e−たかつき計画

高槻市行政事務改善委員会

高槻の行政の目次へ  トップへ

                   目次
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第1章ITを取り巻く環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
 T 国・府の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
   1 国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
   2 大阪府・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
   3 大阪電子自治体推進協議会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
 U 本市の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
   1 情報化の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
   2 ホームページと庁内イントラの推移・・・・・・・・・・・・・・・10
   3 情報リテラシーとデジタルデバイド・・・・・・・・・・・・・・・11
   4 セキュリティ対策と個人情報保護・・・・・・・・・・・・・・・・11
第2章基本方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
 T 電子自治体実現のための3つの指針・・・・・・・・・・・・・・・・12
 U 推進体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
   1 推進組織・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
   2 補完的手法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
   3 運用方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
 V 整備対象・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
   1 行政が主体的に行うもの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
   2 市民との協働等によって実現していくもの・・・・・・・・・・・・16
 W 留意点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
   1 情報セキュリティ対策と個人情報保護の徹底・・・・・・・・・・・17
   2 情報リテラシーの向上とデジタルデバイド対策・・・・・・・・・・17
   3 アナログ(ITに依存しない)システムの再構築・・・・・・・・・18
   4 モバイル利用を前提としたコンテンツづくり・・・・・・・・・・・18
第3章アクションプログラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
 T 要旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
 U アクションプログラム一覧表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
 V 個別プログラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
(別添)
 W 『電子自治体:高槻市』のイメージ・・・・・・・・・・・・・・・・43
   ○用語解説集・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46
 


はじめに
 インターネットの普及・浸透により、市民生活や社会・経済活動がデジタル化とネットワーク化を深める中で、行政が旧態依然のやり方で業務を遂行し続けることは、市民・企業との協働を阻害するばかりか、行政そのものが地域振興・発展の阻害要因になる可能性があります。
 また、「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法<「IT基本法」>」においては、「地方公共団体は、基本理念にのっとり、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する」と自治体の責務を明確に規定しています。
 しかし、高度情報通信ネットワーク社会においては、ブロードバンドをはじめとしたネットワーク環境、あるいは経済的状況等の差異により、すべての市民がITの恩恵を等しく受けることができるとは限りません。
 このような中において、本市では、行政分野へのITの活用とこれに併せた業務や制度の見直しにより、市民の利便性の向上と行政運営の簡素化、効率化、信頼性及び透明性の向上を図ることを目的として、「e−たかつき計画」を策定しました。
 本計画では、基本方針として概ね5年先まで見据えた本市の情報戦略について示しています。また、社会情勢や環境の変化及び新技術の発展等に柔軟に対応するために、平成16 年度から平成18 年度までの3年間の具体的な取組内容をアクションプログラムとして示し、本市の主要事業計画やe−Japan計画との整合性を図りながら随時見直しを実施します。

第1章 ITを取り巻く環境

 総務省情報通信政策局「通信利用動向調査」によれば、平成9年度にはパソコン普及の世帯数は、3割に満たず、インターネットの利用世帯数においては1 割にも満たなかった。それが平成13 年度においては、パソコンの世帯保有率はほぼ倍増の6割近くになるとともに、保有世帯のインターネットの利用率は6割を超え、人口普及率も5割に達しようとしている。
 本市においても、平成13 年度高槻市市民意識調査によれば、パソコンの世帯保有率は5割を超え、インターネットの世帯利用率は9割に迫ろうとする勢いである。また、インターネット利用の増加に伴い、ブロードバンド環境の急速な整備が行われ、特に、携帯電話をはじめとしたモバイル端末の増加は著しいものがある。
このようなインターネットの普及に伴い、あらゆる場においてサイバー空間(インターネットの世界)の利用が急速に拡大している。すでにサイバー空間には、多くの商店、金融機関等のホームページが設けられ、利用者はいつでも、どこでも、情報を自由に取り出したり、サービス提供の申し込みを行うことができる。また、現実空間とサイバー空間を有効に結びつけることによって、インターネットで申し込んだサービスを現実空間で(自宅や職場でも配送等の手段により)受け取ることが可能である。
 こうした社会経済システムの電子化が急速に進展する中で、行政の電子化は社会的な要請となっている。国は、これらの要請に応え、21世紀初頭に「電子政府」の実現を目指しているが、平成12年8月に旧自治省から「IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針」が出され、地方公共団体においても、情報技術を駆使して、一層の事務の効率化と住民サービスの高度化を目指していくことが求められている。
 一方、地方分権の推進に伴い、地方公共団体は、政策立案や自己責任で対応すべき行政課題が増大するとともに、権限移譲に比例して処理すべき事務量が増大している。
 また、国際化、少子高齢化など新たな行政課題が山積しており、これらの課題を解決していくためには、情報基盤の整備を進め、職員の生産性を高めると同時に、問題発生時に素早く対応できるシステムを創造する必要に迫られている。社会は、急速にネットワーク化が進行しており、地方公共団体も早急にこれらに対応した情報化を進め
て行く必要がある。
 

