− 第14話 長い一日 −
私は休みで、タロウは仕事、というある平日のこと、
まったりと9時すぎに目を覚ました私は、
タロウのメモ書きを目にする。
「納豆食べて。ふとん干して。夜はヨシケイメニュー。」
重要任務である。
指示どおり、納豆で朝ご飯を済ませる。
「しかし、昼はどうすんねん。何にもないやんけ。」
などと思いつつ、次の指令、ふとんを干す。
いい天気だ。
昼までの間、郵便局で通販代金の振り込み、
QBハウスで1,000円の散髪(4カ月ぶり)、
などなど雑務をこなし、昼食はUFOとご版で焼きそば定食だ。
うまい。ビールも飲んだれ。
昼からは、掃除機をかけ、ふろ掃除。
夕刻がせまるころ、
フカフカになったふとんをとりこむ。
洗濯物も取りこんでたたむ。
下の子、タロウ、上の子と、順番に帰ってきた。
夕飯はヨシケイだから簡単でおいしい。
作り方を見ながら、3人分の食材を料理する。
これを4人で分けて食べるのである。(涙)
夕飯の後は、食器洗いも済ませた。
これだけやっとけば、文句はあるまい。
さあ、仕事の後は、結果報告だ。
「朝は納豆食べて、ふとんも干したぞ。」と言うたら
「指示どおりやな。
指示したことしかできんのかいな。
で、昼はどうしたん。何食べたん?」と
言いつつ、すばやく周囲に目を走らせるタロウ。
ゴミ箱のUFOのカップを見つけるや、
「あっ! こんなもん食いやがって。」と吐き捨てる。
袋入りのインスタントラーメンに比べ、
UFOは高価なのである。贅沢なのである。
へへん、先に食うたもん勝ちや、と思いつつ、
「ふろも洗っといたぞ。」と言うたら
「そんなもん、一目見たら分かるわ。
私にとったら毎日のルーチン業務や。
そんなに『ありがとうなぁ、
ぼくちゃん、えらいねぇ。』
って言うて欲しいんか。子供かお前は!
私は1年365日分の354日やってることや。
たった1日やった位で、エラそうに言うな。」
かくして私の長い1日は終わるのである。