加納:あれ、誰や?またやったんか?
中村:男子って、だらしないなぁ
    そんなことで兵隊に行けるんか
寮母:そんなこと、言わんこったい。
    誰でん失敗するこつぁあるとじゃなかね
行くときゃ兵隊さんで、行くときゃ兵隊さんで♪
帰るときゃ仏さん♪
諫早トンネル越しゃ、諫早トンネル越しゃ♪
はたちごけばよ しょうかいな♪
オロロン オロロン オロロンバイ♪
オロロン オロロン オロロンバイ♪
(島原の子守唄の節で)鼻歌を歌いながら
寮母ガ奥に行く
木村:おーい、松井・・・先生は?
松井:薪取りに行って、そのまま本部によるって
杉村:私、知ってる。先生、上戸のおばさんとこ
    寄らはるんや。
    自分の配給のタバコ、あげはんのんや
文田:僕あの歌すかん!
木村:え!?
文田:行くときゃ兵隊さんで、帰るときゃ仏さん
    お国の為に死ぬのは名誉なんやで
中村:そら仕方ないわ。旦那さんが戦死して、
    長崎からお骨収めにここにきはったんやから
加納:そしたら、あの赤ちゃん、お父さんにいっぺんも
    会えへんかったやな
中村:新助君、かわいそう・・・
荒川:先生重いやろ。荷物持ったげる
西澤:私も・・
二人取ろうとしてザルを落とす
光代:あっ!ジャガイモや!
先生:ああ、明日の朝ごはんや
木村:先生、おおきに・・・
先生:うん?
木村:先生は、タバコを・・・
先生:そんなことはどうでもええ!
    木村おばさんに渡してこい
    ああ、文田。お前日本人やな。
文田:はい!
先生:よし・・・電報や。
    今本部からもらってきた
先生:声を出して自分で読め
文田:はい・・「チチ オキナワデ センシス カエラズトモヨイ
     ソチラデ ガンバレ ハハ」・・・先生・・・
先生:うん。
   お父さんはお国の為に立派に命を捧げられた
   涙は出すな。 お前だけと違う
   中村のお父さんもサイパン島で゙戦死されている
先生:みんな集まれ・・・
    気をつけ。
    尊き御霊に対し、黙祷
全員黙祷
先生:なおれ。
   中村と二人で和尚さんの後ろから拝んで来い
   今日はお盆や
加納:うちとこかてわからへん。南方行ったきりや。
   一番好きな兄さんや 大阪のおばさんは、 
   逃げて来やはったし いややなあ、戦争って
古西:あ、非国民や。先生に言うたろ
加納:非国民てなんや!
    ほんまの事言うただけやないか!
文田:勝つためやったら・・・勝つためやったら、
    個人や家族は犠牲にせんとあかんのやぞ
加納:そんな事わかってるわ!
    あんたらみんな、いつも大きなって兵隊になりたい
    言うてるけど、丈夫に大きなる自信あんのんか?
    あーあ、いっぺん、お箸立ててもこけへんような
    ほんまのご飯、お腹一杯たべたいわ!!
木村:おーい。特配や。朝のおやつの特別配給や
杉村:ええっ、あさにおやつ?
子供達は大喜びする
木村:そら豆や。お盆やからって、
   和尚さんとおばさんからや
近藤:みんな並んで。順番や
木村:五つずつやで
みんな庭に並んで手を出す
子供たち: 箸とらば、天地御代の御恵み、
  君と親とのご恩味わえ。
  いただきます