◇ 電子市役所◇
 企業においては、インターネットを利用した顧客サービスの向上を図っているが、これは、単にインターネットによる商取引<サイバービジネス>を始めたというわけではなく、情報化を通じて自らの経営改革も同時に進めているのが現状である。あるいは、経営改革を進めるうえで、必然的に経営の情報化が必要となり、その結果サイバービジネスが出現してきたという側面もある。
 行政においても、民間サービスと同様に、インターネットをはじめとするITを利用した行政サービスを提供し、顧客としての市民のニーズに積極的に応えることは、社会的な要請であり、市役所が経営改革を進めるうえで、是非とも必要なことである。電子市役所を構築する目的は、市民サービスの向上であり、市役所の経営改革そのものといえる。

◇ LGWAN(総合行政ネットワーク) ◇
 LGWANは、全国の地方公共団体を相互に接続するとともに、国の府省間のネットワークである霞が関WANにも接続する安全性の高い行政専用のネットワークであり、これら団体間におけるコミュニケーションの円滑化を目指し、申請・届出・報告・許認可等に係る行政文書の電子的な交換、法令・条例・統計等行政情報の共有及び高度利用等を実現するなど、国・地方を通じた電子政府・電子自治体の実現に不可欠なインフラとなるネットワークである。
 また、行政手続のオンライン化に関する国のアクションプランに基づき、今年度中に地方公共団体のほとんどすべての行政手続について、各府省側におけるオンライン化のための条件整備(地方公共団体に対する実施方策の提示等)が完了することとなっており、これを受けて来年度以降順次LGWANをネットワークとして利用した行政手続のオンライン化が進展していくものと考えられる。
 さらに、LGWANは、平成15 年度中に開始される予定の公的個人認証サービスの提供や、平成16 年度以降本格的な取り組みが進展していく共同アウトソーシングの推進についても地方公共団体の間で必要なデータを交換するためのネットワークとして利用することが期待されている。

◇ 認証基盤と公的個人認証サービス◇
 国や地方公共団体に対する申請・届出等をオンライン化するためには、申請者が発信した文書等が真に当該申請者によってなされたものかどうか、また、送信途上で文書等が改ざんされていないかどうかを確認できるシステムの構築が必要となる。こうした申請者の認証システムについては、商業登記に基礎を置く法人の公的認証基盤の構築が行われているほか、民間認証事業者による認証サービスが提供され、電子署名法に基づき一定の要件を充たす認証業務を行おうとする者に対する任意の資格認定制度が導入されているところである。市町村においては、平成14 年度に公布された
公的個人認証法に基づく「公的個人認証サービス」を提供し、住民を対象とする電子認証システムの整備を進める必要がある。

(公的個人認証サービスとLGWAN及び電子申請の関係の図示)

◇ ブロードバンド◇
「情報化白書2002(総務省)」によれば、2001 年を『高速インターネットが普及し始めた、ブロードバンドによる常時接続環境の流れを決定づけた1年である』と総括し、『市場競争下で画期的に低廉・定額化したADSLが加入者を急増させ、CATVインターネットのユーザーも増え、本命FTTH(光ファイバの引き込み)サービスも発進した』と分析している。また、今後の見通しについても『無線LANとFWA(固定無線アクセス)が高速ワイヤレス環境を形成していき、今後ブロードバンド
は、技術形態としては有線・無線、利用形態としては固定・移動という2軸で広まっていくとともに、インフラ整備面ではe-Japan 戦略が掲げる2005 年に3,000 万世帯の目標も現実味を帯びてきた』と予測している。

◇ モバイル端末(移動体通信端末) ◇
 「情報化白書2002」は、パソコンと同様に新たな情報端末としての携帯電話を『携帯電話は、2002 年3月末で6,912 万契約に達し、うち75%を占める5,192 万契約を獲得したネット携帯電話は、移動中の人に時刻表、乗換え案内、トイレマップ、位置情報といった有用な情報を提供する。しかし、このような移動中の情報利用が可能になったことにも増して、私達が常に受信待機状態の端末を携帯するようになった意味は大きい。遠地で発生した情報を24 時間いつでもリアルタイムで受信するユビキタス環境が整ったのである。モバイル環境で24 時間受信待機の環境が整ったことは、新しい機能、サービスのブレークスルー(行き詰まりの打開・突破)となる。つまり留守宅で発生した火災、水漏れ、ガス漏れ、侵入者などの通報、投薬時間を知らせるリマインダー(思い出させるもの)、安否確認システムからの異常報告をリアルタイムで受信できるのである』と分析している。


T 国・府の状況
1 国

  電子政府の実現に向けた行政の情報化は、「e-Japan 戦略」で集中的に取り組むべき重点施策4分野の1 つとして位置付けられている。具体的には、行政手続のオンライン化推進に向けた認証システムや汎用受付システム等の整備などが進められているほか、関連する法令の見直し等の法整備や情報システムに係る政府調達制度の見直し、情報システムセキュリティ及び個人情報保護対策などが進められている。
なお、「各府省の行政手続等の電子化推進に関するアクション・プラン」において、平成15 年度までに、法令に基づく申請・届出等の手続のうち、国が扱う申請・届出等の98%をオンライン化するとともに、地方公共団体が扱う申請・届出等の96%についても実施方策の提示等の条件整備を行うこととしている。(本年2 月3日から施行された行政手続きオンライン化法により、法令に根拠を有する行政手続について、書面によることに加え、オンラインで行うことが可能となった。)

