になります。やっぱり、発熱量を測ってみるべきでしょう。