2 大阪府
 平成12 年9 月19 日付けの知事からの「電子府庁の実現に向けて」の考え方を受けて、平成13 年3 月「『電子府庁』アクション・プラン」が提示された。
 その内容は、e府庁を実現するために、府ホームページの充実・電子申請の導入・電子調達の導入を柱とするバーチャル府庁と、BPR(事業の再構築)の実施・基幹システムの改革・(仮称)総務サービスセンター機能の設置・新共通事務システムの導入・各分野へのIT化の拡大・当面の取組の促進を柱とするシェイプアップ府庁、ネットワーク府庁として全国レベルのネットワークへの参加と活用・市町村とのネットワークの構築を目指している。同時に、パソコンの配置・情報システムの整備を内容とした情報通信基盤の整備、職員の情報リテラシーの向上・府民へのIT講習の実施等による情報リテラシーの向上、費用対効果の確保とフォローアップを課題としてあげている。

3 大阪電子自治体推進協議会
 平成13 年度に府下市町村と大阪府が共同で電子自治体を推進するために設置され、本市を含む44市町村が参加している。すでに稼働済みのオーパス(スポーツ施設の広域予約・抽選・利用料金決済システム)を運営するとともに、ICカードのパイロット事業の実施を行い、また、平成14 年度からは本市も含めた7市による16 年度稼動にむけた電子入札システムの開発に着手している。同時に平成15 年8月のLGWAN(総合行政ネットワーク)府内接続についても共同で実施した。
 平成15 年12 月からは、今後の電子申請などの基盤整備となる公的個人認証サービスの実用試験を行う予定である。

U 本市の状況
1 情報化の現状

 本市の情報化は、昭和46 年以降、従来手作業で行っていた処理を、汎用コンピュータを利用してバッチ(大量一括)処理することから始まり、その後、窓口業務の迅速な対応を目的とし、住民票発行処理をはじめとする住民情報系のオンライン処理にウェイトが高まった。また、オフコンの登場により、財務会計、人事情報などの内部管理業務にオンライン処理を導入した。これら汎用コンピュータやオフコンを利用した処理は、業務スピードや正確性の向上などいわゆる業務効率のアップに大いに貢献した。(平成15 年10 月現在情報システム課所管分のみで39業務が稼動中)一方、電卓、ワープロなどの普及から、パソコンの普及へと変化し、いわゆるOA化が進み、簡易な事務処理の電子化が進展した。また、パソコンの高機能化、低価格化に伴い、汎用コンピュータで行うほどではないが、人が手作業で行うには大
規模すぎる業務処理を可能とした。しかし、汎用コンピュータを利用した業務がネットワーク化され、情報を共有しているのに対して、従来OA処理はスタンドアロン(単独使用)を原則としていた。その後、OS(オペレーティングシステム)の
進化によって、パソコン自体もスタンドアロンとしての利用から、サーバを介したネットワークなども可能となり、電子情報の共有化が進展した。このようなパソコンの普及と、サーバやオフコンの低価格化、高機能化は、汎用コンピュータを利用した業務処理と、パソコンをはじめとした小規模コンピュータ処理との境界をなくし、業務に対するコンピュータの利用方法の再検討を迫っている。

2 ホームページと庁内イントラの推移
 本市が、ホームページを開設したのは、平成10 年10 月である。当初のホームページは、市のPRを目的としており、内容については行政情報の提供より親しみやすさを追求する傾向があった。また、その役割は、広報紙を補完するものであったが、市民生活へのインターネットの普及等により、行政情報の積極的提供手段や市民とのコミュニケーションの手段として意識されるようになった。現在では、「産業情報サイト」「教育ネットワーク」「GISホームページ」などが加わり、広範囲な情報提供に寄与している。
 一方、庁内では、平成11 年度からワープロの代替としてのパソコン配付が始まり、インターネットの利用状況については、一部の課単独で、国・府等からの情報取得の手段として利用していたに過ぎなかった。しかし、国のIT基本戦略等を踏まえ、「高槻市行政情報化計画(平成11 年度〜15 年度)」を平成12 年度に見直しを行い、基本的にパソコンの職員1人1台体制と庁内ネットワークの推進が決定された。本計画に基づいて、平成13 年度からすべの配付パソコンでインターネット利用が可能となった。平成15 年度末には、市の各施設(小中学校などの学校教育施設も含む)にパソコン配備が概ね完了し、本庁・各施設間がインターネットにより通信可能となり、イントラ環境が完成することになる。併せて職員のパソコン利用の1人1台体制も概ね完成する予定である。(ネットワーク接続端末の予定総台数1,613 台)

3 情報リテラシーとデジタルデバイド
 職員の情報リテラシー(処理能力)については、パソコンの配付が始まって日が浅いことから、一部先進的な職員が存在するものの、全般的にみて、能力としては十分ではない場合もあると考えられる。また、市民については、本市域におけるネットワーク環境が相当程度整備されており、利用者も多いことから、情報リテラシーの高い市民も多数存在すると思われる。しかしながら、情報リテラシーについては、年齢階層その他によっても千差万別である。
一方、デジタルデバイド対策(情報格差是正)については、平成13 年度にITの飛躍的な発展に対応するため、成人の府民(市民や本市に通勤・通学する者等)を対象に、公民館・中学校等25会場で、パソコンの基本操作、インターネット、
電子メールの利用方法等IT基礎技術の普及を図る講習を実施した。(486講座・受講者数10,750 人)

4 セキュリティ対策と個人情報保護
 電子化に付随するセキュリティの問題等についても、ネットワーク社会に対応した意識が十分とはいえない面も見受けられる。このような中、平成15 年3 月に「高槻市情報セキュリティポリシー」を策定し、より一層のセキュリティ意識の向上を図っている。また、「高槻市個人情報保護条例」についても、高度情報通信ネットワーク社会に対応するため、平成15 年7 月に一部改正を実施した。

第2章 基本方針
  「電子自治体」を実現するためには、既存業務の見直しや業務・組織のあり方を含め、抜本的な変革を行い、業務全体を効率化しなければならない。すなわち、継続的なBPRを通じて、積極的にITを活用することによってのみ実現可能なものである。「電子自治体」における行政のシステムは、従来構築してきたクローズな縦割型ではなく、インターネットなどのネットワーク関連技術を駆使した横断的でオープンな業務形態へ変更する必要がある。現行の縦割型の業務形態を横断的でオープンな業務形態への変更を行い、行政側から市民への一方通行的なサービスの提供から、市民が市の縦割組織を意識せずともサービス享受が可能な行政・市民双方向のサービス体制に変革しなければならない。

T 電子自治体実現のための3つの指針
  「電子自治体」は、電子申請に代表されるように市民との接点を電子化を通じて推進し、市民の利便性の向上、行政手続きの簡素効率化、行政の透明性の向上を図ることが重要な課題となっている。行政サービスを受ける納税者である市民は「顧客」であるとする行政CRM(顧客管理)の視点が重要である。このため、民間企業における市場調査と同様に市民サービスの展開のための徹底した市場調査、市民の立場に立って商品である行政サービスの品質向上や開発を行う必要がある。また、説明責任を果たすために、市政の現状をわかりやすく情報提供し、透明性の高い、市民に信頼される行政を推進しなければならない。そして、「住みたい街」「住んでよかった街」と思えるような、市民の満足度の高い自治体を実現する手法として、ITを活用した電子自治体のメニューを用意する。このような考え方を基本に、以下の3つの指針を念頭において本市の情報化を推進する。

1 市民の利便性
 システムの構築に際して、市民サイドからの視点を原則とする。すなわち行政の自己満足に終わらないシステム設計を基本とする。また、業務のやり方の見直しを伴わない安易なシステムを導入しない。市民の利便性が向上することが重要である。
2 行政の透明性
 行政の情報は本来市民のものである。地方自治を推進していくうえで、行政の情報を、いつでも必要に応じて簡単に知ることができるようにすることが求められている。そのためにITを効果的に活用し、情報公開、情報提供をよりいっそう積極 的に推進していく。
3 費用対効果
 地価の下落や景気沈滞の影響を受け、税収の大半を占める固定資産税と市民税についても、かつての右肩上がりの伸びは期待できない時代となった。情報化の推進は、行政コストの削減にも効果をあげることが期待され、本市においても、計画の推進によって、業務を効率化、高質化し、行政と市民との適切なコミュニケーションや役割分担の実現によって、行政コストを削減していくことが望まれている。このため、今後はますます効率的かつ有効性のある(最小の費用で最大の効果をあげる)システム構築を目指し、費用対効果の確保に努める。

(実現すべき将来像)
  ITを利用したEまちづくりプラン【AE(アイーン)の実現】まちづくりの主体は市民であることを実質的に担保するために、「市民がインターネットを利用し、いつでも(Anytime)、どこでも(Anywhere)、簡単(Easy)に、行政のすべての情報(Everything)を知ることができる都市の実現。
また、それらの行政の施策に対して、速やかに建設的な意見を述べることができ、同時にその意見に対して、速やかな行政の回答を得ることができるような、ユビキタス都市」の実現を目指し、ITを最大限に活用する。

U 推進体制
1 推進組織

 「電子自治体」は、既存システムの抜本的な改革なくしては実現することができない。抜本的な改革は、トップの強力なリーダーシップが必要である。このため、市長を本部長とするIT推進本部を組織する。さらに、専門的知識を有する電子自治体推進員をアドバイザーに加え、システム改革・電子自治体化の進捗管理を行う。
2 補完的手法
 常に最新の市民ニーズを的確に把握するための手法を検討する。また、電子自治体の構築に当たっては、外部資源、特に地域内に潜在している人的・知的資源(人材・知恵)を活用することへの期待が高まっており、協働パートナーとしてのNPO等非営利活動団体や地域ボランティア等の役割を増大していく必要がある。同時に、急速に進歩するITの流れを意識するとともに、先端技術を行政側にフィードバックさせるため、産官学の相互連携を深めることができる体制の構築が必要である。
3 運用方法
 次の手法を積極的に活用することを原則とし、他に手法がない場合のみ本市独自の開発や調達を検討する。
(1)ASP(ソフトの共同利用)とIDC(ハードの共同利用)の活用
 本市は、地方公共団体における電子自治体の基盤と位置付けられているLGWAN(総合行政ネットワーク)に接続している。このため、LGWANで提供されているサービスの利用をまず検討することが重要である。この場合、できるかぎり公共IDCを利用する必要がある。また、LGWANを利用しなくてもセキュリティが確保できる場合は、民間IDCを含めた民間で提供されるASPを積極的に利用し、コストの削減を図る。
(2)広域共同処理の検討
 業務内容によっては、他の公共団体と共同で開発・運営する手法を検討する。特に、大阪府内は「大阪電子自治体推進協議会」が設置されているので、構成員として積極的に本協議会を活用し、開発・運用経費を分担することによりコスト
の削減を図る。また、他の団体ですでに運用されているサービスが存在する場合は、積極的にこのようなサービスを利用できる手法も検討する。

V 整備対象
 「行政が主体的に行うもの」「市民との協働等によって実現していくもの」に大別、また、システムごとに分類し、アクションプログラム(実施計画)を作成する。
1 行政が主体的に行うもの
(1)行政サービスの電子化
 市民への実際のサービスを提供するための「行政サービスの電子化」を「フロントオフィス」部門として構築する。市民と行政組織との接点として従来の市民とのフェース・ツー・フェースに代表されるような対面的接点に加えて、ITの進展により新たに生じた匿名性、即時性などの異なる性質を持っている電子的接点に、既存の行政サービスを対応させていくとともに、その性質を利用した新たな行政サービスの開発を行う。
(2)行政内部の電子化の促進
 効率的なサービスを提供するための業務そのものの電子化を推進する「行政内部の電子化の促進」を「バックオフィス」部門として構築する。市民との電子的接点に対応するため、行政内部の電子化を行い、紙媒体を電子的媒体と併用する情報の収集・発信を行うと同時に、組織内の意思決定過程なども電子化するなど、電子化に対応した組織の改革や事務処理の変更などを実施する。
2 市民との協働等によって実現していくもの
  「地域情報化の推進(電子コミュニティ・インフラの整備ほか)」を実現するため、「できる限り市民との協働等によって実現していく」を念頭において構築する。電子市民(ネットワークを利用する市民)の育成、電子コミュニティの整備、電
子産業主体(電子市場、電子商店等)の構築・育成、電子交通網等の整備(ネットワーク環境、いわゆるインフラの整備)などに対しては、「市民との協働等によって実現していくもの」に包括する。電子自治体を推進するための基盤として、高速ネットワーク網、いわゆるインフラの整備が必要不可欠である。本市域のインターネット環境は恵まれた状態にある
が、各種ネットワークが広がりを見せるなど今後の状況の変化によっては、インフラ整備に対する行政の関与も必要である。
 また、電子サービスが市民生活に浸透していく過程では、基本的には市民との協働等によって実現していくものであっても、行政の公平性を確保する観点からサービスを受ける市民に対する支援制度等、行政が主体的に行う方法も考慮に入れなければならない。

W 留意点
1 情報セキュリティ対策と個人情報保護の徹底

 情報化の進展に伴い、個人情報の漏洩などによるプライバシー侵害の恐れや、コンピュータウィルス問題から生じる社会経済への影響が懸念されている。したがって、電子自治体における最大の課題は、個人情報保護をはじめとしたセキュリティ対策である。自治体には、個人情報などセキュリティが保証されなければ扱えない情報があるため、ソフト及びハードの両面にわたるセキュリティ対策を講じる必要がある。また、「通信は暗号化を原則とする」といった運用面の規定や、情報を集積するサーバ群はインターネットと直接接続しないシステムにするなど、幅広い対策が必要である。
2 情報リテラシーの向上とデジタルデバイド対策
 情報化の推進にあたっては、全ての市民が情報通信の便益を享受できる仕組みづくりが重要である。利用者の情報機器等の操作性に十分配慮し、人に優しく簡単で分かりやすい情報システムの整備を進めていく一方で、子供から高齢者までの全ての市民が情報化に慣れ親しみ、情報を自由に活用できるようになるため、市民の情報リテラシーの向上が求められる。一方、情報システムの導入などの際、情報機器の操作に不慣れな市民の利用を想定して、画面の文字やアイコンの大きさ、画面の高さ・角度、音声や点字等による利用案内など、情報バリアフリー機能についての十分な検討を行う。また、情報システムにおけるユニバーサルデザインの確保にも十分配慮する必要がある。
 さらに、地域における情報化を推進する人材(情報ボランティア)の発掘・育成などを図るとともに、ソフトウェアやコンテンツに関する知的所有権の保護、利用者の情報モラルの徹底を図るなど、本市における健全な情報化を推進する。
(1)行政内部
電子自治体においては、職員のITスキルによって運用面での効率が大きく違ってくるので、研修などを通じてITスキルの向上に努める。
(2)市民への対応策
@ハード面
 ネットワークに接続できない環境にある市民のために、また、市民の情報活用の関心と利便性を高めるために、市内各所に開放型情報端末を設置することを検討する。その場合、公共機関だけでなく、コンビニエンスストアなど市民
が頻繁に利用する施設への設置も検討する。
Aソフト面
市民グループによる自発的なパソコン講習会への支援など、市民の情報リテラシー向上やデジタルデバイド対策のための各種施策を検討する。
3 アナログ(ITに依存しない)システムの再構築
電子自治体における業務は、単なる既存業務のコンピュータ化ではない。既存行政システムの抜本的な改革が前提となっている。
「ITは手法であって、目的ではない」
ITを利用しないアナログ的手法も同時に検討しておくことが必要である。これは、フェース・ツー・フェースのための接点を残すことだけでなく、ネットワークシステムダウン時のバックアップとしても重要である。
4 モバイル利用を前提としたコンテンツづくり
パソコンと並んで最も市民に利用されているネットワーク端末機器は携帯電話である。このため、市民に対するサービスの展開については、ネットワーク機器はパソコンだけであることを前提としない携帯電話をはじめとするモバイル端末の特性を活かしたサービス提供をシステム構成の念頭におく。
(近畿の移動電話(携帯+PHS)の加入者数(平成14 年9月末現在))

第3章アクションプログラム
T 要旨
1 目的と背景

 本計画の第2章基本方針では、概ね5年先まで見据えた本市の情報戦略について示している。しかし、この部分は、あくまでも基本方針を示すものであり、具体的な行動計画については示していない。そこで、本章において、本市の「実現すべき将来像」を実現するために、どのようなアクション(行動)を起こすべきか、ということについて、年度ごとの取組内容や担当部署等を具体的に示す。また、今後の電子自治体の早期、かつ、着実な実現に向け、各システムの開発状況や横連携を明確化し、市民サービスの一層の向上、重複投資の回避や効率的な情報化推進を行うことを目的としている。
 なお、実施にあたっては、調査・研究の結果を踏まえ、その内容を見直すとともに、費用対効果や財政状況を勘案するものとする。
2 期間
 平成16年度から平成18年度まで社会情勢や環境の変化及び新技術の発展等に柔軟に対応するために、プログラム
期間は3年間とし、随時見直しを行う。なお、プログラムの見直しに当たっては、本市の主要事業計画や国のe−Japan計画との整合性を図るものとする。
3 プログラム選定基準
(1)市民の利便性の向上に重点を置いたもの
(2)行政の透明性の向上に寄与するもの
(3)行政コストの削減を考慮したもの
4 基礎資料
(1)電子自治体研究部会報告書(平成15年6月作成)
(2)電算化調査表(平成15年7月集約)
5 推進体制
 市長直轄のIT推進本部において、進捗管理を行う。(詳細は、次頁図参照)なお、プログラムのうちパイロット事業として推進するものは、IT推進本部において、決定する。

U アクションプログラム一覧

NO 対象事業名 担当部署 背景・目的 取り組み内容
1 電子入札 契約検査室 公共工事における透明性と公正性の向上 不特定多数の入札を可能とすることによる競争性の確保 電子入札システムの構築(大阪府と府内7市が共同開発するコアシステムと本市契約システムとの連携)
2 電子申請 情報システム課 総合調整室他 インターネットを通じて、市民はいつでもどこでも簡単に行政手続きが可能となる仕組みを作る 申請書様式類のホームページからの提供の拡充  
比較的軽易な認証でも可能な手続の電子化
3 税電子申告 税制課 市民税課 インターネット等を利用して、納税者の利便性の向上と税務事務の効率化、高度化を図る 納税者からの市税の申告等がインターネット等を通して提出できるようにする
4 電子決済 収入役室 電子申請等の電子化と組合わせて、ネットワーク上で税金や手数料の納付ができるようにし、歳入事務の簡素化や効率化を図る 公金収納手段の整備  電子的な納税等の手法の検討
5 住民ポータルサイト 広報課 情報システム課 ITの特徴を活かした迅速で効率的な総合窓口 フロントオフィス各システムの24時間ノンストップサービスのためのインターネットからの共通の窓口を構築する(移動体通信も考慮する)
6 路線価格公開 資産税課 宅地の標準的な価格の一般に対する閲覧制度の法定化 本市ホームページを利用して、都市計画情報と同様の手法で、路線価格を公開する
7 情報公開システム  市民情報課 インターネットを通じた情報公開請求に対して、スピーディに効率的に対応する 情報公開システムの構築
8 行政相談システム 市民相談センター いつでもどこでも、簡単で迅速な行政相談窓口の設置 インターネットを通じて、市民はいつでもどこでも簡単に行政に関する相談を行うことが可能となる
9 デジタルミュージアム 文化財課 ITを利用した文化・芸術資産などの提供 インターネットを利用した文化財資産閲覧等システムの構築
10 ICカード等の多目的利用サービス 総合調整室 情報システム課他 ICカード等を利用した多目的サービスの提供 行政サービスや金融・運輸をはじめとした各種民間サービスをICカード等によって提供する
11 たかつきeラーニング 文化振興課・人権室・社会教育課 ITスキルアップ(生涯学習推進計画に基づく) IT社会の恩恵をすべての住民が享受することができるようにする ITスキルアップのための講座・教室などの開催、インターネットを通じた情報提供など
1 資産税オンラインシステム 資産税課 事務改善、事務効率の向上、コストダウン、省スペース化を図る 第1次〜第4次まで4段階に分け、オンライン開発を行
2 個人住民税賦課システム 市民税課 電子申告制度への円滑な対応
還付、更正通知の迅速化による住民サービスの向上
当初課税システムの再構築
更正処理の即時処理化
3 G I S道路情報システム 建設部
管理課
道路管理の業務支援(権原、占用・明示及び法行為上の管理)
法定外公共物管理の業務支援
ベースマップをもとに、さまざまな支援システムを地理
情報システム(GIS)を利用して構築する
4 文書管理システム 事務管理課
市民情報課
ネットワークを利用した文書情報の交換と提供・公開に対応する 文書管理システムの構築
4 文書決裁システム 事務管理課 事務決裁の簡素効率化と保存・閲覧等の利便性の向上 ネットワークを利用した電子決裁の検討及び決裁基盤の整備
5 人事給与システム 人事課 内部管理における間接部門のスリム化とサービスの向上 IT関連調達における新たな事業手法の確立 アウトソーイングによる構築も検討
共同・広域パッケージの利用
  財務会計システム 財政課
  物品調達システム 契約検査室
6 電子会議室システム 情報システム課 会議資料などのペーパーレスの促進と会議開催に伴う移動時間等の
短縮、場所の不要などの時間・環境の効率的利用を促進する
ネットワークパソコン等を利用した遠隔会議の開催38
1 たかつきeマーケット 商工観光振興室農林振興室・広報課 Tを利用した産業の振興 インターネット上での市の物産の紹介・販売等を行うサ
イトの構築の支援を行う
2 コミュニティー交流システム コミュニティ推進課 ITを利用した市民コミュニティの育成 地域ポータルサイトをはじめ、コミュニティ育成のため
のコンテンツの作成などの支援を行う
3 介護・子育て支援情報提供システム 介護保険課子ども育成室 ITを利用した介護援助、子育て支援 ケアプランの作成、介護サービス及び子育て支援等の情
報提供を行うシステム構築の支援を行う
4 総合防災システム 危機管理課他 災害等、市民生活を脅かす事態の発生時に、市民の安全を守る T・ネットワークを利用した総合・複合型の防災体制
のサポートシステム


(個別プログラムについては別添)

W 『電子自治体:高槻市』のイメージ
 電子自治体は、「e−たかつき計画アクションプログラム完成時イメージ図」のような姿となる。その理念や機能を簡単に説明すると次のとおりである。

1 行政側から見たイメージ
(1)庁舎から飛び出す市役所
 行政サービスを受けるには、わざわざ来庁する必要があったが、電子自治体では、あたかも市役所が市民や企業のところへ出向いて行くようなサービスを展開していく。また、ITを活用することで市役所内部の組織間の壁を取り払い、情報の共有化やサービス業務間の連携を率先して進め、簡素で効率的な事務執行体制を構築する。
 さらに、市役所という一行政機関としての取組に終わらせることなく、LGWAN等のネットワークを活用し、各市町村や近隣自治体と連携を図りながら、身近な行政窓口であらゆる行政手続ができるワンストップサービスの実現を目指
す。
(2)電子市役所の行政サービス(フロントオフィス)
 電子市役所では、各種の行政サービスが実施される。市民や企業が知りたい情報を市ポータルサイト(高槻市ホームページ)の豊富な情報の中から迅速に取り出すことができるようになる。
 さらに、行政手続では、自宅や会社のパソコンから簡単にしかも素早く、申請や公金の支払いなどができるようになる。スポーツ施設や文化施設など公共施設の申込も可能になる。一方、市の事業へ参入している企業にとっては、入札の電
子化によって来庁せずに入札情報が手に入り、迅速に入札を行うことができる。
(3)内部事務の効率化(バックオフィス)
 文書管理の電子化により、内部の意思決定時間が大幅に短縮し、スピーディな行政が実現する。また、人事給与・財務会計・物品調達等の内部庶務事務のアウトソーシング化を図り、内部の管理部門に介在する手続を省略する。電子会議による資料等のペーパレス化の促進と遠隔地開催による移動時間等の短縮を図る。
(4)協働等による事業
 保健医療、福祉、産業振興、都市整備などのあらゆる行政分野で多様なIT活用が検討されることで、市民生活に密着した行政サービスの一層の充実が図られる。

2 市民側から見たイメージ
(1)いつでも、どこでもネットワークを通じて受けられる行政サービス
 インターネットを通じて、自宅に居ながら行政への申請手続、施設利用の申込が24 時間行うことができ、その結果も受け取ることができる。このワンストップサービスは、手続時間の短縮という点で、市民にとって大変便利なものである。
手続が分からない場合も電子相談窓口が用意されており、市役所へ何度も足を運ぶ必要がなくなる。
 また、企業は入札の度に市役所へ出向く必要がなくなるばかりでなく、他の行政機関の入札にも電子入札が定着すれば、他の行政機関の入札時間を気にせず、いくつもの行政機関の入札に参加することが可能となる。
住民基本台帳ネットワークが整備されたため、転居元で住所変更届を行えば、転居先での手続が不要となった。転居時の手続も以前と違い、簡単に済ませられる。行政機関が連携した電子自治体の取組で、生活は格段に便利になる。
(2)安らかな暮らしを支えるネットワーク
 市民が介護関連の情報などについて、自宅や身近な施設から情報ネットワークを介して医療機関やサービス事業者に問い合わせることにより、遠くの医療機関等に足を運ぶ必要がなくなる。また、正確な情報をスピーディーに入手すること
により、適切な対応が取れるようになる。
 一方、災害時には、行政の緊急情報網が市内に確保されることにより、災害や安全に関する的確な情報が行政・防災関係機関・市民に行き渡り、混乱することなく、応急活動を行い、被害を最小限に止めることになる。
このように介護をはじめとした保健・医療や防災の情報化により、市民1人ひとりが心から安心して日々の暮らしを送れるようになる。
(3)情報ネットワークで享受する豊かな文化
 インターネットによる多様なeラーニングで好きな時間に好きなところで、双方向のやりとりをしながら学習できる。また、デジタルミュージアムで、文学・美術・歴史などの文化情報に現実に展示されている施設等に出向かなくても、自
宅のパソコンから鑑賞することができる。
 さらに、同じような趣味や関心を持った人々、サークル、団体などと数多く知り合うことも簡単になり、市民の誰もが、新しい友人、発見に出会い、交流する機会が増えることになる。「地縁」、「血縁」といった従来の人間関係とは違った形で非常に広範囲な人々のつながりが可能となる。そのことによりNPO等新たな市民活動が促進される。
 このような情報化を通して市民1人ひとりが個性にあった学習、スポーツ活動、文化・芸術活動に取り組む機会が増えることになり、生活を心から楽しむことのできる社会が現実のものになる。

(e−たかつき計画アクションプログラム完成時 イメージ図)


用語意味
あ アウトソーシング【out-sourcing】
 コンピュータメーカーやソフト開発会社などに、自社の通信システムの整備、管理運営、保守点検などを委託すること。
オフコン(オフィスコンピュー
 一般事務処理に用いられる中規模コンピュータ。業者が開発した伝票発行や販売管理、財務管理等専用のアプリケー
ションソフトを、ハードウェアと一緒に納品し、運用や管理まで一貫してサポートする形態を採る。
か 高度情報通信ネットワーク社会
 
インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報又は知識を世界的規模で入手し、共有し、又は発信することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会。
コンテンツネットワークなどにおいて提供される、文字・動画・音声などの情報の内容をいう。
 コンピュータ・ウィルス
 
ネットワークやディスク・コピーを通してコンピュータシステムに密かに侵入し、システムやネットワーク等に不具合を起こすプログラム。データやサービスを提供する側のシステムやコンピュータ。サービスを受ける側のシステムやコンピュータはクライアントと呼ぶ。
 情報セキュリティポリシー【security policy】
 地方公共団体が所有する情報資産の情報セキュリティ対策について、各地方公共団体が総合的・体系的かつ具体的に取りまとめたもの。情報資産をどのような脅威からどのようにして守るのかについての基本的な考え方、並びに情報
セキュリティを確保するための体制、組織及び運用を規定する。情報リテラシーコンピュータやネットワークを活用して情報やデータを扱うための知識や能力のこと。主として情報の整理・分析能力を意味する。
 総合行政ネットワーク(LGWAN)【Local Government Wide Area
 地方公共団体を相互に接続する行政専用のネットワーク。閉じたネットワークであるためセキュリティが高く、公的個人認証と共同アウトソーシングの基盤となる。平成14年4月から霞が関WANと相互接続開始。
た デジタルデバイド【digital divide】
情報技術(IT)を使いこなせるかどうかによって生じることが懸念される機会、収入等の格差。個人間だけでなく、地域間や国家間の格差を指すこともある。
は バリアフリー
 
高齢者や障害者等の利用に際しても障壁(バリア)を感じさせないように配慮した設計、仕様。
ポータル(窓口)サイト【portal site】
 入り口や窓口として情報提供等を行うウェブサイトのことで、住民・企業等の利用者がインターネットを利用する際に、最初に拠点として訪れる場所。
や ユニバーサルデザイン【universal design】
 健常者と障害者、高齢者の区分なしに、すべての人が使いやすい製品・建物・環境等をデザインすること。
 ユビキタス
 身の回りのどこにでも利用できるコンピュータがある環境。従来の情報通信サービスでは、提供会社やインフラによって利用できる端末、サービス、コンテンツの仕様等が決まっていることが多かったが、誰もが、いつでも、どこでも、多様な通信機器、多様な情報通信ネットワークを利用して、さまざまな形態のコンテンツの受発信を手軽に行える社会。

用語意味
A  ADSL
 
既存の電話加入者線を使って高速にデータ転送をする技術。
 
ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)【Application Service Provider】
 データセンターでアプリケーションを一括稼働し、インターネットを通じてその機能を顧客にレンタルする業者、またはそのシステム。
B  BPR【Business Process Reengineering】
 組織や事業の合理化を図るため、高度な情報システムを取り入れ、業務内容や業務の流れ、組織構造を分析、最適化すること。
C  CRM【Customer Relationship Management】
 情報システムを応用して顧客と長期的な関係を築く手法。詳細な顧客データベースをもとに、商品売買から保守サービス、クレームや問合せへの対応等、一人一人の顧客とのやり取りを一貫して管理することにより達成される。顧客ニーズにきめ細かく対応することにより、顧客の利便性と満足度を高め、顧客を常連客として囲い込んで収益率の極大化を図ることを目的とする。
F  FTTH【Fiber To The Home】
 アクセス・ネットワークを完全に光ファイバ化して、利用者の家まで光ファイバを引き込むという構想。
 FWA【Fixed Wireless Access】
 固定的に設置した無線方式の加入者線。加入者と通信事業者間の無線回線のこと。ケーブル埋設工事のような土木工事が少ないので、短期間で経済的に実現できる。
G  GIS(地理情報システム)【Geographic Information System】
 電子地図をデータベースとして、地理的な位置の情報だけでなく、空間の情報や属性データと合わせて統合的に処理、分析、表示するシステム。
I IDC(インターネット・データセンター)【Internet Data Center】
 顧客のサーバを預かり、インターネットへの接続回線や保守・運用サービスなどを提供する施設。
O OS(オペレーティングシステム)
 機器の基本的な動き、操作を管理するシステム。

高槻の行政の目次へ  トップへ